はざまに生きるもの
私のよく通る道沿いにある一軒家の庭で喫煙をしている白髪の痩せ型おじさんがいます。なぜかよく遭遇します。副流煙による被害を被る一歩行者として、少しイラッとしてしまいます。家の中で吸ってくれればいいのにと。
おじさんは一生懸命働き、稼いだお金で一軒家を建てました。理想の家です。奥さんと定年後は、ほのぼのと過ごそうとしていました。ところが、いざ定年してみると、奥さんの自分に対する態度は冷たいものです。タバコを吸おうとすると怒られます。家の中で吸わないでよと。歩きタバコをするわけにもいきません。残された場所は、庭しかありません。公の場と自宅内のはざまである庭が唯一一服できる場所なのです。
ということで、この家の前を通るときは20歩ほど息を止めて歩きます。はざまに生きるもの、いと哀れなりです。