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紹介&感想!!トワイライト・ウォリアーズ
おはよう、熊のころくまです。
最近は春休みが始まったので怠惰な日々を過ごしています。
休みになったらやりたいことはいくらでも思いつくのに、いざその時が来ると、ゲームばかりの毎日を過ごしてしまいます。
結局ぼくはゲームのことを心の底から愛しているので、それはそれで悪くないことなのかもしれませんが。
さて、そんな休日を過ごしているぼくですが、最近、『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』という映画を観ました。
トワイライトウォリアーズは英領時代の香港の九龍城砦という場所を舞台にしたアクション映画です。
アクション良し、ストーリー良し、雰囲気良しの何重にも楽しめるすごく良い作品でした。
ということで今日はトワイライトウォリアーズの紹介と感想を書こうと思います。
後半に少し書く感想より前の部分は、なるべくネタバレを避けて書いているので、まだ観ていない人も是非読んでってください。
紹介!九龍城砦
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本邦においては『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』というタイトルで公開されている香港映画。長いのでここでは便宜上トワイライトウォリアーズと呼ぶことにする。
あらすじは以下の通り。
九龍城砦(きゅうりゅうじょうさい)――かつて無数の黒社会が野望を燃やし、覇権を争っていた。
80年代、香港へ密入国した若者、陳洛軍(チャン・ロッグワン)は、黒社会の掟に逆らったことで組織に追われ、運命に導かれるように九龍城砦へ逃げ込む。そこで住民たちに受け入れられ、絆を深めながら仲間と出会い、友情を育んでいく。やがて、九龍城砦を巻き込んだ争いが激化する中、陳洛軍たちはそれぞれの信念を胸に、命を懸けた最後の戦いに挑む――。
映画の雰囲気は予告を観れば手っ取り早くわかると思うので以下に貼っておく、よければ確認しておいてね。
かつての英領香港に存在した巨大なスラム街である九龍城砦に迷い込んだ主人公、陳洛軍が城砦の人々と出会い、共に暮らすなかで自らの居場所を見出していく、というのが簡単な筋書き。
主人公と、仲を深めた若い仲間たちは、やがて九龍城砦を巡る争いに身を投じることになるのだが、彼らにとってはいずれ消えゆく故郷である九龍城砦という舞台が、古い世代と新しい世代の間で揺れる人々の争う様子と重なって、独特のカタルシスを感じさせられる。
また、魅力的で印象に残るような登場人物が多く登場するのも本作の素晴らしい点。 九龍城砦に暮らす人々のコミュニティを守り、見守ってきた龍兄貴、過去の因縁を忘れられない秋兄貴など、トワイライトウォリアーズのストーリーとその価値観を表現するにあたって不可欠なキャラクターばかりで良い。 他にも、喧嘩もできる医者の四仔、いつも自分の見た目ばかり気にしているイケメンの信一など、魅力的なキャラクターが多く登場する。 一人は"推し"のようなキャラクターができるかも?
ストーリーや登場人物の良さもさることながら、アクションも同様に素晴らしい。
重要なシーンに差し込まれるアクションは、ケレン味で溢れていながらも緻密に作り込まれていて、全く飽きることがない。
たとえば、古い世代が武術を駆使した老練なスタイルで戦うのに対して、若い世代は創造性溢れるストリートの喧嘩のようなスタイルで戦っていることなど、アクション一つを取って見ても、納得感のあるキャラ付けがなされていて、見ごたえがある。
そして何より、トワイライトウォリアーズは、九龍城砦とそこにあった生活をすさまじい熱量で再現しているのが物凄く印象に残る。 緻密に表現された世界観のリアリティが、異国の地の、もう失われた場所にすらぼくたちを連れて行ってくれるというか、あの世界観への強い納得感が登場人物たちと同じ景色を見せてくれていたのだと思う。
画面の奥で、確かに彼らが生きていたのだ。
もし、ほんの少しでも九龍城砦の再現を妥協していれば、物語を通してこれほどのカタルシスを得られることはなかっただろう。そう思わざるを得ないほどに、素晴らしかった。
ただアクションが素晴らしかっただけではない、ただストーリーが良かっただけでもない。 九龍城砦と共に一つの時代の黄昏を生き抜いた人々の生き様を強い思いを持って描き切ったことが、トワイライトウォリアーズを傑作たらしめているのだと思う。
多くの人におすすめしたい作品。上映しているうちに観ておくのを強く勧める。
ぼくは好き過ぎて2回観に行った。
序盤の言動の意図がわかると、別の角度からもう一度感動できるので、2度観ても楽しい。
感想!九龍城砦(ネタバレ注意)
以下はトワイライトウォリアーズを観たあとのぼくが勢いで書き殴った感想たちです。
ネタバレをめちゃくちゃ含みます、既に観た人だけ読んでってください。
あと原作に関する知識などはほとんどないので、オタクの妄言くらいのものだと思って読んでいただけると大変助かります。
(ネタバレ注意!!!!!!!)
