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生物はなぜ死ぬのか AIはリロードする
生物はなぜ死ぬのか 小林武彦 2021年4月21日
初版が2021年、この歳の7月、東京オリンピックの開会式、私は急性心筋梗塞で病院に担ぎ込まれた。あのコロナ禍の怒濤の日々の中で、運良く生還した。一方、その中で亡くなった人達もいる。特に高齢者が沢山亡くなられた。なぜ人は年を取ると病気になり、それがトリガーとなって亡くなるのだろう。その疑問の回答のような本が話題になっていた。
終末へのカウントダウン
人生の終盤にかかると、数々の危機を乗り越えて働いてきた結果として、暇になる。しかし、十代の暇とは違い。ここからは終末へのカウントダウンの暇となる。暇を潰す度に余生が消えていく。
残された人生をどう生きるか、その始まりの年、2021年夏、65才の誕生日を病院で迎えた私だ。この時カウントがゼロ近くになっていたが、なんとか長年のトレーニングで持ちこたえていた。
当時の心臓リハビリを担当した女医さんが、私の2回目の心肺運動負荷試験(CPX)の結果を見て言った。
「***さん、良かったですね、寿命が延びましたよ」
健常者の1.5倍程度、Peak VO2(最高酸素摂取量)、AT(嫌気性代謝閾値)が復活しており、心臓機能も、なんとか55%まで(基準は50%以上)となった。
嬉しいことだけど、それは薬と毎日の摂生とトレーニングの結果であった。私としては、これからの夢があったが、それをやるにも、体あってこそのことで、今後は定期的な通院や薬の制限がかかる。それに加えて、ちょくちょく故障が起こる体。免疫が低下しているのか、体に謎の発疹が乾燥期に出る。さらに今年の1月まで、脊柱管狭窄で半年のリハビリ、理学療法士の世話になっていた。
そして、毎日、何時ものトレーニングをする。さらに歯の手入れ、皮膚の手入れ、頭皮の手入れ、花粉症もある。このNoteでの頭のトレーニングもしている。そんな数々のルーチンワークで日々が過ぎて行く、これが歳を取っていく事なのかと、将来に霧がかかっている状態だ。
「どこが、悠々自適だ」と愚痴る。
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ノート(パソコン)へ書き出す
たまに、参考にしたいと思う本(新書)などは、読みながら、キーワードなどをパソコンで色々と整理し、調べながら読むことがある。最近、やる気がしなかったが、久しぶりにやってみた。単語の羅列で、起承転結はない文章、メモとなっている。
読み始めると、生物の本かと思ったら、ビッグバンから話が始まった。
内容は章ごとにまとめている。
第1章 そもそも生物はなぜ誕生したか
1.TMT 30m口径の大望遠鏡 Thirty Meter Telescope
始まりは天体観測からだ。
家の近所(3キロ)にある国立天文台はよく行く場所だ。実際、このTMTが建設予定のマウナケア(4200m)も登っている。いきなり面白いぞ。
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TMT
次世代大型望遠鏡プロジェクトを進める「国立天文台TMTプロジェクト」2014年にハワイ島マウナケア山頂で本格建設がスタート。現在、環境問題かなんだか分からないが頓挫している。
ハワイ島のマウナケア山頂に望遠鏡を新設する計画が承認された際、建設に反対する先住民らの団体が山頂に続く道路を封鎖したのだ。 抗議活動を受けて、新たに監督機関が設けられたが、現在に至るまで新しい望遠鏡は建設されないまま資金源を失う瀬戸際に追い込まれている。2024/05/28
