【衛生】ケアマネジャーの必要性と要介護度判定基準のポイント
110A-43 介護老人福祉施設について
介護老人福祉施設で常勤で置かなきゃいけない職種って、なんだと思います?
医師? 言語聴覚士? 作業療法士? 理学療法士? それとも介護支援専門員?
正解は、介護支援専門員(ケアマネジャー)です。
どうしてケアマネジャーが正解なのか、ちょっと詳しく見ていきましょう。
まず、介護老人福祉施設って何をするところか、おさらいしておきましょう。
介護老人福祉施設って「特別養護老人ホーム」とか「特養」って呼ばれることもある施設なんです。でも、正式には介護老人福祉施設っていうんですね。
じゃあ、この施設はどんなところなのか、簡単に説明していきましょう。
まず、どんな人が入るの?
介護が必要なお年寄りで、家での生活が難しくなった人が入ります。具体的には、要介護3以上の65歳以上の人が対象です。でも、特別な事情がある場合は、要介護1や2の人でも入れることがあります。
この施設では、どんなサービスが受けられるの?
大きく分けて4つあります。
日常生活のお手伝い
お風呂に入るのを手伝ったり、トイレの介助をしたり、食事の世話をしたり。健康管理
お医者さんや看護師さんが定期的に健康チェックをします。機能訓練
歩く練習をしたり、頭の体操をしたり。体と頭の機能を維持・向上させるための訓練をします。療養上の世話
必要に応じて、医療的なケアもします。
これらのサービスを受けながら、できるだけ自立した生活を送れるよう支援してくれるんです。
費用はどのくらいかかるの?
月に5万円から15万円くらいです。民間の施設と比べると、かなり安いんです。公的な施設だからこそ、こんなに安く抑えられているんですね。
いいことばかりじゃないの?
そうですね、気をつけないといけないこともあります。最大の問題は、入るまでの待ち時間です。人気の施設だと、入れるまでに何年も待たなきゃいけないことがあるんです。
でも、介護が必要なお年寄りにとっては、とても心強い施設です。24時間体制で介護してくれるし、長期間住み続けられるし。安心して生活できる場所なんです。
介護老人福祉施設。難しい名前ですけど、要は「介護が必要なお年寄りが安心して暮らせる場所」なんですね。
さて、この施設で働く人たちの中で、常勤で必ず置かなきゃいけないのがケアマネジャーなんです。
なぜケアマネジャーが必要なのか?
それは、ケアマネジャーが施設での生活全体を見渡す「コーディネーター」みたいな役割だからです。
具体的に言うと
お年寄り一人ひとりの状態を把握する
その人に合った介護計画(ケアプラン)を作る
施設の他のスタッフと連携して、計画通りのケアが行われているか確認する
こういった仕事をするんです。
他の選択肢はどうでしょう?
医師は確かに必要ですが、常勤である必要はありません。非常勤でOKなんです。
言語聴覚士、作業療法士、理学療法士。これらは「機能訓練指導員」として働くことはありますが、必ず置かなければいけないわけではありません。
つまり、介護老人福祉施設の中で、全体を見渡して調整する役割が必要なんです。それがケアマネジャーの仕事なんですね。
ケアマネジャーがいることで、お年寄り一人ひとりに合った介護が行われ、快適な生活が送れるようになる。そんな重要な役割を担っているんです。だから法律で、介護老人福祉施設には必ずケアマネジャーを置くように定められているんですね。
108A-58 ADLとIADLってなに?
では、要介護度の判定って、どんな基準で決まるんでしょうか?
正解は、c.「麻痺の有無」とe.「ADL(日常生活動作)」です。
なぜこの2つが正解なのか、詳しく見ていきましょう。
まず、要介護度の判定って何のためにあるのか、おさらいしておきましょう。
これは、介護保険のサービスを受けるために必要な手続きなんです。どのくらい介護が必要か、その度合いを決めるものです。
さきほどの介護老人福祉施設の入居条件は、要介護3以上の65歳以上の人が対象でしたよね。こういう施設に入所するときの基準になるわけです。
さて、この判定をするときに、何を見るのか。
それが今回の問題のポイントです。
「麻痺の有無」はなぜ大切なの?
麻痺があると、体を動かすのが難しくなりますよね。例えば、手が上がりにくかったり、足が思うように動かなかったり。こういった状態は、日常生活に大きな影響を与えます。だから、麻痺の有無を知ることは、その人がどのくらい介護を必要としているかを判断する上で、とても重要なんです。
「ADL(日常生活動作)」はどうでしょう?
