NMB48のオタクがSexyZone(現timelesz+中島健人+マリウス葉)に沼落ちした時のことーアイドルが物語を紡ぐ力について

もうかなり時機を逸していることは自覚しているんですが、SexyZoneに沼落ちした時のことを書いておこうと思います。
だってSexyZoneに関しては、明確に“ここだ!!!!!!”という沼落ちの瞬間を覚えているんです。

2022→2023のカウントダウンコンサート、12/31で卒業するマリウスに、勝利くんが声をかけた瞬間。

「これからも、マリウスを含めSexyZoneという物語は続いていくので、マリウス、一緒に時代を創ろうね」


!!!!!!これです。
何で私がこの瞬間に陥落したかというと、それは48のオタクだったからだと思うのです。
現に、X(当時Twitter)の、私のフォローしているNMB48のオタクたちは「カウコン見た……?」「SexyZoneって…え…すごい……こんなの好きになってしまう」とかなりザワザワしていました。

何を隠そうAKB、NMBなど48のオタク(主語でか)、「歌も、ダンスも、ビジュアルも今一つなのに、何に熱狂してるの?未熟なのを愛でてるの?」と白い目で見られながらも、グループを愛している理由の一つに、「物語性」というのがあるんですよ。
いや物語性はどんなアイドルにもあると思うんですが、「自分で物語を紡ぎ、演出し、それを語りきる力」48のアイドルは特にその力が強いと思っています。そして、SexyZoneとtimeleszも。

ということで、いつか書きたいと思っていた「48グループの持つ物語を紡ぐ力」についてつらつらと話し、SexyZoneやtimeleszが紡いできた物語についても書こうと思っています。
目次を作っておくので、難波のオタクも、えけびのオタクも、セクゾのオタクも、タムのオタクも、興味があるところだけでも読んでくれたら嬉しいです。


「卒業」までの物語であるAKB48

AKB48。このアイドルグループの特異性の一つは、卒業=ラストが常に意識されたアイドルである、ということです。
彼女たちがなぜ制服をモチーフにした衣装を着ているのか。それは、オタクの好みにアジャストしているからなんかじゃなく、高校を3年間で卒業するように、「限られた時間」を意識しながら「瞬く間に過ぎ去る青春の日々」を体現するアイドルだからです。(と、私は勝手に思っている)

AKB48の1枚目のシングルは「桜の花びらたち」

桜の花びらたちがはらはら
思い出のその分だけ美しく
目の前の大人の階段
一緒に登って手を振ろう

AKB48『桜の花びらたち』

卒業の曲じゃん!!!!デビュー曲なのに!!!!2006年2月1日リリースなので確かに卒業シーズンだけれども!!!

でもこれには仕掛けがあって、卒業するときに卒業の曲を出すより、デビュー時から歌っていた方が、思い出がつまっていて泣けるんですね。
初々しいステージで精いっぱい大きく踊って歌っていたこと、お仕事が増えて自信もついて堂々たるパフォーマンスだった日のこと、選抜に選ばれず、どんな顔で歌っているのか心配でならなかった日のこと…。
色んな日の思い出を抱えながら、卒業の日に彼女たちは『桜の花びらたち』を歌い、オタクは視界を滲ませて彼女たちを見送ってきました。

これ、たくさんの卒業を見てきた今だからオタクにもわかりますけど、インディーズ1枚目のシングルからこの未来を見ていた秋元康は変だよ…変な人だよ…
まあそれはそれとして、こんな風にAKB48は最初から「卒業までにどんな物語を紡ぐか」というアイドルとしてプロデュースされています。

これは『桜の花びらたち』に限った話ではなく、
HKT48の3枚目シングル『桜みんなで食べた』

桜、みんなで食べた
掌の花びら
サヨナラつぶやいて
思い出と一緒に
ゆっくりと飲み込んだら
涙テイスト

NGT48初のオリジナル楽曲『Maxとき315号』

未来はいつも思ったよりも
やさしくて
風景がふいに滲んでくる

NGT48のデビューシングル『青春時計』

こんなに好きになっちゃうなんて
僕も今日まで想像しなかった
ああ でも 何もできない
思い出こそが青春

どれもこれも卒業の“そ”の字も想像しないようなグループの黎明期にリリースされていますが、その描写はアイドルが、グループを卒業する時のものなんですよ…まさに…。

ここまでは、まあ秋元康の仕掛けじゃん?という感じなんですが、48のグループのアイドルは、卒業する時に卒業コンサートや卒業公演を自分で作り上げます。セットリストを組み、歌唱メンバーを決め、演出を考え…。
彼女たちはみんな、卒業コンサートの、大切なシーンでこれらの曲を歌うのです。
例えばHKT48、現LE SSERAFIMの宮脇咲良ちゃんは、『桜、みんなで食べた』を卒業コンサートの最初と最後に配置しました。
『Maxとき315号』は北原里英ちゃん、『青春時計』はセンターの中井りかちゃんによって卒業コンサートのラストで印象的に歌われています。
彼女たちは大人の意思によってデビューし、曲を与えられてきたかもしれない。しかし、その曲がどんなふうに自分のアイドル人生を彩ってきたかを理解して、最後には自分の手で物語を締めくくって卒業していくのです。

こじはるパイセンの物語構成力

私は峯岸みなみちゃんの卒業公演のこのエピソードが大好きで!!!