2.宇宙の始まり、ビックバンは138億光年前に起こった。そして138億光年先をTMTで観測出来る。つまり宇宙の起源が分かる。これは凄い話だ。
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3.生命誕生は未だに謎、分からないそうだ。つまり再生実験が不可能なのだ。生物の元は化学反応から始まる。それも有機体として、タンパク質(材料 アミノ酸 核酸(DNA RNA(元となる糖 塩基)がいる。そして生物となるには自己複製が必要となる。
4.一番シンプルな生物はバクテリア(細菌)、ブラッシュアップライフで、成人式で騒いでいたヤンキー君が次に転生するバクテリアだ。
一方、コロナ禍で騒がれたウイルスは遺伝物質だけの塊だ。つまり無生物、生物に取り込まれてから自己複製する。ウイルスはエネルギーを作るタンパク質が作れない。つまり、咳きなどで体から外へでると最後は死滅する。とくにアルコールに弱いという。酒で消毒。
5.生物と無生物の違い、単独で生き、複製出来ないものは無生物となる。
ここで、魚などに寄生する生物は無生物かと疑問が・・。
調べると、「生物は祖先がいて子孫がいる。でも、無生物には祖先も子孫もない」となる。
6.リボソームがタンパク質を合成する。情報RNAだけで細胞が出来上がる。そして生命誕生その確率は、25mプールに分解した時計を入れてかき混ぜていたら、たまたま時計が組み上がったという、ほぼ不可能な確率で起こった。不思議だが、そうなのだ。
リボソームは、すべての細胞に存在する生体タンパク質合成(mRNAの翻訳)を行う分子機械である。 リボソームは、伝令RNA(mRNA)分子のコドンによって指定された順序でアミノ酸をつなぎ合わせ、ポリペプチド鎖を形成する。
7.恒星=太陽 燃える星 その周りを回る惑星=地球 夜空の星は恒星となる。宇宙人がいるかもしれない惑星は夜空に見えてない。
8.生物の誕生の確立の低さを考えると、同じ環境で、同時代に高等生物が宇宙に存在する可能性はないが、100%無いとは言い切れない。
9.1章のまとめ、生命とはturn over /生まれ代わる事、その多様性から生物は美しい。なんか分かる。
第2章 そもそも生物はなぜ絶滅するか
1.「進化が生き物を作った」 この本のキーワードだ。建築的にはスクラップ・ビルドだ。
変異、進化、絶滅 そして環境に適応した生物が生き残った。
2.バクテリア=原核生物、真核細胞(ミトコンドリア(酸素を取り込む))それらが葉緑体(ようりょくたい)を取り込み、光光合成をする植物細胞となる。
真核生物(原生生物)はゾウリムシ ミドリムシ。ここから多細胞生物へ変異する。
3.生物進化の第一の法則「変化と選択」多様な生物の誕生から生態系が出来上がった。多様性が生物の生き残る条件だ。
4.現在、絶滅時代へ突入している。この絶滅の原因は人間だ。
過去5回地球では大量絶滅があった。最後の絶滅は中世代白亜紀の恐竜絶滅だ。
生物多様性として10%の(ニッチ)特殊な生物が消えたら、それを補うものはいない。そしてドミノ倒しで生物の絶滅が加速する。現在、虫の世界で起こっている。サイレント・アースを読んで欲しい。
5.視覚の多様性の話、人の視覚は同じではない。ある色が見えない人と見える人がいる。そのテスト動画だ。
6.2章のまとめ、進化 「変化と選択」「多様化と絶滅」そして「進化が生き物を作った」
第3章そもそも生物はどのように死ぬのか
1.細菌(バクテリア)は老化しない。死なない。
2.原生動物 ゾウリムシ ミドリムシ 老化する 600回分裂で死ぬ 生存約200日。
3.粘菌 利他的に死ぬ 一部が再生する。
4.酵母 母酵母は20回分裂して、娘酵母を作る そして老化して死ぬ 生存3日。
5.約98万種類(昆虫)/約180万種の地球の生物となっている。昆虫は成虫になり繁殖して死ぬ。つまり老化はない。
