相方よ、きけー

 M-1のエントリーがはじまったことを相方に電話で連絡した。どうやら洗い物をしている様子が電話越しに聞こえてくる。水の流れる音により、こちらの声があまり聞き取れないようだ。しかし、我が住まいは、夜中に大きな声が出せない。壁が餃子の皮のように薄いのだ。息を吐くような声で叫ぶ。
「おーい、きけー」
 小さい声の中で、一番大きな声を出す。
「あらいものしてんじゃねー」
 すると、電話越しに「米を研いでるんよ」と返答。米に負ける私。
「無洗米にかえろー」
「えっ、なんて?」
 私のおふざけも届かない。M-1への想いを語るも水道水にかき消される。
 
 全て水に流されてしまった。チーン。