【保存】2級メタルインレー窩洞:ボックス式とスライス式の違い
116B-58 2級メタルインレー窩洞:ボックス式とスライス式の違い
2級メタルインレー窩洞のボックス式とスライス式の比較について、お話ししたいと思います。
はじめに
歯科治療における2級窩洞には、ボックス式窩洞(ア)とスライス式窩洞(イ)の2種類があります。(今回のケースでは、「メタルインレー」です。)これらの違いと、それぞれの利点について理解することは、臨床現場での適切な選択につながります。
ボックス式とスライス式の違い
2つの違いを理解するために、メタルインレーとセラミックインレーの比較をしてみます。
基本的に、隣接面のスライスカット(イ)は、インレー体の辺縁を薄くできるメタルインレーで行われます。
メタルインレーと比較して、セラミックインレーはインレー体の辺縁を薄くすることはできません。理由は薄くし過ぎるとパキンって割れてしまうからですね。
材料学的脆性を補償するためにスライスカットは行わず、インレー体に薄い部分をつくらないように隣接面形態はボックスフォーム(ア)とすることが推奨されています。
で、今回の問題は、メタルインレーに対して、
ボックス式窩洞(ア)とスライス式窩洞(イ)を行った場合の違いを聞かれているわけです。
問題文は、ボックスの方がスライスよりも優れているとこはどこか?とあります。
それでは、両者を比較してみましょう。
審美性
ボックス式窩洞は、歯質の削除量が少ないため、金属の露出が最小限に抑えられます。これにより、口元の見た目が自然に保たれます。
一方、スライス式窩洞はスライスカットによって金属露出部分が増え、審美性が低下する可能性があります。したがって、審美性の観点ではボックス式窩洞が優れています。辺縁封鎖性
両者ともに、ストレートベベルで形成するため、辺縁封鎖性に大きな差はありません。適切な処置を行えば、どちらも良好な封鎖性が得られます。健全歯質の保存
ボックス式窩洞は、必要最小限の歯質削除で済むため、健全な歯質を多く残すことができます。
スライス式窩洞はスライスカットにより、削除量が増えてしまいます。
このため、健全歯質の保存という点でもボックス式窩洞が有利です。修復物の適合性
スライス式窩洞は、技工操作の自由度が高く、修復物の適合性を高めやすいとされています。しかし、これは正確なスライスカットが前提です。不適切なカットは逆に適合性を悪化させる可能性があります。
一方、ボックス式窩洞でも適切な技工操作を行えば、十分な適合性が得られます。短い歯間距離への対応
歯間距離が短い場合、どちらの方法も適応可能です。特別な制約がない限り、この点での大きな差異はありません。
まとめ
以上の比較から、ボックス式窩洞(ア)はスライス式窩洞(イ)に比べて、審美性と健全歯質の保存の点で優れていることがわかります。審美性を重視する場合や、可能な限り歯質を残したい場合には、ボックス式窩洞が適しています。