理髪店という職業は龍兄貴の生き様と人望を象徴しているように見える。 髭を剃るとき、剃刀を首の近くに突き立てることになるわけで、それは多分、互いが互いを相当信用していないとできない行為だと思う。
あと陳親子の髭を剃る龍兄貴の心情を考えると飯を何倍でも食える。あのとき、長い年月を乗り越えて帰ってきた陳洛軍が九龍城砦に居場所を見出しているのを見た龍兄貴はどんな気持ちだったんだろうか。
王九の自分の強さに絶対的な信頼を置いているからこその若干鼻につく立ち振る舞いが魅力的だった。 あとあの時点でほとんど作中最強と言ってもよさそうな彼が恐れとも畏れとも取れる感情を寄せていて、結局彼らしからぬ後ろめたいやり方で殺すことになってしまう大ボスとかいう人間はマジで何なんだよ。大ボスを殺したときの不意打ち、正面からでは大ボスを倒せないかもしれないからこその卑怯な手だったのか、何らかの感情を大ボスに寄せていて正面から殺すのを躊躇っていたからの行いなのか、マジでどちらなのかわからなくて辛い。
王九は最期の瞬間まで自らの強さを信じていたのが本当に美しかった。 あれこそが彼の生き様なんだよな。
最後に解放される秋兄貴から見える陳洛軍が、陳占→龍兄貴→陳洛軍と移り変わっていくの、まさに作中で言うところの「変わらないもの」の片鱗がそこにあった気がしてすごく良い。
あと王九にリベンジするときの陳洛軍が陳占と似たような戦い方をしていたの、めちゃくちゃ胸アツだった。ちゃんとバトンは渡されたんだなって。
変化していくことを受け入れながらも、変わらないものを信じ続けるスタンスは龍兄貴のやってきた人を信じてコミュニティを治めるやり方と通ずるところを感じる。
親は子を信じているから、その変化を否定しないし、
子も親を信じているから、残されたものを引き継ごうとしている。
秋兄貴の妻子を殺すときの陳占、冷徹と言うにはあまりにも感情を押し殺しすぎているようにも見えて、実際のところあの場面でどんな気持ちだったのか気になって仕方ない。
あの作品、特に龍兄貴とその一派は、人を信じ、信じる人と物のために戦おうとしているのが印象的だし、信じるものが違うだけで義兄弟である陳占と殺し合うことになってしまうの、とても悲しい。 争いのあと、多くのものが去っていった九龍城を背負ってきた龍兄貴と仲間たちの頼もしい背中が恐ろしく見えてくる。
夜が来れば古いものは去り、日が昇ればまた新しいものが来る、絶えず変化する世の中で、己の黄昏に行き当たった若者たちが、それでも変わらないものを信じ続けて前に進もうとしていたことに、力強い生命と複雑な希望が見えるのが本当に好き。
それに、現在とは常に先人の生き抜いた過去に連なるものであって、彼らの築く未来がもう去ってしまった人々や物を置き去りにすることは決してないはず。 兄貴がいて、九龍城砦のあった過去の先に、陳洛軍たちの生きた時代と、私たちの今があり、明日も脈々と積み上げていく未来がある。私たちはいつも一繋ぎの世界を生きている。人々がバトンを繋ぐ限り、世界がどんなに変わってしまっても、そういう精神だけはきっと揺らぐことはないのだと強く感じさせられた。
さいごに
読んでくださってありがとうございます。
マジでめっちゃおもしろ映画なので良かったら観に行ってみていただけると感想を共有できる仲間が増えるのでとてもうれしいです。
もう観られた方は是非またどこかで感想を語り合いましょう!!!
それでは、ぼくはこれから春の大掃除を始めるのでお暇します。
おやすみ、熊のころくまでした。