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【経済考】「戻らぬ財政規律」で大丈夫なの?.

0.「今日の記事のポイント」

☆「日本の財政の現状を見ると、コロナ禍からの財政出動の変化を見る」

☆「主要先進国は平常に戻りつつあると、歳出構造を平時に戻すって言ってたよね?」

☆「財源論は避けられないよと、全世代型社会保障と言う考え方はいいね」

☆「コロちゃんとお金の価値」

1.「日本の財政の現状を知る」

コロちゃんは、昨日のニュースで「政府が年末に発表する経済対策で、住民税非課税世帯に3万円と、それに加えて子ども1人あたり2万円支給を検討」と聞きました。

「物価上昇」の中で困窮する世帯への給付だと言うことはわかるのですが、その「財源」をどこから調達するのかは報じられていません。

「国民民主党」の「103万円の壁」についての議論も始まっていますが、これらの財源は7~8兆円とも報じられていますね。

最近のニュースを聞いていると、「貧しい住民税非課税世帯」だけでなく「中間層や上層の方たち」までも支給対象先が拡がっている様に思われます。

そこでコロちゃんは、現在の「日本の財政の現状」が心配になり、ちょっとポチポチ調べてみましたよ。

2.「コロナ禍からの財政出動の変化を見る」

世界に「コロナ禍」が襲来したのは2020年です。

「日本」では、2020年2月に横浜港に入港した「ダイヤモンドプリンセス号」で多数のコロナ患者が出たことから始まっています。

この年の2020年には、「日本」だけではなく、世界中の国々が大規模な「財政出動」に踏み切っています。

「日本」の財政出動の規模を、次に見ておきましょう。

下記のグラフをご覧ください。内容は下に書き出します。

「財務省 一般会計歳出等の推移」より

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/subof_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241016/01.pd
f出典:財務省:財政総論より(11月15日利用)

上記のグラフは、「財務省」が発表した平成20年度(2008年)~令和6年度(2024年)の「一般会計歳出等の推移」です。

この中から、「コロナ前」と「コロナ禍の最中」と「コロナ後」とを並べて比べてみましょう。下記ですよ。

◎「一般会計当初予算額+補正予算額」(兆円未満切り捨て)

➀「2019年度:104兆円:うち補正予算: 3兆円」
➁「2020年度:175兆円:うち補正予算:73兆円」(コロナ禍)
➂「2021年度:142兆円:うち補正予算:36兆円」
➂「2022年度:139兆円:うち補正予算:31兆円」
④「2023年度:127兆円:うち補正予算:13兆円」(コロナ5類移行)
⑤「2024年度:112兆円:うち補正予算:   ?」

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241016/01.pdf
(出典:財務省:財政総論より:11月15日利用)

上記の「補正予算」の推移にご注目ください。

「コロナ前」の「➀2019年度の補正予算3兆円」から、「➁73兆円➂36兆円」と大きく増えていますが、それは「コロナ禍対策」ですから仕方がないでしょう。

しかし、その後の「コロナが5類移行した年」の「④2023年度の補正予算13兆円」も多いですけれど、「平時の補正予算規模は数兆円」です。

「石破総理」は、街頭演説で「昨年の13兆円の補正予算規模を上回る大きな補正予算」と発言なさっていますが、いつになったら「コロナ後の平常運転」に戻ると言うのでしょうか。

コロちゃんは、この「財政規律の弛緩」を危惧していますよ。

3.「主要先進国は平常に戻りつつあるよ」

コロちゃんは、上記の「財務省の財政総論」をざっと見ましたら、「主要先進国のコロナ対策の財政出動後の幕引きの数値」を見つけましたよ。

「コロナ時の政府支出」と、「コロナ後の政府支出」の対比ですね。これを見ると「非常時」と「その後」がハッキリとわかります。下記ですよ。

◎「政府支出対GDP比:2020⇒2024年」(少数点以下切り捨て)

