やさしく解説 【浮腫】

朝起きたら顔がパンパン。靴がきつくて履けない。指輪が抜けなくなった...。
そう、これらはすべて「むくみ=浮腫」の症状ですよね。
今回は浮腫のメカニズムに焦点をあてて解説していきます。

ここ、病理の分野でよく出題されますけど、丸暗記になっている方も多いと思います。そんな方のために、なるべく簡単な言葉で仕組みを説明してみました。

まず、
浮腫には2つのタイプがあります

1. 全身性の浮腫
2. 局所的な浮腫

全身性の浮腫
全身性の浮腫は、文字通り体全体がむくみます。これには様々な原因があります。

- 心臓の病気(心不全など)
- 肝臓の病気(肝硬変など)
- 腎臓の病気(腎不全など)
- 栄養失調
- ホルモンの異常
- 妊娠

例えば、心臓が弱っていると、血液を全身に送り出す力が弱くなります。すると、血液が体の末端でうっ血(血液の流れが悪くなり滞ってしまう状態)してしまい、その結果、水分が血管の外に漏れ出してむくみが起こるんです。

ちなみにうっ血の定義が大事なので軽く説明しておきますね
うっ血とは、血液の流れが悪くなり滞ってしまう状態で、静脈の血液が異常に多くたまった状態です。

話を戻して、

局所的な浮腫
一方、局所的なむくみは体の一部分だけがむくむタイプです。これにも様々な原因があります。

- リンパ管の詰まり
- アレルギー反応
- 炎症
- 神経の問題

例えば、虫に刺されてその部分が腫れ上がったことはありませんか?これも局所的なむくみの一種です。虫刺されによってその部分に炎症が起き、血管から水分が漏れ出してむくみが起こるわけですよね。

じゃあ、ここから本題です。

浮腫が起こるメカニズム
浮腫の主なメカニズムは主に3つです。1つずつ解説していきますね。

1. 毛細血管の圧力上昇
毛細血管は体中に張り巡らされた細い血管で、組織に栄養を届ける役割があります。通常、毛細血管内の圧力はバランスが取れていますが、心臓の機能低下などにより、この圧力が上昇すると問題が起こります。

え?心臓機能が低下してるのに、毛細血管の圧力が上昇する?

そう、ここが難しいとことなんですけど、
心臓の機能低下により血管内圧力が上昇するというのは、以下のようなメカニズムを指しています

a. 心臓のポンプ機能低下:
心臓の機能が低下すると、十分な血液を全身に送り出せなくなります。これにより、体の末端部分(特に足など)で血液が滞留しやすくなります。
川の流れを想像してください。流れが激しいところは、水がよどまないですよね。対して、流れがないところは水がよどんできます。そのイメージです。

b. 血液のうっ血:
で、血液が滞留すると、その部分の毛細血管内の圧力が上昇します。つまり毛細血管に血液が溜まるってことです。これは特に重力の影響を受けやすい下半身で顕著に現れます。

毛細血管内の圧力が上昇すると、周囲の組織へと水が移動していきます。これが浮腫を引き起こします。

3. 腎臓機能への影響:
また心臓から十分な血液が送られないと、腎臓への血流も減少します。これにより腎臓の機能が低下し、尿の生成が減少します。結果として、体内に水分が貯留しやすくなります。

このように、心臓の機能低下は単に血液を送り出す力が弱まるだけでなく、体内の水分バランスや毛細血管内の圧力にも大きな影響を与え、様々な問題を引き起こす可能性があります。

この一連の流れを理解することがポイントです。心臓機能の低下がむくみになる理由はさまざまな因子が関係していると言えますね。つまり心臓機能が低下→毛細血管の圧力が上昇→浮腫

つぎに他のメカニズムとして血液の濃度低下が挙げられます。

2. 血液の濃度低下
血液中には、アルブミンというタンパク質が含まれています。このアルブミンは、スポンジのように水分を引き寄せる性質があり、通常は血液中の水分を保持する役割を果たしています。

しかし、
肝臓の病気や栄養不足でアルブミンが減少すると、血液の水分保持力が弱まります。その結果、水分が血管外に漏れ出しやすくなり、むくみが生じます。


3つ目はリンパ管の機能障害が挙げられます。

3. リンパ管の機能障害
リンパ管は、体内の余分な水分を回収して循環させる重要な役割を担っています。しかし、このリンパ管が何らかの理由で機能しなくなると、水分の回収がうまくいかなくなります。

例えば、 がん治療でリンパ節を取り除いた後、その部位の近くでむくみが起こることがあります。 これは、リンパ液の流れが滞ることで起こる浮腫です。

まとめ
浮腫は、これら3つのメカニズムが単独で、あるいは組み合わさって起こります。丸暗記するよりも仕組みを理解したほうが、応用力もつくし得点しやすくなります。ぜひ理解して自分で説明できるようになってください。

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