【補綴】接着ブリッジの設計。L字型とD字型。
116D-42 接着ブリッジの設計。L字型とD字型。
接着ブリッジの設計について解説していきましょう。
まず、症例から見ていきましょう。
55歳の男性。上顎右側第二小臼歯を2ヶ月前に抜歯していて、その部分の治療を希望されています。抜歯部位の治癒状態は良好です。周囲の歯の状態を確認すると、隣接歯との接触関係も咬合関係も正常で、前後の歯は生活歯です。
これらの歯には修復処置がされていますが、新しい虫歯などの問題はありません。
この症例では、⑥5④部に接着ブリッジを装着することになりました。支台歯形成前の口腔内写真と支台装置の設計図(水色で示された部分)が示されています。
ここで重要なのは、接着ブリッジの支台装置のデザインについてです。
臼歯部の接着ブリッジには、L字型とD字型という2つの基本的なデザインがあります。
L字型は文字通り「L」の字のように支台歯を取り囲む形態で、4つの隅角のうち3つを覆います。
一方、D字型は近心口蓋側(舌側)咬頭を「D」の字のように取り囲む形態です。これは、すでに隣接面に窩洞形成(1級インレーなど)がある場合に選択されます。
小臼歯の場合は以下
注意したいのは、この窩洞の大きさ。このアの写真、ぱっと見D型ぽいですけど、違うんですね。範囲が広すぎる。
正しいのはこっちです。欠損側にのみ形成が行われていますよね。だから、5の近心と6の遠心は削っていません。
もう、答え言っちゃったようなものですけど、設計の選択肢を見ていきましょう。
a:4と6の両方の設計がL字型やD字型になっていないため不適切です。
b:6はL字型で良いのですが、4がMODインレー窩洞になっているため不適切です。
c:4はD字型で良いのですが、6のL字型、遠心部分が長すぎて不適切です。
d:4と6の両方がMODインレー窩洞の形態で、接着ブリッジの支台装置としては不適切です。これじゃあインレーブリッジになってしまいます。
e:4と6の両方がL字型デザインになっており、これが正解となります。
簡単に2つの特徴をまとめておきますね。
L字型接着ブリッジ
切削量: 切削量が少ない。歯質の保存が可能です。特に、最小限の介入を重視する場合に適しています。
適用条件: 咬合力がそれほど強くない場合や、審美性が重視される場合に選ばれます。
D字型接着ブリッジ
切削量: L字型に比べて、より多くの歯質を削ることがあるが、その分強度が増します。
適用条件: 強い咬合力が加わる部位や、より高い耐久性が求められる場合に適しています。維持力が優れており、強い咬合力に耐えることができます。