➀「カナダ :-19%」
➁「米国  :ー17%」
➂「英国  :ー11%」
④「イタリア:ー10%」
⑤「日本   :ー4%」

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241016/01.pdf
(出典:財務省:財政総論より:11月15日利用)

上記を見ると「➀カナダ/➁米国/➂英国/④イタリア」の先進各国は、「財政上」ではすでに「コロナ後」に踏み出していますね。

しかし「⑤日本:ー4%」は、「コロナ後」になっているにもかかわらず、相変わらず「コロナとの闘いの財政」から戻っていません

その予算を何に使おうとしているのかは、一目瞭然ですよね。「103万円の壁対策」や「年末の経済対策」などの「バラマキ」に使うのでしょうね。

4.「歳出構造を平時に戻すって言ってたよね?」

上記で、昨年2023年度の「補正予算が13兆円」だったことを書きました。

この13兆円の主要な使い道は「岸田前総理」が昨年秋に決めた経済対策(ガソリン・電気・ガス料金抑制や半導体の研究開発支援)だと聞いています。

もうこの「補正予算」は、「コロナ対策費」じゃあなかったのですよね。

コロちゃんは、昨年の6月に岸田前総理が「骨太の方針」を閣議決定した時に、その内容をこのブログでご紹介しましたので内容の一部をまだ覚えていますよ。

確かこの「骨太の方針」では、「中期的な経済財政の枠組み」の項目で「歳出構造を平時に戻すとともに、成長と分配の好循環を拡大させる」とハッキリ記載していたのですよ。

以下にその「骨太の方針」のリンクを貼っておきますので、どうぞご確認ください。57ページの中段に記載されていますよ。

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2024/2024_basicpolicies_ja.pdf
(出典:内閣府ホームページ:経済財政運営と改革の基本方針2024についてより:11月15日利用)

いいのかなー? 言っていることと、していることが違っててもいいのかなー?
ʅ(。◔‸◔。)ʃ…ハテ?

それとも「あれは前総理の言ったこと」ってシカトするのかなー?
(∩゚д゚)アーアーきこえなーい

5.「財源論は避けられないよ」

コロちゃんは、上記のような「財政の状況」の下で「物価高対策(住民税非課税世帯への給付金や電気・ガス料金補助)」や「103万円の壁対策」を進めようとするならば、「財源論」は避けられないと考えますよ。

そこでコロちゃんが感銘を覚えた「日経新聞の経済教室」の「森信茂樹東京財団政策研究所研究主幹」の論考をご紹介しますね。

見出しは「政策実行/避けられぬ財源論」です。

この「森信主幹」の話は、コロちゃんのような素人にもわかりやすいんですよね。どこに問題点があて、それをどう解決したらよいのかを、上手く切り出しているように感じるのですよね。

