【修復】オフィスブリーチで知っておきたい薬剤と保護材の知識
116B-33,34 オフィスブリーチで知っておきたい薬剤と保護材の知識
今回は、写真を見ながら漂白処置の種類や使用する薬剤について学んでいきましょう。
まず、写真をご覧ください。
この写真に写っている処置は何だと思いますか?
そして、矢印で示されている薬剤の主成分と作用機序は何でしょうか?
歯の漂白には、大きく分けて「ホームブリーチ」と「オフィスブリーチ」があります。ホームブリーチは自宅で行う方法で、歯科医院で作製したカスタムトレーに薬剤を入れて使用します。一方、オフィスブリーチは歯科医院で行う方法です。
さて、写真3を見てみましょう。
写真を見ると、歯の周りの歯肉に何か塗られているのが見えますね。これは歯肉保護材と呼ばれるものです。
なぜ歯肉保護材を使うのでしょうか?
オフィスブリーチでは高濃度の過酸化水素を使用します。この過酸化水素は強力な漂白効果がある一方で、歯肉に接触すると炎症を起こす可能性があります。そのため、歯肉を保護する必要があるのです。
歯肉保護材は通常、光重合型のレジン材料で作られています。これを歯肉に塗布して光を当てると硬化し、ゴム状の保護膜を形成します。この保護膜が、漂白剤が歯肉に触れるのを防ぐのです。
歯肉保護材の使用は、オフィスブリーチの大きな特徴です。一方、ホームブリーチではカスタムトレーを使用するため、このような保護材は必要ありません。
つまり、この写真で歯肉保護材が見えることから、これがオフィスブリーチの施術場面だとわかるのです。
では、オフィスブリーチで使用する薬剤の主成分は何でしょうか?
正解は「過酸化水素」です。過酸化水素は強い漂白作用を持つため、オフィスブリーチに適しています。
ここで問題文と選択肢を見ていきましょう。
問題文の矢印は赤色の部分を指していますね。
オフィスブリーチで使用する薬剤の主成分は「過酸化水素」でしたね。
よってこの問題の正解はa.過酸化水素ということになります。
他の選択肢を見てみましょう。
過酸化尿素はホームブリーチで使用しますが、オフィスブリーチでは使いません。ポリリン酸は歯磨剤に含まれることがありますが、漂白剤ではありません。ポリリン酸は、歯の表面に付着した汚れを除去するのに有効であり、ホワイトニング効果を持つ歯磨き粉によく配合されています。とはいえ、オフィスブリーチでは使用しません。
過ホウ酸ナトリウムは漂白作用がありますが、主にホームブリーチで使用します。EDTAは象牙質を軟化させる作用があり、根管洗浄やスミヤー層の除去に 使用されます。漂白剤としては使用しません。
次に、過酸化水素の作用機序についてです。
正解は「酸化作用」です。過酸化水素は強い酸化作用を持ち、これによって歯の着色物質を分解し、歯を白くします。
他の選択肢を見てみましょう。
まず、緩衝作用についてです。
緩衝作用とは、溶液のpHが変化するのを抑える働きのことです。例えば、唾液には緩衝作用があり、口腔内のpHを一定に保つ役割があります。しかし、この作用は歯の漂白には直接関係ありません。漂白剤のpHは重要ですが、それを安定させる働きは漂白のメカニズムとは別物なのです。
次に、清掃作用についてです。これは文字通り、汚れを物理的に取り除く働きのことです。歯磨きをする時、ブラシで歯の表面をこするのが典型的な清掃作用ですね。確かに、歯の表面の汚れを取り除くことで歯は白くなりますが、これは着色物質を分解する化学的な漂白とは異なります。漂白の主な作用機序ではないですね。
極性化作用という言葉は、この文脈では少し不自然です。極性とは分子内での電荷の偏りのことで、化学では重要な概念ですが、歯の漂白の主要なメカニズムとしては適切ではありません。
最後に、キレート作用です。これは金属イオンと特定の化合物が結合する現象のことです。例えば、EDTAはキレート作用を持つ物質として知られています。歯科では、根管治療の際に象牙質中のカルシウムを除去するためにEDTAを使用することがありますが、これは漂白とは別の目的です。キレート作用は確かに歯科で重要ですが、漂白の主な作用機序ではないです。
最後に、歯の漂白処置についてまとめておきましょう。
オフィスブリーチ:歯科医院で行います。高濃度(30~35%)の過酸化水素を使用し、短時間で効果が得られます。
ホームブリーチ:自宅で行います。低濃度(10~15%)の過酸化尿素を使用し、時間をかけて漂白します。
ウォーキングブリーチ:神経が死んでしまった歯(失活歯)に対して行います。過ホウ酸ナトリウムや過酸化水素を使用します。