拝啓 花菱撫子様、お元気ですか
もう半年以上、心に澱のように溜まっていたしこりのような感情がある。
スクエニプロデュースのバーチャルアイドルグループ GEMS COMPANY 通称「ジェムカン」には、今年3月で卒業してしまった2人のメンバーがいる。そのうちのひとり、花菱撫子さんを、私はずっと最推ししていた。ジェムカンの活動のかなり初期に直筆サイン色紙をいただいたのがきっかけで、表向きは箱推しと言いつつ、いつの間にか、いつも全力で、ファンの心に明るい花を咲かせてくれる彼女の姿を追いかけていた。
そんな彼女の卒業の日。最後のツイートがこちら。
これに、私がなんてリプしたと思いますか。
衝撃ですよ。
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
アホか!アホか!!アホか!!!何だ「またね〜」って。
ひどい。酷すぎる。死にたい。
という、この後悔をずーっと引きずっているのである。
彼女は湿っぽい空気を微塵も出さずに、さっぱりと決断して軽々と新天地に行ってしまった。2年間の青春を全力で走りきったんだと思う。そして、ジェムカンに多大な文化的貢献と爪痕を残した。
卒業報告配信はとても複雑な思いで観た。観ながら「この感じ、見たことある」と思った。私も社会人としてそれなりに長く生きていたのだが、辞めていく女性社員がこんな感じなのだ。
彼女は、こうなったらもう引き止めようが無いという毅然さを纏わせていた。そして、最後まで全力で仕事するという大人の女性であった。こんなにいつも通り楽しくて笑えた卒業報告配信が他にあるだろうか?
永遠のJDは立派な社会人だった。
それでも送り出す方は辛いし、ファンとして何が足りなかったんだろうという後悔と悔しさでいっぱいになる。なででの動画アーカイブが辛くて見れない時期が何ヶ月かあった。ジェムカンの他のメンバーの動画からも足が遠のいていた時期すらあった。
自分で思っていた以上に、彼女のことが好きだったのだ。アイドルとしての「好き」に初めて出会わせてくれたのだと思う。
しかし、最後のツイートのリプで、あなたのことが好きでした、辞めないで欲しかった、とは言えなかった。何でだろう。新天地で未練なく頑張ってほしいという気持ちがあった。
いや、ただ怖かったのだ。それを口にしてしまうのが。
しかし、とあるVTuberが「ファンに好きだって言われて嫌なわけがないよ、書いて伝えた方がいいよ」と配信で言っていて、心が開かれた思いがした。そのVTuberは運営に見放され、プロジェクトがいつ終了するかも実際かなり分からない。そんな彼女の言葉は重く自分に響いた。
それ以来、何ヶ月かかけてこのnoteを書いてきた。
そして、今日ラジオで流れたこの曲を聴いて、ついに公開する決心をした。
最後のツイートへのリプをいま、改めて書き直して送りたいのだ。
もうTwitterアカウントにはログインできないだろうから、こうして公開することをお許しいただきたい。
拝啓 花菱撫子様、お元気ですか。
あなたのことが、好きでした。
ずっとジェムカンを続けて欲しかった。
辞めてしまって、悲しかった。辞めないで欲しかった。
花菱撫子という存在を届けてくれて、ありがとうございました。
花菱撫子というコンテンツが永遠に誰かの記憶に残りますように。
少なくとも自分は、ずっと忘れることはないでしょう。
ごきげんよう!ごきげんよう!また会う日まで。