【第24話】R画伯との思い出その②

R画伯はうちからもらってくれた、ロン毛の猫『オイ』と、雑種の犬『サクラ』と生活していた。
そして、彼の家の床下には、数年前からアナグマも住んでいた。
ある日、R画伯は食料の買い物を済ませ、家に戻ると玄関の戸が開いていた。台所に入ると、冷蔵庫のドアも開いていて、中の食料が全てなくなっていて、その周りには食い散らされた残骸が残っていた。とばっちりを受けたのは猫のオイで、こっぴどく叱られていた。
それから数日したある日の夕方、R画伯はいつものようにテレビを観ながら晩酌していると、玄関のドアが開く音が聞こえてきた。おや、誰か来たのか?と思ったが、訪ねてきた人の声がしない。不思議に思っていると、目の前をアナグマが横切り、当然のように台所へと向かっていった。後を追いかけると、アナグマは真っすぐに冷蔵庫に向かったと思いきや、慣れた手つきで冷蔵庫のドアを開けて、中を物色し始めたではないか!
「犯人はお前だったのか!」
とR画伯が怒鳴ると、アナグマはすたこらさっさと逃げていったとさ。

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