「AKB最後の1期生」である、みぃちゃんの卒業公演。
あっちゃんや、たかみな、1期生みんなが歌ってきたデビュー曲「桜の花びらたち」を最後に歌うべき!というこじはるの一声で、急遽曲目が変更になったという話。

彼女たちには、物語として受容される、客体としての自分が見えているんじゃないかな、と思います。「自分はどんな物語を紡いできたアイドルなのか、どんな物語としてファンの心に残るのか」それらに自覚的で、卒業の時に物語を語りきる。その力が、アイドルをアイドルたらしめるのだと、私は思うのです。
あんなことも、こんなこともあったけど、それも私たちの物語の一部だね。そうやって卒業コンサートの時に微笑まれることで、私たちオタクは何度も救われてきました。

SexyZoneの物語構成力

はあ、はあ、はあ……わたしが、勝利君の

「これからも、マリウスを含めSexyZoneという物語は続いていくので、マリウス、一緒に時代を創ろうね」

に衝撃を受けて沼落ちした理由がおわかりいただけたでしょうか。
「時代を創ろうね」
これは言うまでもなく、彼らのデビュー曲『SexyZone』の歌詞を引用しています。
そのことは、当時ぼんやりとしかSexyZoneを知らなかった私にもわかりました。

地球はいつでもまわってる
195ヵ国の 夢をのせながら
Mildも地球の裏側じゃ
Wildになるよ
時代を創ろう SexyZone

マリウスは世界に羽ばたいていく。道は別れるかもしれないけど終わりじゃない。世界中で僕たちの物語は続いていく。
デビュー曲に込められた想い(伏線)を回収し、自分たちの今までとこれからを「物語として語る」覚悟、心揺れる場面でもアイドルとしてファンの前で次の夢を見せる覚悟、これに心打たれない48オタクがいようか……。
彼らの事務所のアイドルが、「グループを辞める」ということは、48とは違った意味を持つこと、たいていは“脱退”と呼ばれ、シリアスな空気を持っていたことを、なんとなく知っていました。
それを、あんな風に美しく送り出すには、愛情と、冷静な判断、根回し、話し合い、たくさんの準備が必要であっただろうことも。

現実は、物語のように美しいことばかりじゃありません。長いことアイドルオタクをしていると、急に現実を突きつけられて、応援する未来が途切れてしまい、悲しんだことだってあります。

それでも、全ては思い通りにならない現実を、物語に昇華する。彼らがたくさんの労力をかけて、自分たちの物語を提示するのは、“アイドルの物語”が持つパワーを、その物語が誰かを救うことを、信じているからなのかな、と思います。

”SexyZoneを宝箱にしまう”というラスト

すっかりSexyZoneを好きになって、ファンクラブに入り、シングルなども買うようになった一年後。「ケンティーがグループを離れる」というお知らせがありました。
なんてこった!私は中島健人さんがあと10年はグループにいてくれるものだと、能天気に思い込んでいました。「中島健人のいるSexyZone」を応援していく未来を思い描いていました。

Twitterを覗くと、私よりもっとずっと長く応援していたであろうファンの方々が悲嘆に暮れていました。

そんな中、「YouTube+ファンクラブ限定配信で3/31にラストライブをやります」というお知らせ。
ラストライブのFC限定ゾーンでは、マリウスも駆けつけ、デビュー時に携えていた薔薇を5人で花瓶に納め、物語を閉じました。

“1人がグループを離れる”というタイミングを、メンバー5人のSexyZoneからの卒業というラストにしてくれた。なんて美しく夢を見せてくれる人たちなんだろうと思いました。
現実には、メンバー間での話し合い、周りのスタッフさんとの話し合い、事務所との話し合い、準備、多くのものを乗り越えてあの形にたどり着いたのだと思います。きっと簡単じゃない。
だからこそ、彼らが、「5人のSexyZoneを宝箱にしまう」というお守りのような物語のラストを届けようとしてくれたことが伝わりました。
好きになって良かった。

ChapterIIとepisode0

SexyZoneで、マリウスが卒業した後、ChapterIIとして進めた物語。timeleszでは、episode0、と語り直されました。
たとえ語り直すことになっても、彼らが物語を語ることから降りないこと。
「現実は色々あるんだよ、思い通りになんかならないんだ」と言ってしまった方が、どんなに楽かわかりません。
それでも、美しく物語を語り続けようとする覚悟に、私は心打たれます。
timeleszが新メンバーオーディションを「仲間探し」と呼んで、新たな物語の始まりを示唆して私たちをワクワクさせてくれること。
どうなるかなんて誰にもわからないのに、「全部うまくいきます」と言ってくれること。
追い切れていないけど、ケンティーもきっと素敵な物語を語り始めているのだと思います。

私が彼らを好きなのは、やっぱり「彼らなら物語を語り切ってくれるだろう」という信頼があるからです。現実を泳ぎながらも、物語を見せていくアイドルとしての矜持を感じるからです。


アイドルが、自分たちの“物語”の力を信じて、語ってくれること。振り返って、こんなこともあったねと優しく微笑んでくれること。今も物語は続いている、と思わせてくれること。そのことに、何回も魅せられてきたし、今も救われています。

というわけで、timeleszさんの物語の現在地はこちら👇


タ、タイプローー!どーなるんだいったい!!!
物語は続く!!!!!



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