あんずよ 花着け
ここ金沢は、「金沢市緑のまちづくり計画」の一環として、街のあちこちに緑地公園が設けられています。
そのうちのひとつ「神保緑地」(金沢市三社町)を訪れてみたところ、金沢三文豪のひとり:室生犀星の詩碑が。
室生犀星 「ふるさと」
室生犀星の「ふるさと」と云えば、『抒情小曲集』小景異情その二
「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」
を想い起こす方が多いと思いますが、こちらの「ふるさと」(同じく『抒情小曲集』に収載)も胸に染み入るようで好きな詩です。
「『金澤文豪カフェあんず』 店名の由来は何ですか?」
とご質問を戴くことが、ままあります。
「金澤文豪」は、当店の母体であるうつのみや(旧:宇都宮書店)が創成期に、金沢三文豪とのご縁を戴いていたことに由来します。
「では、『あんず』は、室生犀星の『杏っ子』からですね」
開業当初は確かにそのようにお答えをしておりましたが・・・でも、
「杏」ではなく「あんず」としたこだわりは、実はこの詩碑にあります。
室生犀星『抒情小曲集』 その六
この詩に、当店に対する想いを重ね合わせたのです。
「犀星先生は、可愛らしい字をお書きになったんですね」
お客様がにっこりしながらおっしゃることも、よくあります。
失礼ながら・・・わたくしも、可愛らしいと思いました。素朴と云うか。
でも、このまるみのある文字で 「あんずよ 花着け」と
胸にあたたかなぬくもりを抱くような慈愛が感じられるのです。
そこにあやかって、店名とさせて頂きました。
名前にふさわしいお店として、これからもご愛顧頂けますように。
あんずよ 花着け
タイトル元『わが肌に魚まつわれり 室生犀星百詩選』収載
「抒情小曲集 その六」(室生犀星/著 ミヤオビパブリッシング)
お求めはうつのみや各店 もしくは全国書店ネットワークE-honで。
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033391456&Action_id=121&Sza_id=C0