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【経済考】日本で「賃金」が上がるのか?.

0.「今日の記事のポイント」


今日の記事は、下記のような内容になっていますよ。どうぞ最後まで楽しみながらお読みください。

☆「昨日の投稿記事では2通りの年金試算があったよと、二つのケースの違いを見てみよう」

☆「実質賃金上昇1.5%は達成できるか?と、直近の実質賃金上昇率を見てみよう」

☆「そろそろ甘い夢を見るのは止めましょうと、コロちゃんと貧しい暮らし」

1.「昨日の投稿記事では2通りの年金試算があったよ」

今日コロちゃんが「日本で賃金が上がるのか?」をテーマに選んだ理由は、昨日の「【経済考】30歳の「将来の年金額」が公表されたよ」と言う記事の内容に、2通りの「年金試算額」があったからです。

「厚生労働省」が発表した「多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方について」という「資料」の中に、以下のデータが記載されていたのです。

◎「現在30歳で2059年に65歳になる男女の将来の年金受給額の試算2コース」

➀「成長型経済移行・継続ケース(実質賃金上昇率(対物価)1.5%)」
➁「過去30年投影ケース     (実質賃金上昇率(対物価)0.5%)」

現在30歳の方が65歳になった時の年金額は、上記の「①成長型経済移行・継続ケース」と「②過去30年投影ケース」でだいぶ違った金額となります。

その違いは以下の通りです。

左側が「②過去30年投影ケース」で、右側が「①成長型経済移行・継続ケース」なります。「男性」「女性」の順になっていますよ。

◎「2059年に65歳の年金額:男性」(現在30歳)

➀「厚生年金:過去30年ケース15.8万円=成長ケース22.9万円」
➁「国民年金:過去30年ケース 6.3万円 =成長ケース10.0万円」

◎「2059年に65歳の年金額:女性」(現在30歳)

➀「厚生年金:過去30年ケース12.4万円=成長ケース18.4万円」
➁「国民年金:過去30年ケース 5.8万円=成長ケース 9.4万円」
③「専業主婦:過去30年ケース 6.5万円=成長ケース10.5万円」

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001325262.pdf
(出典:厚生労働省:社会保障審議会年金部会:多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方についてより:11月7日利用)

上記のように、「過去30年投影ケース」と「成長ケース」とでは、「男性:厚生年金が月7.1万円差」で「女性:厚生年金が月6万円」もの差が出てきます。

果たして、現在30歳の男女が65歳になった時の年金額は、この2つのケース「過去30年投影ケース」と「成長ケース」のどちらに落ち着くのでしょうか?

昨日の記事は、もう8000文字を超えていましたので、コロちゃんは気になりつつ文章を〆ましたが、今日あらためて取り上げてみたいと思いますね。

なお、昨日の記事をまだお読みでない方は、下記のリンクのクリックをお願いします。そちらから読んだ方が、今日の記事はお分かりになりやすいですよ。

【経済考】30歳の「将来の年金額」が公表されたよ

2.「二つのケースの違いを見てみよう」

コロちゃんは、昨日取り上げた「多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方について」の内容を、目を皿のようにしてみつめましたよ。

そうしましたら「①成長型経済移行・継続ケース」と「②過去30年投影ケース」の違いは、以下になっていました。

➀「上昇要因と低下要因があるよ」

◎「上昇要因と低下要因」

➀「上昇要因」
・「実質賃金の上昇」
・「労働参加による厚生年金期間の延伸」

➁「低下要因」
・「マクロ経済スライド調整※による低下」

(※マクロ経済スライド:現役世代の人口減少や平均余命の伸びに合わせて年金の給付水準を下げる仕組み)

ややこしいなー、こんな面倒なのわっかんないよー。もっとわかりやすい制度にしろよ。こんなの専門家しかわからないんじゃないの?
(〃´・д・)φ.ナルホドワカラン!

