【解剖】舌の成り立ち:前方は第一鰓弓、後方は第三鰓弓が作る
116B-78 舌の成り立ち:前方は第一鰓弓、後方は第三鰓弓が作る
「舌ってどこから生まれるの?」
今回は舌の発生についてお話しします。国家試験ではあまり聞かれたことのない内容ですね。正答率も50%代でした。こういった問題は、ブラッシュアップされて出題されることもありますから、今回の内容を読んで理解しておいてください。理解してから暗記するべき項目を考えてくださいね!丸暗記は禁物です。
まず、問題を見てみましょう。
さて、どれが正解だと思いますか?
正解は、a. 第一鰓弓です!
でも、どうして第一鰓弓が正解なのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
鰓弓って何?
まず、鰓弓についておさらいしましょう。鰓弓は、胎児の発生第4週から第5週にかけて、頭や首の部分を形作るアーチ状の構造です。それぞれの鰓弓は、特定の組織や器官に発達していきます。
第一鰓弓:下顎骨、咀嚼筋、舌の前方2/3(舌体)などを形成します。
第二鰓弓:顔面神経、表情筋、茎突舌骨筋などに発達します。
第三鰓弓:舌の後方1/3(舌根)、舌咽神経、舌骨の一部を形成します。
第四鰓弓:甲状軟骨、迷走神経の一部、喉頭蓋などに発達します。
第五鰓弓:ヒトではほとんど発達せず、退化してしまいます。
つまり、舌の大部分である舌体は、第一鰓弓から生じるということですね。
舌の発生プロセスを見てみましょう
1. 舌体の形成(舌の前方2/3)
第一鰓弓から、外側舌隆起と結節(結節間隆起)が生じます。
これらが融合して、舌の前方部分である舌体を形成します。
2. 舌根の形成(舌の後方1/3)
第三鰓弓から、鰓下隆起が生じます。
これが舌の後方部分である舌根を形成します。
3. 舌筋の形成
舌の筋肉は、後頭部の体節(体幹の分節)から移動してきます。
これにより、舌の運動機能が確立されます。
ポイントは、舌体は第一鰓弓、舌根は第三鰓弓、そして舌筋は後頭部の体節から発生するということです。
他の選択肢も確認してみましょう
b. 第二鰓弓
主に表情筋や顔面神経に発達します。
c. 第三鰓弓
舌根(舌の後方1/3)を形成します。
しかし、舌全体の主な部分は舌体(前方2/3)なので、第一鰓弓が正解となります。
d. 第四鰓弓
喉頭蓋や甲状軟骨、迷走神経の一部に発達します。
舌の形成には直接関与しません。
e. 第五鰓弓
ヒトではほとんど発達せず、退化してしまいます。
したがって、舌の形成には関与しません。
まとめ
舌の前方2/3(舌体):第一鰓弓から生じます。
舌の後方1/3(舌根):第三鰓弓から生じます。
舌筋:後頭部の体節からやってきます。
国家試験のポイント
鰓弓ごとの形成組織をしっかり覚えておきましょう。
舌体=第一鰓弓、舌根=第三鰓弓、舌筋=後頭部の体節という対応関係が重要です。