6.ハツカネズミ 野性では1年程度で捕食されて死ぬ。成長は早いが、捕食される率が高いので、長生きする必要がない。ビーバーなど大きいネズミは20年生きる。
7.3章のまとめ 動物には人間のような長い老後はない。
第4章そもそも人はどのように死ぬのか
1. 何故死ぬか、免疫細胞の老化による免疫低下のより病気になってしまう。
2. 癌は細胞レベルで、細胞増殖をコントロールするDNAが機能しなくなる。
3. ゲノムの寿命は55才、死んだ細胞を処理出来なくんなり、ここから癌も含めて病気になる。
4.日本人の死因 1位癌 2位虚血性心疾患 3位老衰(多臓器不全) 4位脳血管疾患 5位肺炎、誤嚥、1位から4位までは主な原因は老化だ。
4. ここで整理する、DNA=遺伝子情報 生き物一つ分の遺伝子情報=ゲノムとなる。
5. DNA合成酵素の「正確性」「ほどよい不正確性」がいい。
6. 細胞 大枠3分化されている。
体細胞 一番多い細胞、50回分裂して終わる。
幹細胞 失われた細胞を供給する。細胞が入れ替わる。
生殖系列の細胞
幹細胞の劣化=老化となる。
8.細胞の入替時間 皮膚=4週間 血液=4ヶ月 骨(最も長い)=4年
入替をしない組織 心筋細胞 神経細胞 つまり心臓と脳は 一生涯同じ、傷ついたら元通りにならない。だから、脳死、心臓死で死んだと判断するのかと思ったりする。
9.加齢で劣化する幹細胞、新しい細胞が作れない、血液、免疫 この関係の細胞が作れない、当然血液の疾患、感染症になりやすい。悪い細胞が入れ替えられない。コロナ禍でそれが顕著になっていた。
10.老化細胞の除去とは自信で分解する。免疫細胞に食べられる。
しかし、老化した細胞は除去されずに体に残る。そしてサイトカイン=炎症を起こし続ける。糖尿病 癌、動脈硬化を起こす。
11.細胞分裂の度にテロメアが短くなり、半分になったところで老化が始まる。
テロメアとは染色体の末端にある構造で、1930年代に細胞遺伝学的研究から発見されました。 分子生物学の発展によりDNAの複製機構が明らかになっています。 テロメアは細胞分裂を重ねるごとに短くなり、細胞の寿命は遺伝情報が詰まった染色体の末端にあるテロメア(分裂時計)の短縮が関与しています。
12.細胞分裂を続けるゲノムに異変が蓄積→癌化のリスクが上がる。
免疫機構と老化の仕組みで細胞を入れ替える。
55才位で、ゲノムの傷が限界に達して、異常な細胞(ゴミの細胞)が増え続ける。結果病気になる。そして死ぬ。DNAが傷つくことで老化が促進する。紫外線はDNAを傷つけるそうだ。
13.早期老化症って沢山あった。驚く。
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第5章そもそも生物はなぜ死ぬか
1.多様性のため、人は死ぬ、ターンオーバーする。何度も生き返りして最適化する。
2.有性生殖が多様性を生み出している。
3.食事制限すると寿命が延びる。
4.酵母で見つかった寿命に関わる3つの遺伝子GPR1 FOB1 SIR2。記号だけで、よく分からない。
5.AIは死なない。
最後
人はどんなに優秀でも死ぬ。だから子孫を教育し、資料を残す。一方、永遠に生きるのがAIだという。しかし、昔読んだSFで、自ら死んだAIがいた。
生命は再生ごとに進化する、それにAIも従ったのだろう。
映画マトリックスは、システムを再起動させるために、ネオ(キアヌ・リーブス)を利用した。細かい所は宗教がからむので、よくわからん。
され、この本、読むのに2日間、およそ8時間かかった。AIは死なないと著者の小林さんは言う。でもコンピュータでもデーターのゴミは溜まるのでリロード、リセット(アップデート)が必要だ。この辺りが所詮人間が作ったものという感じがする。