【外科】男女で基準値が異なる検査項目
116D-19 男女で基準値が異なる検査項目
基準値に性差のある検査項目について
今回は、検査の基準値における性差について解説していきます。男性と女性で基準値が違うものはどれかってことですね。
検査項目の中で、成人の基準値に男女差があるのはヘマトクリット(Ht)です。男性の方が女性よりも値が高くなります。なぜでしょうか。
まずヘマトクリットについて簡単におさらいしておきましょう。
ヘマトクリットは、血液中に占める赤血球の割合を示す重要な指標です。簡単に言えば、「血液の濃さ」を表しています。
血液は主に赤血球、白血球、血小板、そして血漿という液体成分で構成されています。このうち、赤血球は全体の約45%を占めており、残りの55%は主に血漿です。
で、
ヘマトクリットは、血液全体の中で赤血球がどれだけの割合を占めているかを示します。
例えば、ヘマトクリット値が40%であれば、100mlの血液の中に40mlの赤血球が含まれているということになります。
そして、このヘマトクリットの値の基準値が、男性と女性で異なるわけですね。
その理由は男性ホルモンの影響です。男性ホルモンには赤血球の産生を促す作用があります。腎臓で作られるエリスロポエチンという物質が赤血球を作り出すのですが、この過程で男性ホルモンが関与しているんですね。
ただし、他にも性差のある検査項目はあります。覚えておくべき主な項目を見ていきましょう:
・赤血球数:男性の方が高値です(男性ホルモンの影響)
・ヘモグロビン(Hb):男性の方が高値です(男性ホルモンの影響)
・クレアチニン(Cr):男性の方が高値です(筋肉量の違いによる)
・鉄(Fe):女性の方が低値になりやすいです(月経による影響)