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不思議の国のアリス症候群とは?—世界が歪む奇妙な感覚


あなたは、目の前のものが急に大きく見えたり、小さく見えたりしたことがありますか?
もしくは、自分の体が異常に縮んだり、膨らんだりするような感覚に陥ったことは?

それは、もしかすると**「不思議の国のアリス症候群(Alice in Wonderland Syndrome, AIWS)」**かもしれません。

この名前を聞いて、「あの童話の?」と思った人も多いでしょう。その通り、イギリスの作家ルイス・キャロルが書いた**『不思議の国のアリス』**にちなんで名付けられた症候群です。

本記事では、この不思議な症候群について、医学的な視点と童話の世界観を交えて、わかりやすく解説していきます。

1. 不思議の国のアリス症候群とは?

不思議の国のアリス症候群(AIWS)は、視覚や体の感覚が異常に歪んで感じられる神経学的な症状を指します。

主に以下のような現象が起こります。
物や人が異常に大きく見える(マクロプシア)
逆に異常に小さく見える(ミクロプシア)
自分の体の大きさが変わったように感じる(身体像変容)
距離感が狂う(テレオプシア/ペロプシア)

例えば、部屋の中の家具が巨大に見えたり、自分の手が急に小さくなったように感じたりします。

この症状が「アリスが白ウサギを追って不思議の国へ迷い込んだ時の感覚」に似ていることから、この名前が付けられました。

2. どんな人がなるの?

この症候群は特に子どもや若年層に多く見られます。
原因ははっきりとは解明されていませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。

(1)片頭痛(偏頭痛)
• AIWSを経験する人の多くは、片頭痛持ちであることがわかっています。
• 片頭痛の発作前後に、一時的に視覚異常が起こることがあります。

(2)ウイルス感染(特にEBウイルス)
• **EBウイルス(エプスタイン・バー・ウイルス)**に感染した後にAIWSを発症する例が報告されています。
• 風邪やインフルエンザの後に起こることもあります。

(3)てんかんや脳の疾患
• てんかんの発作の一種としてAIWSが現れることもあります。
• また、脳の特定の部位(後頭葉や側頭葉)が一時的に異常を起こすと、視覚や体の認識が狂う可能性があります。

(4)ストレスや睡眠不足
• 強いストレスや疲労、睡眠不足もAIWSの誘因になることがあります。
• 「何か変な感じがする…」という不思議な感覚が、過労や精神的な影響で出ることも。

3. どうやって診断するの?

AIWSは、一般的な病院での検査では「異常なし」と言われることが多いです。
しかし、症状が頻繁に起こる場合は、神経内科や脳神経外科での診察を受けると良いでしょう。

主に以下の方法で診断されます。

症状の聞き取り(問診)
脳のMRI・CT検査(異常がないか確認)
血液検査(ウイルス感染の有無)

特に片頭痛やウイルス感染との関連があるため、それを確かめることが重要です。

4. 治療法はあるの?

AIWSは一時的な症状であり、ほとんどの場合は自然に消えていきます
しかし、症状が繰り返し出る場合や生活に支障をきたす場合には、原因に応じた対策を取ることが大切です。

🩺 片頭痛が原因の場合 → 片頭痛の治療をする(薬・生活習慣の改善)
🦠 ウイルス感染が原因の場合 → 安静にして回復を待つ
😴 ストレスや睡眠不足が原因の場合 → 規則正しい生活を心がける

5. 『不思議の国のアリス』の作者も経験していた!?

実は、『不思議の国のアリス』の作者**ルイス・キャロル(本名:チャールズ・ドジソン)**は、片頭痛持ちだったと言われています。

彼自身がAIWSのような視覚異常を経験していた可能性があり、それが物語のインスピレーションになったのでは?と考えられています。

例えば、アリスが食べ物を食べて体が大きくなったり小さくなったりする場面は、AIWSの症状とそっくりですね!

まとめ:不思議の国のアリス症候群とは?

✅ 物や体の大きさが変わったように感じる神経学的な症状
✅ 片頭痛、ウイルス感染、ストレスなどが関与
✅ ほとんどは一時的なもので、自然に治ることが多い
✅ 『不思議の国のアリス』の作者も経験していた可能性がある

「もしかして私も?」と思った人は、まずはリラックスして様子を見てみましょう。

もし頻繁に症状が現れるようなら、医師に相談することをおすすめします。

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