Q・C・Dとパタンナーについて
生産業者で求められる大きな要素や指標とは何か?
頻繁にビジネス本などで取り上げられるのが
Q(Quality)、C(Cost)、D(Delivery)
生産管理業務の基本的な指標と言えます
おおまかな解説ですが・・・
1. Quality(品質)
アパレル生産業務では、品質管理が特に重要です。最終的な製品の品質が顧客の満足度とブランドの評価に直結するため、以下の対策が求められます。
材料の選定と検品:使用する生地、付属品、ファスナー、ボタンなどの資材が、規定の品質基準を満たしているか事前に確認し、必要に応じてサンプルテストを実施します。
パターン精度の確認:パターン(型紙)がデザインに忠実であるか、また縫製しやすいかを検証し、試作段階で着用テストやフィッティングを行います。
製品検品:縫製後の製品は、シワやほつれ、ミスステッチなどがないか、各パーツや縫い目の強度が十分か確認し、品質に問題がないものだけが次の工程に進むように管理します。
2. Cost(コスト)
アパレル業界の生産では、コストを抑えながら高品質な製品を作ることが求められます。これには以下のアプローチが役立ちます。
材料費の最適化:生地や資材の仕入れ先を見直し、品質とコストのバランスが取れた供給元を選ぶ。また、製品ごとに適切な材料の使用量を算出し、無駄を抑える。
効率的なパターン配置:CADシステムなどを活用してパターンの配置を最適化し、生地の使用量を削減します。生産効率の高いパターン設計を行い、余分な生地の発生を防ぎます。
不良品削減と手戻り防止:初期段階での品質確認を徹底し、ミスや手戻りによるコスト増を防ぎます。各工程でチェックリストを設け、縫製不良や修正の回数を減らすようにします。
3. Delivery(納期)
アパレル業界はシーズンごとの納期が厳しく、納期を守ることが市場での競争力に直結します。納期管理には以下の対策が重要です。
生産スケジュールの調整:デザインから縫製、仕上げ、出荷までの工程をスケジュールに合わせて管理し、製造キャパシティの調整やリソースの最適化を図ります。
サプライヤー管理:材料や副資材の供給に遅延がないよう、サプライヤーとのコミュニケーションを密にし、供給状況を確認します。また、予備の供給ルートを用意してリスク回避も行います。
進捗の可視化:製造工程の進捗を常に追跡し、異常があればすぐに対策を講じるシステムを活用することで、納期の遵守を確保します。
アパレル製品の生産業務において、QCDの徹底管理は、競争力ある商品開発とブランド価値の向上に大きく貢献します。
効率的な業務体制を整えながら、品質、納期、コストのバランスを取ることで、消費者ニーズを的確に捉え、信頼性のある製品提供を実現するからです。
上記の通り、この中でパタンナーも大きな役割を果たします。
Quality(品質)では、パターン(型紙)がデザインに即しているか、生地物性に対して適切か、デザイナーと共にパタンナーも最終確認に当たります。
また縫製しやすいかを検証する確認では、パタンナーの縫製に対する知識やノウハウも大いに必要とされます。いくらデザインに即したパターンでも縫製しにくいパターンや困難な指示仕様では、どんなに技術の高い縫製技術を以てしても高い品質を保つことは困難です。またそれらを試作段階で着用テストやフィッティングを事前に行う役割もパタンナーとしては品質面のみならずその後の納期やコストなどとも関連する為、非常に重要となります
Cost(コスト)面では生地巾に対する用尺の調整を行う事で生地代を調整したり、縫製仕様などをデザインや高級感などの観点で変更したり調整したりすることで、縫製単価を調整等することでコストの削減が図れます。また上記の通り試作段階での着用テストやフィッティングなどもコスト面に影響します。
Delivery(納期)面でも上記のコストにも関連しますが、縫製仕様などの調整により、生産リードタイム(生産にかかる時間)を減らす様な縫製仕様へ調整する事で、納期を削減する事が可能です。
以上の通りパタンナーはパターンを制作するだけではなく、生産全体の生産管理業務に関しても大きな役割を果たし、調整役も果たす必要があります。
その為パタンナーが生産管理担当者を担当している、もしくは元パタンナーやパターンの知識や経験が豊富なスタッフが生産管理を担当しているブランドなども見受けられます。
アパレルやドレスの生産業務において、その方が効率的で業務精度としてもとしても高く、専門性も生かせると言えるかもしれません。
弊社ではスタッフ全員がパタンナーか、もしくは元パタンナーが生産管理を担当しています。
これを通じ、効率的な業務体制を整えながら、品質、納期、コストのバランスを取ることで、消費者ニーズを的確に捉え、信頼性のある製品提供が可能になる事を目指しています。
またそれを実現するために、もう一つ必要な要素があります。
それは専門性いわゆるプロフェッショナル
ではパタンナーが生産管理を行うなんて専門性に欠ける!