まず最初に「森主幹」は、「先進国最悪の純債務残高を抱えているわが国は、大型減税などは財源とセットで考える必要がある」と前提を示しています。

コロちゃんなどは「納得の論理」ですよ。「家計」だって、大きな出費をする時には必ず「財源」を考えますよね。

そして「財源」を以下の3つに絞って、詳しく検討しているのです。下記ですよ。

◎「財源」

➀「経済成長による増収」
➁「歳出改革」
➂「増税」

確かに他に「財源」はあるかと考えてみると、「借金(国債)」があるとコロちゃんは思いましたが、「森信主幹」の頭にはないようですね。これも気持ちよく読めましたよ。

さて上記の3つの「財源」には、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

➀「経済成長による増収は反対が少ないよ」

最初の「経済成長による増収」は、もっとも反対が少ないとしています。しかし、下記の指摘をしていますね。

➀「税収は伸びているが、グローバルインフレや円安の結果の税収増加で経済成長によるものではないから持続的ではない」

➁「物価上昇が2%を超える状況が継続すれば税収は伸びるが、債務残高の利払い費は税収の増加分以上に増える」

➂「減税すれば経済が成長するとのマジックが、わが国で生じた例はない」

上記は「論考」をコロちゃんがざっくりまとめたものですが、「森信主管」は「反対は少ないけどこれはダメだよ」と言っていますね。

最後の、「➂減税すれば経済成長になる」との説をマジックと言い放つところは、一部の方たちには冷や水を浴びせる言葉となるでしょうね。

➁「歳出改革は国民の支持が高いよ」

二つ目の「歳出改革による増収」は、国民の支持が高いとしています。しかし、現在「少子化対策の安定的な財源確保の1.1兆円」の中身は以下だとしています。

➀「後期高齢負担率の設定方法の見直し」
➁「介護保険制度の利用者2割負担の範囲の見直し」
➂「医療・介護保険における金融所得や金融資産の勘案」
④「医療・介護の3割負担の判断基準の見直し」

これを「森信主管」は、上記の見直しの結果「財源」は確保できるが「高所得の高齢者や金融所得・金融資産が多い者」の負担は増えるとしています。

更に「歳出改革は負担の再配分であり、増税と裏腹の関係にある」と断言していますよ。コロちゃんがまとめれば「歳出改革は増税とあまり変わらないよ」となりますね。

➂「最後のプランは増税だよ」

さて、この話の流れからすると「最後に残った増税」」が「森信主幹」のおすすめプランなのでしょうね。

この「増税」には3つの利点があるとしています。下記ですよ。

➀「金融所得への課税強化は余裕のある者への負担増を通じて格差是正が可能になる」

➁「消費税は世代間の負担の公平を達成できる」

➂「さらに減税と組み合わせれば構造改革の効果が出る」

コロちゃんとしては、上記の内容の詳しい裏付けのデータも読みたかったのですが、この「増税部分」は10行しかありませんでした。

まあ、新聞紙上の「論考」ですから字数には制限があるのでしか仕方ないのかも知れませんが、「森信主管」は「財源論は避けられない」とは言っていますが、「増税しかない」とまでは書いていません。

あくまでも、上記の3つのプランを提示して「議論の結論を増税に導こう」としているように感じましたね。

④「増税は全世代型社会保障のためだよ」

コロちゃんがちょっと笑ったのは、現在焦点となっている「103万円の壁」を指すのだと思われますが、以下のように触れているのですよ

「所得が増えれば納税が発生するのは当然で、逆転現象も生じないのに『壁』と称するのは違和感がある」

ねっ、これは「上から目線」でしょ、「税金を取る方」の視点ですよね。だけど、理屈はその通りなのがコロちゃんが笑った理由です。

そこで新聞紙面で、あらためて「森信主幹」の専門を見てみたら「専門は租税法」と記載されていましたよ。なるほど、やはり「税金を取る方の理屈だわ」と納得しましたよ。

だけど「103万円を超えたら税金を取られるのを嫌って就労制限をしている方たち」に、面と向かって「所得が増えれば税金を払うのが当たり前でしょ」とは、なかなか言いにくいでしょうね。

おとと、話しがそれちゃいましたが、「森信主管」はこの論考の最後を以下の言葉で〆ていますよ。

「まずは歳出改革から議論をはじめ、国民の将来不安を軽減する全世代型社会保障の構築につなげていくのが良いだろう。決して財政再建のための増税ではない」

なるほど、「増税」を国民に納得してもらうためには、「財政再建」では説得できないと思っているのかも知れませんね。

それで比較的受け入れやすそうな「全世代型社会保障」と言う言葉を持ち出したのでしょう。決してウソではないですしね。

コロちゃんにも、理解でき賛同出来る「論考」でしたよ。

なお、この「日経新聞」の「経済教室」の「森信主管」の「政策実行/避けられぬ財源論」をお読みになりたい方は、下記のリンクのクリックをお願いします。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO84791330U4A111C2KE8000/