➁「2つのケースの上昇・下降要因はこれだよ」

上記の「①上昇要因」と「②低下要因」を、二つのケースを勘案すると、下記のようになっています。

◎「①成長型経済移行・継続ケースの場合」

❶「実質賃金:年1.5%上昇」
❷「マクロ経済スライド終了は2037年」

◎「過去30年投影コースの場合」

❶「実質賃金:年0.5%上昇」
❷「マクロ経済スライド終了は2057年」

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001325262.pdf
(出典:厚生労働省:社会保障審議会年金部会:多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方についてより:11月7日利用)

上記の「❶が上昇要因」で「❷が下降要因」ですね。

この組み合わせの結果、現在30歳の男女の「将来の年金額」が2つのケースに分かれて、「厚生年金」の場合は、「男性:月7.1万円差」と「女性:月6万円差」の大きな差が出てきています。

3.「実質賃金上昇1.5%は達成できるか?」

そこで、コロちゃんが気が付いたことは、日本の将来は、上記の「①成長型経済移行ケースの実質賃金:年1.5%上昇」と、「過去30年投影コースの年0.5%上昇」のどちらになるかという疑問です。

コロちゃんは、過去の日本の「実質賃金の推移」を探してみましたよ。

下記のグラフをご覧ください。

「内閣府 一人当たり実質賃金の推移」より

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je22/h06_hz020105.html
出典:内閣府:令和4年度:年次経済財政報告より(11月7日利用)

上記のグラフは、「内閣府」が発表した1991~2020年の「1人あたり実質賃金の推移」です。グラフの一番下の赤いラインが「日本」です。

これは1991年を100として作成されていますが、右端のグラフの最後の年2020年が「103.1」の表示があります。

「1人当たりの実質賃金」は、なんと1991年からの「30年間でわずか3.1%」しか上昇していません。

他のデータで、近年を確認してみましょう。

◎「実質賃金の推移」

➀「2016年度: 0.5%」
➁「2017年度:-0.2%」
③「2018年度:  0%」
➃「2019年度:ー0.6%」
⑤「2020年度:ー1.1%」
⑥「2021年度: 0.5%」
⑦「2022年度:ー1.8%」
⑧「2023年度:ー2.2%」https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2024/07/kokunai_01.html
(出典:独立行政法人:労働政策研究・研修機構:実質賃金が2年連続で前年度比マイナスより:11月7日利用)

上記の「①2016年度~⑧2023年度」の平均をコロちゃんがポチポチ計算してみますよ・・・、えーと8年間ですよね、・・・おー「ー1.4%」ですよ。マイナスですよ。
( ¯ O¯)おー

これでは、「①成長型経済移行ケースの実質賃金:年1.5%上昇」はおろか、「過去30年投影コースの実質賃金:年0.5%上昇」も難しいとコロちゃんは思いましたよ。

そろそろ「楽観的なケース」だけを声高に語って、その後に「道半ばです」と言うのは止めませんかね?

コロちゃんは、もっと「厳しい現実をシッカリと見つめる必要がある」と思っていますよ。

4.「直近の実質賃金上昇率を見てみよう」

先日の11月7日に「厚生労働省」は「9月分の毎月勤労統計調査」を発表しています。この中に「実質賃金」の数値が記載されているのですよね。

下記のグラフをご覧ください。内容は下に書き出します。

「厚生労働省 毎月勤労統計調査」より

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2404p/dl/pdf2404p.pdf
出典:厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和6年9月分結果速報より(11月7日利用)

上記のグラフは「厚生労働省」が発表した、2023年5月~2024年9月の「実質賃金」の動きです。

上記のグラフの下の方の「太い黒の実線(○入り)」が、物価上昇率を加味した「実質賃金」です。

下に書き出しますね。

◎「実質賃金推移:前年比」

➀「1月:-1.1%」
➁「2月:-1.8%」
➂「3月:-2.1%」
➃「4月:-1.2%」
⑤「5月:ー1.3%」
⑥「6月: 1.1%」(プラス転換)
⑦「7月: 0.3%」(プラス転換)
⑧「8月:ー0.8%」
⑨「9月:-0.1%」

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2409p/dl/pdf2409p.pdf
(出典:厚生労働省:毎月勤労統計調査:令和6年9月分結果速報より:11月7日利用)

うーむ、6月と7月だけは「プラス転換」をしましたが、これは「ボーナス効果」ですね。しかし、8月には早くも息切れして、再びマイナスに沈んでいます。

この様子を見て、「30年後には実質賃金1.5%上昇」とは、コロちゃんには想像できませんね。

むしろ、低い方の「過去30年投影コースの年0.5%上昇」も難しいと見るのが普通じゃないかと思われますね。

5.「そろそろ甘い夢を見るのは止めましょう」

コロちゃんは、今回の「厚生労働省」が発表した「多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方について」の中の以下の選択肢を読んだ時に、「甘い見通し」だなと感じました。

