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金融・投資レポート ’22.2.6

今週は下落トレンドの中の反発の動き、概ねプラスに傾くも上値は重い展開となりました。米主要3指数は週前半 堅調に推移するものの決算や指標を受け失速、週末に向けて押し戻される形となりました。

株0206

為替は欧州通貨が強く、特にユーロが一段高。ラガルド総裁がインフレ上昇に対しての警戒感を表明したことがハト派姿勢からの転換というサプライズとなり約3%の上昇となりました。ポンドも英中銀が0.25%から0.5%への利上げを表明したことで約1%高、豪ドルも資源価格の上昇に伴い強含む展開となりました。

為替0206

商品は原油が高値更新、米国の寒波によりテキサス州のシェールオイルの主要産地で採掘稼働が一時停止した報道を受け7年4か月ぶりに90ドルを突破し、一時は93.5ドルの高値を記録しました。OPEC+会合では、3月も予定通りの増産が決定されたものの、産油国の一部が供給計画未達の状態が続いていることや、ウクライナ問題の警戒感の高まりも価格上昇へ追い風となりました。

商品0206

今週は大型ハイテク株の決算や欧州中銀の政策金利発表などが材料となり、全体的に上値の重い展開となりました。FBは厳しい結果でしたし、アマゾンも視点によっては手放しで喜べないようなものでした。GAFAMだったら目をつぶって買っていけばよい、というわけでもないのでしょう。

米長期金利は1.9%を突破し、コロナ前の19年12月末の水準まで上昇しています。ちなみに同時期の政策金利・国債利回り・期待インフレ率を並べるとインフレと実質金利の関係は下記の通り様相が異なります。

19年比較

実質金利は10年債金利-期待インフレ率で算出しましたがインフレ率が高すぎて債券投資家は実質的には全く儲からない構図です。さらにインフレが加速すれば消費の鈍化や企業利益の圧迫により景気にブレーキがかかります。現在の長期金利の上昇は、業績を伴う良い金利上昇と言うよりは、景気後退を織り込み始めた悪い金利上昇と思えます。

話は変わりますが、杉本サロンは今週で3年となりました。まだ私が右も左も分からなかった2019年末にまとめたグラフを見つけたので、これに以後のデータを加筆してFF金利の変遷とインフレの関係を再整理してみました。

FF金利とインフレ

当時は2%のインフレ目標に対し2017年から政策金利を上げ続け、目標に達したところでさらに0.25%金利を上げたところで株価は耐えきれず腰折れしました。2018年クリスマスイブの暴落です。(S&Pは3か月で約20%超の下落)

その後FRBは予防的利下げと銘打ち0.25%ずつの利下げを繰り返し、パウエル議長が「スター☆エコノミー」と喜々と語るほどの景気回復があったことも記憶にあるのではないでしょうか。グラフで注目すべきは、こういった歴史的な流れが些細なことであったようにも思えるような現在のインフレ水準の高さです。

過去数年を振り返ると、0.25%レベルの政策金利の変更であっても、積みあがってくると急転するということがわかります。そして思ったほど金利を上げてもインフレ率は相対的にわずかしか変動していません。当時はこの程度のインフレ率の振れにも中央銀行は神経質に反応し、金融政策を取ってきたわけです。一方で今のインフレ水準は、よほど大胆な政策を取らなければ収拾がつかないことを示唆しています。残念ながらインフレ高進に対してのFRBの対処は遅く、こじらせているということもわかります。

今週発表された雇用統計における平均時給は前年同月比5.7%とたった1か月で1%も上昇しました。インフレ水準を平均2%に収束させるには、一体何度利上げを繰り返すのだろう?と思いますし、しつこい利上げを繰り返すことも明らかでしょう。この間に需要や業績がしぼまないかは丁寧に指標をみて機敏に判断していくしかありません。

来週は目立った経済指標も少なく、バリューの決算と木曜の消費者物価指数(CPI)がポイントになってくると思います。特にCPIは前回が前年同月比7%に対し今回の予想は7.3%と上振れ、CPIコアも5.9%と前回よりも高い予想となっています。粛々と数字を見続けて振る舞いを常に考えたいと思っています。

またウクライナに対してロシアが動きを強めるのは北京の冬期オリンピック閉会後ではとの憶測も飛び交っており、引き続き地政学リスクの高まりは継続でしょう。

原油に関しては、上記に加え供給側の計画未達や寒波・労働者不足による掘削量の鈍化など価格の支援材料には事欠かないため、100ドルも早期に視野に入ってくるのではないかと考えています。テクニカル的にも次の目標は110ドルが強く意識されているようですし(参考:2000年からの最高値は2008年7月の146ドル)石油株に関してはホールドのままで構わないと考えています。


<来週の注目指標など>
2/7(月)  中国財新サービス部門PMI
      ※キウイ休場 
2/8(火)     ファイザー・アリババ決算
2/9(水)   ディズニー決算
2/10(木) 米消費者物価指数(CPI)
       コカ・コーラ・ユニリーバ・ツイッター決算
2/11(金)  ミシガン大消費者信頼感指数
        ※日本休場

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