【第23話】ご近所だったとある画家との思い出
下の息子が中学校に入学するのに合わせて、10年住んだ棚の川から松本に引っ越すことになった。松本市にある浅間温泉から車で10分ほどにある山の斜面の集落の中にある1軒家。2階建ての大きな家であった。その家はほとんど修理しなくても住める家だったが、1階と2階にある40畳の広さの2部屋だけは、もらってきたフローリング材を張った。同じ集落に住んでいた、とある画家であるR画伯がその家を世話してくれた。
集落の下を走る国道を走っている時、R画伯の自宅の土蔵に描かれた仏画が目に留まり、訪ねてからのお付き合いであった。その土蔵がR画伯のアトリエになっていた。庭には大きな桜の木がそびえていて、その木の下で毎年のように花見をした。R画伯の友人たちはみな大酒のみで、彼らが酒を持って訪ねてくると
「コーロー、宴会だよ!」
と必ず声をかけてくれた。
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