【衛生】フロリデーションのう蝕予防機序について
116D-78 フロリデーションのう蝕予防機序
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水道水フロリデーションのう蝕予防メカニズムについて
水道水フロリデーションがどのように齲蝕(むし歯)の予防に役立つか、メカニズムを詳しく解説します。この知識は今回116D-78で聞かれました。正答率は40%台だったので合否に影響はしない問題だったと思います。が、きちんとメカニズムを押さえておくことはやはり重要ですね。ブラッシュアップして再掲される可能性もありますので。
水道水フロリデーションの3つの主な働き
まず、このメカニズムを支える3つの重要な働きを覚えましょう。
結晶性の向上
フッ化物の存在によって、不定形リン酸カルシウムがハイドロキシアパタイトに転換され、歯の結晶構造がより強固になります。これにより歯質の耐久性が向上し、齲蝕への抵抗力が高まります。再石灰化の促進
萌出後の歯で初期齲蝕が発生した場合、フッ化物がエナメル質の再石灰化を促進します。この作用は、齲蝕の進行を防ぐ重要なポイントです。フルオロアパタイトの生成
ハイドロキシアパタイトの水酸基(OH⁻)がフッ化物イオン(F⁻)に置き換わることで、フルオロアパタイトという酸に強い構造が作られます。これにより、歯が酸性環境にさらされても溶けにくくなります。
注意点: フッ化カルシウムの生成について
ここで注意が必要なのは、水道水フロリデーションではフッ化カルシウムの生成が見られない点です。フッ化カルシウムはフッ化物歯面塗布で生成されるものですが、水道水のフッ化物濃度が低いため、この現象は起こりません。問題で問われた場合は、この違いを正確に理解しておきましょう。
水道水フロリデーションの濃度調整
世界的には、飲料水中のフッ化物濃度は0.7〜1.2 ppmFの範囲が推奨されています。一方で、日本では法律により上限が0.8 ppmFと設定されています。また、気温が高い地域では飲水量が多くなるため、濃度を低く設定する工夫がされています。
(ちなみに現在の日本ではフロリデーションは行われていません。)
国試での解答のポイント
国家試験でこのテーマが出題された場合、以下の点を押さえておけば対応できます。
結晶性の向上: 歯質の強化に寄与する。
再石灰化の促進: 初期齲蝕の修復に重要。
フルオロアパタイト生成: 酸への耐性を向上させる。
フッ化カルシウムの生成はない: 水道水フロリデーションにおいては見られない。
問題を解く際には、これらのメカニズムを理解した上で選択肢を検討してください。