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東京男子自転車ロード ~熱き戦い~

はじめに

 ついに!東京オリンピックが開幕しましたね!
 私はというと熱中症でくたばっていて、ドラクエの音楽を聴いて感動とともに開幕を実感しました。

 さて、昨日7/24は自転車競技男子ロードレースでした。
 日本でのオリンピックのロードが見れるのは人生で1回かもしれないと思うとなんとも感慨深い。選手名は全て選手をつけると大変なので敬称略で書かせていただきます。
 それにしてもNHKさん、テレビで放映してくださいよ…。残念ながらネット中継オンリーじゃないですか。

 日本人は新城、増田の2名が出場。メダル争いはしんどいと厳しいと思われるが、頑張って欲しい。

 気をとりなおして11時にPCのスイッチオン!

レースが始まる

 こんな時に限ってPCの動きが悪いので、ひとまずスマホで見ることに。
 WEBサイトに飛んだは良いが、再生ボタンを押すとyoutubeの様に広告が始まる(少し鬱陶しい)。

 その瞬間、友人からLINEが来た。
「はじまりましたね!」
 LINEの返事をして画面を戻すと、また広告が始まる。
そんなことをしているとPCがついたので漸く画面が写った。

 今回のコースは総距離244km、獲得標高4800mというかなりキツいコース。聞いているだけでしんどい。平均時速40kmで走っても6時間なのだ。

 パレード走行が始まって暫くするとレースが始まる。コースの中に神社の参道があるなんて、なんと粋なコース設定!

 市街地を走っているとベルギーの選手がサポートカーに何やらと申している。その後ストッキング氷を貰って背中に入れていた。
『Japanはなんて暑いんだ、やってられるかよ』
みたいなことを言っていたのだろうか。
 ちなみにストッキング氷は背中に入れても滑っていかない、氷を多く入れても徐々に溶けていくという優れもの。熱中症対策には良いアイテムです。果たして選手がストッキングを使っていたかどうかはわかりませんが。

 日本の暑さは湿度が高く、かなりキツい様で走っている選手も序盤から苦しそう。そんな中、早々に逃げが決まる。

逃げ

 「逃げ」というと自転車レースを知らない人はわからないと思います。知っている人は読み飛ばしていただきたい。
 まず先頭を走る選手は風をもろに受けるので、とてもしんどいわけです。なので、集団という塊の中にいると非常に省エネで体力を温存できます(ただし、急斜面の登坂を除く)。そんな中から少数人で飛び出すわけです。勿論集団が直ぐに追うこともありますが、『まぁあとで本気で皆で追っかけたら追いつくやろ』と放置されることが多いです。
 なぜなら例えば10人で走っていたら先頭の疲労を10人でしか分散出来ませんが、100人で走っていたらそれが100人の分散になるからです(あくまで極端な例なのでそううまいこといかないものです)。
 では、何故逃げるのか。それは逃げ切ることがあるからです。男のロマンですね、はい。

 さて、今回序盤から逃げたのは8名。
 気になる選手一人目は、ユライ・サガン(スロバキア)。弟は世界選手権3連覇のペーター・サガン。今回弟は出ておらず、スロバキアからは2名出場なので、逃げて勝ちを狙うのか。
 オールイス・アウラール(ベネズエラ)。昨年まで日本のマトリックスパワータグで活躍していた若手の選手。レース会場で見たことある人も多いと思うので、是非活躍して欲しい選手。

 ちなみにオタク向けですが、スロバキアはスペシャライズド、ベネズエラはグエルチョッティ、ギリシャはトレック、アゼルバイジャンはBMCのバイクでした。

 さて、この暑い中、逃げる逃げる。集団は若干まったりモード。過去にジロデイタリアを制覇したトム・デュムラン(オランダ)は談笑ををしているくらい。

中盤

 さて、ここからレースが動かない。一時的に逃げと集団のタイム差が20分もあったほど離れていた。
 集団を先頭で引っ張っているのはファンアーヴェルマート(ベルギー)とトラトニック(スロベニア)。最初の方はファンアーヴェルマートが良く引いていたが、途中からトラトニックがひたすら前を走り続ける。
 前述したが、先頭は空気抵抗をまともに受けるので、かなりしんどいはず。しかしトラトニックはずっと走り続けている。

 ちょっと目を離しても、逃げ集団とトラトニックしか映っていないので、少し家事をしたりしていた。
 途中トリスタン・デランジ(ナミビア)がアタックしたが、彼はMTBの選手でロードの出場選手がコロナ陽性出たので代わりに出たそう(そんなことできるんだ)。ちなみにヒゲで誰か一発でわかるサイモン・ゲシュケ(ドイツ)は日本入りしてからコロナ陽性がわかってスタート出来ず、寂しげなインスタ投稿があった。

