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初ウクライナ料理


休日の外ランチが私の楽しみだ。
今日は近所のビーフストロガノフを食べてみたくて、出かけていった。
ちょっとおしゃれなカフェ風の店、カランとドアを開くと厨房の中年男性と目が合う。軽く会釈して店に入る。ここまでは完璧だ。完璧なランチを予感させる。

カウンター席を案内された。2時だと言うのに、まだテーブル席に一人客は座らせてもらえなかった。人気がある店なのかな。

メニューをみたら、なんとウクライナ料理だ。ボルシチという文字が目にはいったが、わからないだらけの料理名が並ぶ。ええ・・・ビーフストロガノフは?

考えていると、若い女性店員がカジュアルに話してくる。日本語は話せるがウクライナ人のようだ。
「何でも説明するから」
ビーフストロガノフは?と聞いても良かったのだろうが、しばし悩む。
結局、一つ一つ料理の説明を聞くことになった。
「鶏の胸肉で、、、大きくて、、、中からじゅわっとバターがでて・・・」と、まあ美味しそうな説明だったので、その鶏肉料理(チキンキエフ)に決定した。1皿1800円のチキンキエフ、期待できるな。

1~2分ほどでチキンキエフが登場した。
大人のこぶし大の鶏胸肉が衣をつけて、マッシュポテトを従えてきれいに皿に盛られている。
温かみの感じられない一皿に不安を感じながら、ナイフを入れる。
硬い。力を込めて、ナイフを上下にギコギコする。
一口運ぶ、味わった後、ナイフとフォークを置いて店を出る自分が脳裏をよぎった。
パサパサの肉、ぼそぼその味。肉は硬く、衣と身は別々になっている。まちがいなく火が通り過ぎている。
とにかく、早く帰りたかった。すぐに店を出たかったが、鶏に申し訳ないあまり、完食するしかなかった。
ああ、どう調理法を間違えて、こんなまずい料理になってしまったのか鶏。

ウクライナ料理を食べたのは初めてで、キエフがどんな料理かもしらない。
美味しいの基準がわからない。このパサパサ、カチカチ、ぼさぼさが美味しいのか?
と考えながら、肉からはがれている衣が皿に散乱していることが食事のマナーとして我ながら気になって仕方なかった。「ご馳走様」と言い、店員の顔を一切見ずに1800円を払い、急いで店をでた。

ウクライナ料理「チキンキエフ」をネットで調べると、「衣で包んだジューシーな鶏肉が、ナイフを入れると中からとろけるバターが、熱々で召し上がれ」という。
きっと本当は美味しいんだろうな。

家へ帰って、コーヒーを淹れて、嫌なことは忘れよう。
そして完璧な夕飯を計画する。



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