国際アパレル生産技術見本市に行く
先日、大阪で開催された
「国際アパレル&ノンアパレル生産技術見本市」
(JIAM: Japan International Apparel Machinery Trade Show)
に行ってきました。
JIAMはアパレル業界向けの縫製・生産技術に特化した展示会で、
国内外の最新機材や技術が一堂に会する場です。
以前は毎年開催されていたミシンショーとして
親しまれていた記憶がありますが、
現在では数年ごとに開催されている様です
JIAMとは?
JIAMは、世界最大級のアパレル機械・生産技術の見本市であり、
縫製機械をはじめ、裁断や仕上げに関する最新技術が集結します。
国際的な視点から、日本や海外のメーカーが競い合う場でもあり、
アパレル業界における革新技術を目にすることができる貴重な機会です。
出展内容は縫製や裁断機器だけにとどまらず、
AIやIoTを活用したスマート工場の提案など、
業界の未来を示唆する多くの技術が展示されています。
今回は大阪開催でしたが、もしかすると東京では
開催されていないかもしれません。
様々な最新機材が展示されていました
今回の展示会には台湾や中国をはじめ、
多くの海外メーカーも出展していました。
機材としては、自動裁断機が家庭用電源(100V)で
動くコンパクトなものも開発されており、
小規模なアトリエにも導入できそうです。
また、本格的な刺繍機も驚くほどコンパクトに進化し、
スペースが限られている現場でも使いやすくなっています。
さらに、JUKIの新しいコンピューターミシンは、
まるで縫製の未来を予感させるものでした。
まだ開発段階とのことですが、これがあれば
ほとんどの縫製作業が綺麗にこなせそうで、
当社にもぜひ導入したいと夢が広がります。
ウェディングドレスを扱う当社にとって、
仕上げ用の蒸気アイロンも注目の機材でした。
NAOMOTOのアイロンは持ち運びも簡単で便利そうですが、
専用用途にしては価格が少し高めでした。
人間が求められる縫製技術はどうなるのか?
展示会を回る中で、AI化による生産技術の進歩を
強く感じました。特に、シャツのように形や素材が
ある程度定まったアイテムについては、
ロボットアームを用いた完全自動縫製の機材も展示されていました。
今後、人間の手を必要としない縫製が
増えていく未来が見えましたが、
どんなデザインや素材にも対応できるわけではありません。
特に、複雑な意匠や特殊素材の場合は、
まだまだ人間の技術が欠かせないようです。
さらに、大量生産を前提とした機材がほとんどで、
小ロット生産ではコストが合わないという課題もあります。
現段階では、AI技術が進化しても、
物理的な工業技術が繊維製品の多様性に追いついていないのが現状です。
人間に例えるならば、「勉強はできるが不器用」
という印象でしょうか。決まったものを大量に作るには優れていますが、
柔軟性や多様性、そして何より生産ロットに関するコストの面では
まだ課題が残っています。
展示会を終えて感じたこと
展示会で得られた知見を通じて、
当社でもさらなる技術の導入や業務の効率化に向けたヒントを得ました。
繊維製品の生産技術は、AIや自動化により進化を遂げていますが、
多様性のあるデザインや小ロット生産に対応するには、
まだまだ人間の手の力が求められる場面が多いと感じます。
これからも、技術の進歩に注目しつつ、
現場での課題解決や品質向上に努めていきたいと思います。