それは、以下の「選択肢」です。

◎「現在30歳で2059年に65歳になる男女の将来の年金受給額の試算2コース」

➀「成長型経済移行・継続ケース(実質賃金上昇率(対物価)1.5%)」
➁「過去30年投影ケース       (実質賃金上昇率(対物価)0.5%)」

この①②を提示されれば、読んだ方は「悪くとも➁0.5%で、上手くいけば➀1.5%が達成できる」と見る方が多いのではないでしょうか?

しかしコロちゃんは、これを読んで「➀1.5%なんか絶対ムリ、➁0.5%だって難しい」と思いましたよ。

その理由は、上記までつらつら書きましたから繰り返しませんが、コロちゃんは「日本はもう大きな成長は出来ない段階になった」と考えているのですよ。

その理由は、過去に何度も行なわれた「経済政策」にあります。下記に書き出しますね。

◎「過去に試してダメだった経済政策」

➀「1990年代の小渕総理の財政政策」

1990年代に「小渕総理」は、巨額の財政投入を行なっていて、「世界一の借金王です(1998年発言)」と記者会見で自嘲気味に答えていたのを覚えていますね。

その結果「政府」が赤字国債を出して、巨額の財政資金を投入しても効果がないことがわかりました。

➁「2000年代の小泉総理の聖域なき構造改革」

「聖域なき構造改革」で、政府の効率化を進めましたが、経済成長は出来ませんでした。

➂「2010年代の安倍総理のアベノミクス」

「異次元の金融緩和」を主張しましたが、10年間「金融緩和」をやっても経済は成長しないことがわかりました。

これらの3人の総理大臣は、これらの「政策」を推進しましたが、「経済成長率」が大きく上向くことはありませんでした。

そのダメだった結果を受けて、その後の「2020年代の岸田元総理の経済の好循環」になりました。

しかし3年経っても、上記で見てきたように「好循環」の最初のハードルである「実質賃金の上昇」が未だに達成されていません。

ここまでもう「30年間も試行錯誤を重ねてダメだ」と言うことは、「もう日本経済はせいぜい0%台半ばぐらいの成長しかできない段階」に入っていると、コロちゃんは考えていますよ。

ですから「もう見果てぬ夢を見る」のはやめて、「小さな成長でも幸せに暮らせる国/日本」を目指しませんか、とコロちゃんは言いたいのですよ。

6.「コロちゃんと貧しい暮らし」

コロちゃんと妻は、1970年代の初頭に一緒に暮らし始めましたが、当時の若者の給料はとても安く、コロちゃん夫婦の生活も貧しいものでしたね

その当時の二人の生活で、利用しなかった金融サービスがあります。それは「サラ金とローン※」です。

(※その後の1980年代に住宅ローンは利用しました)

「サラ金」は、その後の1970年代後半に「サラ金地獄」が社会問題になりましたね。コロちゃん夫婦は、絶対に「サラ金」には手を出さなかったですから、横目で見ていましたよ。

その当時のコロちゃん夫婦は、身の丈を超える贅沢はするつもりはありませんでした。ローンで大きな買い物をすると、その後の「家計の耐性」が低下しますからね。

「家計の耐性」とは、何かあった時にはたちまち窮してしまうと言うことですよ。

コロちゃん夫婦は、他に頼るべき親族も居ませんでしたから、2人とも「自立精神」は高かったですよ。「貧しくとも誇りは高く」それが青年コロちゃん夫婦のあり方でした。

今から振り返っても「幸せ」でしたよ。ここで言いたいのは「貧しくとも幸せな生活」と言うのは成り立つのですよ。コロちゃんはそう思っていますよ。

今日の記事の〆になりますが、日本は「見果てぬ夢の大きな成長」を追い求めて、もう30年を過ぎました。

このままでは「失われた40年」まで行き着きますよ。そろそろ「成長よりも国民の幸せ」を目指しませんかとコロちゃんは言いたいですよ。

「高い成長」よりも「みんなの幸せ」を目指しましょう。コロちゃんは、そう願っていますよ。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

Michaela, at home in Germany • Thank you very much for a likeによるPixabayからの画像


 


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