【衛生】スクリーニング検査のカットオフ値とは?
116D-70 スクリーニング検査のカットオフ値とは?
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スクリーニング検査のカットオフ値とは?
スクリーニング検査を行う際に、「カットオフ値」という基準を設定するのが重要です。このカットオフ値は、検査の結果を「陽性(病気の可能性あり)」か「陰性(病気の可能性なし)」に分けるための境目のようなものです。
感度と特異度の違い
スクリーニング検査の性能を測る指標として、感度と特異度があります。それぞれを簡単に説明します。
感度: 病気の人を正しく「陽性」と判定できる割合を表します。
計算式は、真陽性者 ÷(真陽性者 + 偽陰性者)です。
感度が高いほど、病気を見逃すリスクが低くなります。特異度: 健康な人を正しく「陰性」と判定できる割合を示します。
計算式は、真陰性者 ÷(真陰性者 + 偽陽性者)です。
特異度が高いほど、健康な人を誤って病気と判定する可能性が低くなります。
感度と特異度はどちらも大切ですが、両方を完璧にするのは難しく、どちらかを優先するともう片方が犠牲になることがあります。
カットオフ値の設定が与える影響
1. カットオフ値を低く設定した場合
感度が上がり、病気の人を見逃すリスクが減ります。ただし、特異度が下がり、健康な人を間違って「陽性」とするケース(偽陽性者)が増えることがあります。
2. カットオフ値を高く設定した場合
特異度が上がり、健康な人を正しく「陰性」と判定できる割合が増えます。ただし、感度が下がり、病気の人を見逃す可能性が高くなります。
実際の例:糖尿病のスクリーニング
糖尿病を例にして考えてみましょう。血糖値を基準にしたスクリーニング検査の場合、次のようなことが起こります。
カットオフ値を低く設定:
血糖値が少しでも高いと「陽性」と判定します。その結果、病気の人を多く見つけられますが、健康な人も間違って陽性と判定されやすくなります。カットオフ値を高く設定:
血糖値がかなり高い人だけを「陽性」と判定します。そのため、健康な人を間違えて判定することは減りますが、病気の人を見逃すリスクが増えます。
検査の基準を決めるポイント
カットオフ値をどのように設定するかは、検査の目的によります。
病気を見逃さないことを優先:
たとえば、早期発見が必要な場合は、感度を重視し、カットオフ値を低く設定します。健康な人を間違えないことを優先:
健康診断などで不必要な精密検査を減らしたい場合は、特異度を重視し、カットオフ値を高く設定します。精密検査とのバランス:
偽陽性者が多すぎると、後の精密検査の負担が増えるため、スクリーニングとその後の検査のバランスを考えることが大切です。
まとめ
カットオフ値の設定は、検査の結果に大きな影響を与えます。病気の人を見逃さないことと、健康な人を間違えないこと、この二つのバランスを考えながら設定する必要があります。
だいぶ前置きが長くなりましたが、実際の問題を見ていきましょう。
いろいろごちゃごちゃしてますけど、早い話、カットオフ値を低くした時どうなるか?っていう問題です。
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先ほどの文章を引用すると、
カットオフ値を低く設定:
血糖値が少しでも高いと「陽性」と判定します。その結果、病気の人を多く見つけられますが、健康な人も間違って陽性と判定されやすくなります。
これは、感度が上がるけど、特異度は下がるってことですね。
つまり正解はbになります。