6.「全世代型社会保障と言う考え方はいいね」

上記で「日本の財政」がいつまでも「コロナ戦時体制」から、元に戻らない様子を見てきました。ここでコロちゃんの考え方を書きますね。

「物価上昇」が続くと「日本銀行」は金利を上げます。「金利上昇」は「インフレ退治の特効薬」なのですよ。

そして「金利」が上がれば、政府の借金の「金利」も上がらざるを得ません。

2025年度以降、金利がベースラインより1%上昇した場合の「国の借金の利払い費は3年後には4.3兆円、8年後には8.7兆円になるという財務省の試算」があります。

ですから「日本」は、いずれ「増税」と言う道に踏み込まないわけには行かないと言うのがコロちゃんの見解です。

しかし「財政再建のために増税をする」と言う理由は、おそらく「国民」に受け入れられないでしょう。

だから「社会保障制度改革と増税をセットで提起する」と言うのはいかがでしょうか?

将来の「年金が不安という声」は、多くの若い方たちからも聞かれます。

たとえ「年金制度」が維持できても「老後の生活を保つに足る年金額が受給できるのか?」という声も大きいでしょう。

そこで「増税はしますけれど老後の生活は安心ですよ」と言った新制度を提案する。

その為に「全世代型社会保障」という新たな「安心できる制度」を専門家を集めて知恵を絞ってもらうと言うのはいかがでしょうか?

コロちゃんは、今の制度を継ぎ接ぎしながら微調整を繰り返す今のやり方は、もう行き詰っているように思えますよ。

上記のプランは、コロちゃんの夢想です。だけど実現したらいいなー。
(´罒*)いー(*´□)なー

7.「コロちゃんとお金の価値感」

コロちゃんが、このブログで「増税」を繰り返し唱えていること既に明らかだと思いますので、今日はそっちには深入りしません。

今日は「お金を見る視点」が、「政府や企業経営者」とコロちゃんのような一般国民とでは、だいぶ違うのではないかということを書いてみますね。

コロちゃんは「生活者」ですから、「お金は生活するため」には大切なものです。一定の金額が毎月入って来ないと、たちまち「生活が困窮」してしまいますからね。

しかし、「非常時に備えたある程度の貯蓄」さえあれば、それ以上には必要としません。

コロちゃんが青年時代を過ごした1970年代に生きた人々は、コロちゃんと同じような「お金の価値観」をもっていたと思われますよ。

しかし「企業経営者」の「お金の価値観」は違っているでしょう。

「企業経営者」にとっての「お金」は、活発な「企業活動」を通じて「無限に増やすこと」を目的としたアイテムだと思われます。

だから「企業経営者が目指すお金の量に限度はありません」

コロちゃんは、今世の中を見渡していて2000年頃から「企業のお金の価値観」が、「生活者」の中に浸食してきたように感じています。

現在では「生活者」の大多数が、「企業経営者のお金の価値観」に共鳴・共感しているのではないでしょうか。

コロちゃんは、今日のテーマの「戻らぬ財政規律で大丈夫なの?」を書いていて、社会の「中間層や上層の方々」までが、政府からの「給付金や減税」を強く要求するような光景に驚いています。

この背景には、今の日本社会の「お金の価値観」が、変わってきたことがあるのではないかと、コロちゃんはちょっと危惧して上記の内容を書いてみました。

コロちゃんは、絶対に自分が正しい見方を持っているなどと言うことは考えていませんから、出来ればコロちゃんの考えすぎだったら良いと思っていますよ。

コロちゃんは、社会・経済・読書が好きなおじいさんです。

このブログはコロちゃんの完全な私見です。内容に間違いがあったらゴメンなさい。コロちゃんは豆腐メンタルですので、読んでお気に障りましたらご容赦お願いします(^_^.)

おしまい。

h kamaによるPixabayからの画像


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