やさしく解説【MRIの原理】
MRIの原理
MRIって、どんなイメージを持っていますか?
大きな筒の中に入って、ゴーンゴーンという音を聞きながら じっとしている。そんな経験をした人もいるかもしれません。でも、その時に体の中で何が起きているか説明できますか?
まず、MRIの基本を押さえておきましょう。
MRIは「Magnetic Resonance Imaging」の略で、日本語では「磁気共鳴画像法」と呼ばれます。名前の通り、磁気を使って体内の様子を画像化する技術で、要するに「磁石の力で体の中を見る方法」ということですね。
どうやって磁石で体の中が見えるの?
私たちの体は70%が水でできています。この水の中には、たくさんの水素原子が含まれています。この水素原子が、MRIの主役。MRI装置の中に入ると、まず強力な磁場がかけられます。すると、体内の水素原子が、まるで磁石に引き寄せられるように、一定の方向に整列します。
次に、特定の周波数の電波(ラジオ波)を体に当てます。すると、整列していた水素原子が、ちょっとだけ向きを変えます。
この電波を止めると、水素原子は元の向きに戻ろうとします。その時に出すエネルギーを、MRI装置が検出するんです。
面白いのは、この「戻る時間」が、組織によって違うんです。
骨と筋肉、がん細胞と正常な細胞、それぞれ戻り方が違います。この差を利用して、体内の様々な組織を区別した画像を作り出すんです。さらに、位置情報を特定するための特殊なコイルも使って、3次元的な画像を構築します。
でも、MRIにも弱点があります。
それは金属に弱いこと。ペースメーカーを入れている人や、体内に金属がある人は、MRI検査ができないことがあります。また、閉所恐怖症の人にとっては、狭い筒の中に入るのがつらいかもしれません。
それでも、MRIの利点は大きいとされています。それは、X線などと違って放射線を使わないからです。つまり被曝の心配がないんです。しかも、軟組織のコントラストが高いので、脳や脊髄、関節などの詳細な観察ができるとされています。
合わせて読んでおきたい。造影剤の種類
造影剤って、よく聞かれますよね。種類もいろいろあるので合わせてみていきましょう。
まず、
「ヨード系造影剤」。
これが一番よく使われる造影剤です。CTや血管造影で使用されます。注射で体に入れるんですが、血管の中を流れていって、必要な場所をくっきり見せてくれます。
次は
「ガドリニウム造影剤」。
これはMRI検査の時の主役です。これも注射で入れます。MRIの画像をより鮮明にしてくれます。肝臓のMRI検査で使う「肝臓特異性ガドリニウム造影剤」というものもあります。難しい名前ですが、要するに肝臓をよく見せるための特別な造影剤です。
「バリウム」
って聞いたことありませんか?これは「飲む造影剤」の代表格です。胃のX線検査でよく使われます。バリウムを飲んで、胃の形を浮かび上がらせます。バリウムも造影剤の一種なんですね。
あまり聞きなれない名前かもしれませんが、
「塩化マンガン四水和物」
という造影剤もあります。
これも飲む造影剤の一種で、おなかのMRI検査で使われます。胃や十二指腸を黒く染めて、胆管や膵管をくっきり見せてくれます。
意外かもしれませんが、
「空気」
も造影剤になることがあるんですよ。これは「陰性造影剤」と呼ばれます。周りとの差をつけて、見たい部分を浮かび上がらせます。