【週刊プラグインレビュー】Tone Empire / Firechild
今回はTone Empireから発売されたコンプレッサーFirechildのレビューをしていきます。
恐らくその見た目からしてどんな実機をモデリングしていて、どんな動作をするのかは自明だと思うので、早速サウンドデモをどうぞ。
そしてFirechildの開発経緯と、そのモデリング元になったFairchild 670に関する愛の籠ったストーリーはこちらをどうぞ。
正直、上記の動画を見れば全てがわかるので、この先は個人的な使用感や考えをつらつらと述べます。
総評
現代的で扱いやすいFairchild系プラグイン
詳しい機能は後述しますが、個人的には現存するFairchild系プラグインの中で、いろんな意味で最も扱いやすいと思いました。
出音はもちろん素晴らしく、サンプリングしているハードウェアの違いで搭載された4つのモード、BIASやステレオリンクの調整、サイドチェインに対するEQ、オーバーサンプリングへの対応などなどが現代的魔改造を加えた「俺の考える最強のFairchild」感あって、単純に良い!です。
Fairchildを模したプラグインが他社からも様々発売されている中で、わざわざこのモデルを選んで使う価値があるなと思います。
概要
Fairchild 670
ざっと総評を述べたところで、プラグインの概要から説明していきます。
名前・見た目からもわかるようにFirechildは、1950年代に発売され、現在ではレコーディング界の聖杯とまで言われるking of Vari-Mu compressor「Fairchild 670」を基に開発されています。
恐らくエンジニアでなくともその黒デカノブとわがままボディに覚えがある人は多いはずです。
ちなみに制作を依頼したのはギターでもお馴染みのレス・ポール氏。
当時のレコードカッティングやブロードキャストに対するダイナミクスコントロールを目的に作られていたので、MSモードの搭載やポンピングの起きにくい長いリリースタイムが特徴としてあげられます。
またコンプレッサーの動作方式が真空管ということもあり、遅めのアタックタイムと入力の強さによって変化する歪みとコンプレッションによって耳馴染みの良いサウンドを演出することが可能です。
Tone Empireへの信頼
今回そのFairchildを基に、Firechildを開発したのはプラグインデベロッパーのTone Empire。
他にもGoliath / Reelight Pro / Black Qなど、アナログハードウェアの旨みである歪み感に着目して、デジタルミックスに温かみを与えるプラグインの開発を得意としています。
個人的に歪みに関する認識が音楽的なメーカーというものがあり、Kush Audio / Overloud / Tone Empire がそれに当たります。
この3メーカーのプラグインはとにかく歪み方が上品かつどエロい。
サチュレーションの類で、ギターのカッティングの食いつきを良くしたり、ドラムの皮ものが一歩近づいたり、そういった「あんたは音楽のこと、よく知ってるよな」感が堪らない。
今回はそのTone Empireから満を時してFairchild系プラグインの発売。
散々いろんなメーカーに擦り倒されたコンプレッサーをTone Empireのマインドで作ったらどうなるのか!とワクワクしていましたが、期待を超える使用感に今は満足しています。
機能
Time Constant
細かい機能をみていきます。
コンプレッサーの動作はもちろんFairchild 670を基にした真空管方式。
RELEASEノブでコントロールできる6つのアタックとリリースの設定は以下のようになっています。
しっかり実機を模した値になっています。
多段変化のリリースになりますが最長は25秒(!)
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