専門の生産管理担当を雇うべき!
と考えることもできる為、少々矛盾もしてしまいますが、専門の生産管理担当を雇った場合、当然パタンナー以外に当社のコストは増えます。
当然そうなれば、お客様のコストも増える可能性が高くなるか、
弊社の利益が減ります。
当社にとってもどちらも選択肢として無いです
特に当社の場合、パターンなどの外注業務も専門的にお受けしていますが、そのまま多数のお取引先様がサンプル縫製まで、または量産までご注文されます。
その為弊社の業務内容ではパターン制作スタッフがそのまま縫製などの生産管理業務に当たった方が効率がいいのです。また品質管理も容易で精度の高いものになります。
Q C Dはバランスが保たれていることで始めて、製品の競争力と顧客満足度が向上し、会社全体の成長に寄与する事になります
その為、専門性を高めつつ品質や効率性のバランスを保つために、パタンナーが生産などの管理・運営も行っています
ただし専門性という意味で技術的な部分は明確に分けております。
パタンナーが商品などの縫製を行う事は原則ありません
もちろんパタンナーは縫製や生地などの豊富な知識や経験
トワルを縫製する・仮縫い・簡易的なサンプル縫製や
試し縫いなどを行うなどの必要最低限の縫製技術はありますが
正式なサンプルや商品を生産する為の裁断や縫製を行う技術はありません。
もちろんその様な技術がパターンナーが持ち合わせていれば
それに越したことは無いですが、そこまで必要ないと考えます
パターンはパターン制作技術や知識として非常に奥が深く
デザインも生地も千差万別、デザイナー様も様々
何年続けてもここまででOKというほど極めるのに甘くは無いです
裁断や縫製または仕上げの技術も同様に
何年やっても勉強する必要があります
それぞれの技術者がそれぞれの分野で技術を高める事で
全体の商品技術が高まると考えております
その為弊社のスタッフに求めるのは
パタンナーはパタンナーとしての技術力の向上
また生産管理担当としての知識の向上と経験
縫製スタッフは生産技術向上
パタンナーに裁断や縫製の技術までは求めていません
その為弊社ではモデリストまでの技術や知識は求めません
一人の人がパターンも制作して
裁断もして、縫製もする・・・
延反は?仕上げは?まとめは?量産の場合は?・・・
結局、商品として
もしくはの業務としての品質レベルまで完結しません
オーダーメードやオートクチュールなどの商品を販売していたり
衣装やオケージョン商品の生産や
アイテムや生地によっては
モデリストが求められるアトリエやメゾンもあるかと思いますが
弊社は生産全般を行う生産業者の為、
それぞれがそれぞれの専門性を高めて
無駄や余分を可能な限り省いて
上記のQ・C・Dのバランスを保ちながら管理を行って、
アパレル製品やドレスの生産業務において、
競争力ある商品開発とブランド価値の向上に
大きく貢献したいと考えています