【週刊プラグインレビュー】Lindell Audio / 902 De-Esser
ボーカルの歯擦音。
日本語でいうと主に「サ行」の音を指します。
ミックスを進めていくと、これらの音が耳をつんざくようなエネルギーを持って襲ってくることがあります。
これらの処理に多く利用されるのは「ディエッサー」だと思います。
しかし、こう思ったことはないでしょうか。
「確かに高域はおさまったんだけど、音が詰まって聞こえる・・・」
「目的の歯擦音までかけようとスレッショルドを下げていくと、濃くかかりすぎる・・・」
「え〜ん、もうディエッサーとかわかんないっ!そもそもツマミ多すぎっ!とにかく難しすぎるから勝手にいい感じになってよ!」
と。
今回紹介するのは1980年代に発売されたdbx 902というディエッサーをモデリングして作られたLindell Audio / 902 De-Esserというプラグインになります。きっとこれらの悩みを一気に解決してくれるでしょう。
早速プレイスルーの動画をご覧ください。
これまでDeEsserに感じていた不自然な変化、解消されていませんか?
多くのディエッサーは、マルチバンドコンプレッサーのハイバンドだけを抜き出したような設計をしており、入力された音の高域を検知して、その部分だけを圧縮します。
その為設定次第では、聴感上不自然な変化を起こしてしまいがちです。
902はディエッサーの一種ではありますが、設計思想が大きく異なります。
今回はモデリング系のプラグインになるので、元になった実機の歴史と仕様から振り返りつつ、プラグインになった際にどんな機能が追加されたのか、などを順に説明していきます。
dbx 902[オリジナル]
dbx 902は1980年代にdbxから発売されたディエッサーです。
「信号レベルの変動に関係なく、希望する正確なディエッシングが可能になる」をコンセプトに掲げています。
今回紹介するプラグインのモデリング元にもなった名機で、名匠ボブ・クリアマウンテンも愛用を公言しています。
しっかりプレゼンスがブーストされて透明感があるのに、耳には痛くないボブ・クリアマウンテンの当時のサウンドを支えていたといっても過言ではない。(と、思いたい。8台持ってるらしいし)
特徴
Log-Domain Proscessing
入力音の大小に関わらず的確にディエッシングできる。
つまりスレッショルドが不要。
RMS Level Detection
人間の耳のレベル感に近い処理を実現する。オーディオに対して自然な形を目指す。dbxの特許。
User-Defined Crossover Frequency
ユーザーが800Hz-8kHzの間でディエッシングの検知の値を変更することができる。
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