 途中残り150kmのところで有力選手ゲラント・トーマス(イギリス)とテイオ・ゲイガンハート(イギリス)が落車。道路の真ん中に溝があったので、それに引っかかってしまったのか。彼らは結局リタイアしてしまった。

逃げの吸収

 1回目の富士スピードウェイが終わり、コースは外に出た。ここで残り50kmちょっと。まだ、トラトニック(スロベニア)が前を引いている。

 どれだけ強いんですか、あなた。

 レースも終盤に差し掛かり、各国がアタックを仕掛ける。が、トラトニック(スロベニア)が集団を率いて吸収。そんなことを何回か繰り返しているうちに、ユライ・サガン(スロバキア)が逃げからドロップ。気付けば逃げも2名に。
 そして、富士スピードウェイ2回目に入り、オールイス(ベネズエラ)が苦しい顔をして前を走るも集団に追いつかれてしまった。

 ここから佳境に入った。三国峠という途中の斜度が20%もある峠だ。峠に入ったあたりでペースがあがり、どんどん選手が後ろに千切れていく。その中には新城(日本)の姿もあった。
 途中、登坂がきつくなった所でタデイ・ポガチャル(スロベニア)が単独アタック。彼は先週末ツールドフランスで総合優勝している。化け物ではないか。数人が付いていくが、後方はバラバラに。

 序盤の方はチームメイトのボトル運びをしていたポガチャル(スロベニア)だったが、いつの間にかエースとして動くことになっていたのか。同じスロベニアのプリモシュ・ログリッチが既に離れていたのかはこの時点ではわからなかったが。

終盤の攻防

 三国峠を超えて、下りに差し掛かる。下りと平坦の区間でワウト・ファンアールト(ベルギー)が追いつく。その前の登り区間で一時的に離れたファンアールトが追いついたのだ。

 詳細は割愛するが、登坂が得意な選手は体重が軽く細めで、スプリントが強い選手は筋肉量が多い傾向がある。
 この集団内ではファンアールト(ベルギー)がスプリントに強いことはわかる。ゴール前にいて欲しくないこの選手を登坂が強い選手は置き去りにしたかったが、追いついてしまったのだ。

 こうなると如何にファンアールト(ベルギー)とツールドフランス総合優勝のポガチャル(スロベニア)に疲労させるようにと他の選手は考えた様な動きに見えた。

 残り30kmを切ってから二人の選手がアタック。リチャード・カラパス(エクアドル)、ブランドン・マクナルティ(アメリカ)だ。

 集団は…追わない。この距離なら後で捕まえると踏んだか。

 集団にはファンアールト(ベルギー)、ポガチャル(スロベニア)を始め、マイケル・ウッズ(カナダ)、バウケ・モレマ(オランダ)、リゴベルト・ウラン(コロンビア)、アダム・イェーツ(イギリス)他、約10名。

 タイム差は15秒前後から変わらず。集団内からミハウ・クフィアトコスキ(ポーランド)がドロップ(私が好きな選手です)。暫く一定の距離のまま進む。ここに来て各選手が牽制してなかなか噛み合っていない感じがした。

 ゴールはサーキット。サーキット内に差し掛かった段階でウッズ(カナダ)他数名がアタックするも集団に吸収される。一方、逃げの二人のうちカラパス(エチオピア)がペースを上げ、マクナルティ(アメリカ)が千切れてしまう。ここでカラパスが独走状態になった。

 残り数kmになった段階で、アタックを吸収した集団は各選手が牽制しあったのかカラパス(エチオピア)との差は30秒以上に開いた。

 カラパスが単独優勝で金メダル。その後はスプリント勝負になり、ファンアールト(ベルギー)が2位、ポガチャルが3位という結果になった。

日本選手の奮闘

 日本人選手は集団からドロップしてしまったが、新城が35位と大健闘。

 ゴールシーンが印象的だった。
 何人かがゴールした後の集団にいた新城。
 後方でデュムラン(オランダ)が何かを言った。
『最後はスプリントしてみろよ!開催国だろ!?』
 的な感じだったのだろうか。新城はこんな風に?という感じでバイクを左右に振る素振りをして笑う。
 その瞬間、違う国の選手が
『ほらほら、いけよ!』
とお尻を押して前に行かせる。最後は数人の選手とスプリントしてゴール。
とても痺れた。

 増田は何回も千切れながらも何とか最後尾の集団でゴール。辛そうな表情で坂を登っている時に横を走りながら声を枯らして応援している日本人の動画を見て感動してしまった。諦めず、へろへろになりながらの完走。とてもかっこよかった。

最後に

 初めて6時間のレースを一部始終見たが、こんなにドラマがあると思わなかった。まだ見ていない方は是非ハイライト版も放送されているので見てみて下さい。



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