ADLって、日常生活の基本的な動作のことを指します。例えば、食事をする、お風呂に入る、トイレに行く、服を着る、といった動作です。これらの動作がどのくらいできるかを見ることで、その人の自立度がわかるんです。
つまり、「麻痺の有無」と「ADL」を見ることで、その人がどのくらい自分でできて、どのくらい介護が必要なのかが、はっきりとわかるんですね。
さて、このADL(日常生活動作)、国試では超頻出ですよね。
これ、とても大切な概念なんです。簡単に言うと、毎日の生活に必要な基本的な動作のことを指します。
ADLって具体的に何を指すの?
大きく分けて2つあります。
基本的日常生活動作(BADL)
食事:自分で食べられるか
お風呂:自分で体を洗えるか
着替え:自分で服を着たり脱いだりできるか
トイレ:自分でトイレに行けるか
移動:ベッドから車椅子に移れるか、歩けるか
身だしなみ:顔を洗ったり、歯を磨いたりできるか
手段的日常生活動作(IADL)
買い物:必要なものを買いに行けるか
家事:掃除や洗濯、料理ができるか
薬の管理:決められた時間に正しく薬を飲めるか
お金の管理:自分で支払いができるか
電話:電話をかけたり受けたりできるか
ADLはどうやって評価するの?
いくつかの方法がありますが、代表的なのは「バーセル指数」というものです。食事や入浴、移動など10項目を100点満点で評価します。点数が高いほど、自立度が高いということですね。
ADLとIADLの評価結果って、介護保険制度でどう使われている?
まず、ADL(BADL)とIADLって何だったか、おさらいしておきましょう。
ADL:食事、お風呂、トイレなど、基本的な日常生活動作
IADL:買い物、料理、お金の管理など、もう少し複雑な生活動作
これらの評価結果は、主に3つの場面で使われています。
要介護認定のとき
ADLとIADLの評価結果を見て、「要支援1・2」「要介護1~5」のどれに該当するか決めます。例えば、ADLの自立度が低ければ、より高い要介護度になり、より多くの介護サービスを受けられるようになります。介護サービスの計画を立てるとき
ケアマネージャーさんが介護サービスの計画(ケアプラン)を作るときにも、この評価結果が使われます。
例えば:
ADLの評価が低ければ、訪問介護サービスを多めに入れる
IADLの評価が低ければ、買い物や料理の支援サービスを入れる
というような具合です。
ちょっとアレな話ですが、
介護サービス提供者の評価のとき
「ADL等維持加算」というものがあります。これは、介護サービス提供者がADLの維持や改善に努力した場合に、報酬を上乗せする仕組みです。
つまり、「お年寄りの自立を助けたら、ボーナスがもらえる」というわけです。これによって、介護する側も「もっと自立してもらおう」と頑張るわけですね。
要するに、ADLとIADLの評価結果は
介護が必要かどうかの判断材料になる
どんな介護サービスが必要かを決める手がかりになる
介護サービスの質を上げるための指標になる
というわけです。
こういった仕組みがあることで、「本当に必要な人に」「本当に必要な介護」を提供できるようになっているんですね。
117A-50 BI(バーセル指数)について
BI(バーセル指数)という言葉が出てきたので、ここで関連問題に触れますね。
ADL(日常生活動作)の評価方法って、いろいろあるんですよ。
でも、その中でもっとも適切なのはどれだと思いますか?
この問題、正解は、a.BI(バーセル指数)です。
なぜBIが適切なのか、詳しく見ていきましょう。
まず、ADLの評価って何のためにするのか、おさらいしておきましょう。
これは、その人がどれだけ自立して生活できるかを測るためのものです。例えば、介護が必要かどうか判断するときなんかに使われます。
さて、BIってどんな評価方法なんでしょうか?BIは、10項目の日常生活動作を評価します。
例えば:
食事
移動
整容(身だしなみを整えること)
トイレの使用
入浴
歩行
階段の昇り降り
着替え
排便コントロール
排尿コントロール
これらの項目を具体的な基準に基づいて評価し、各項目に対して0~10点、0~15点、0~5点などのスコアが割り当てられ、合計点が0~100点で表されます。
ポイントは点数が高いほど自立度が高いということですね。
つまり、BIを使えば、その人の日常生活動作の自立度が具体的な数字で分かるわけです。これは介護の必要性を判断したり、リハビリの効果を測ったりするのに、とても役立つんです。
じゃあ他の選択肢はどうでしょうか?
MMSEは認知機能を測るテスト。
MNAは栄養状態を評価するもの。
MWSTは飲み込みの機能を見るテスト。
SGAも栄養状態を評価するものです。
これらはみな大切な評価方法です。でも、日常生活動作そのものを評価するわけではありません。
例えば、認知機能が低下していても、体は元気で日常生活動作はできる人もいます。逆に、認知機能は正常でも、体が不自由で日常生活動作に介助が必要な人もいます。
だからこそ、ADLを直接評価できるBIが最適なんですね。BIを使うことで、その人の具体的な生活能力が分かります。「この人は食事は自分でできるけど、お風呂は介助が必要」といった具合に。