悩ましくも愛おしいプラグイン -2022-
プラグイン芸人コレナガです。
去年に続き2022年に刺激を受けたプラグインを紹介していきます。
自分に新たな視座を与えてくれたり、技術や思考を深めてくれたプラグインを中心に選んでます。
去年は504ライセンスだったのが今年は612だから、iLok周りのプラグインだけで108個も増えたらしい。煩悩じゃん・・・。
まぁ元来めちゃくちゃ飽き性ではあるし、その時その時にしかできないもの作っていこーっていうスタイルなので、これくらい増えちゃうのは仕方ない。なによりミックス楽しいしね〜。
最後まで無料で読めますが課金ゾーンを用意しています。
カンパしていただけるとそのお金でさらにプラグインを買ってレビューするという好循環が生まれ、強靭なプラグインサプライチェーンが構築できるので今後の活動のためにご検討ください。
目指せSDGs。
UVI / SHADE
https://www.uvi.net/shade.html
詳細なレビューはこちらを。
今年一番立ち上げたプラグインだと思う。とにかく動きを出したい使うのはSAHDE。
特にベタ打ちの素材とかサンプルループとか、MIDIや演奏の段階でもう少しこうしたかったかも!みたいな動的な処理を実現するのに最適。
フィルターやピークをランダムに揺らすことで、完全に制御できない揺らぎが音に生まれるのが最高過ぎる。ビタハマりした時の「何やってんだかわかんないけど凄い」って感じね。MSモードでかければ素材のステレオ感すら操れます。
普通のダイナミックEQとは異なり、ゲインだけでなくピッチやQにもLFOが当てられるのも特徴。GUIが簡素だから気付きにくいけど、しっかりアナログEQ系のカーヴも搭載してるから、出音がデジタル臭くなることもないです。
LFOの概念に関しては、軽くアナログシンセを学んでからの方がいいと思うので、以下の本もご参考までに。
わかりやすいし、Kindle Unlimitedで読めます。
PHYSICAL AUDIO / Dual Spring Reverb
https://physicalaudio.co.uk/products/dual-spring-reverb/
あーツインリバーブの音だーって感じ。
他のスプリングにはないジューシーさがある。
いきなりステーキでワイルドステーキで満足してたけど、高めの肉食った時に「あ、もっとうまい肉ってあるんだ!」っていう感動するあの感じ。
ギターはもちろんストリングスやブラスを本物っぽくするのによく使ったと思う。声にビシャがけするのも面白い。
他社製品より詳細にパラメーターいじれるのもGood。
Pulsar Modular / P11 Abyss
https://www.pulsarmodular.com/product/p11-abyss/
紹介文だいぶ盛りすぎなんじゃないかって思うけど、大体合ってる。
なんせ今の為替ですら45000円しますからね。 それくらい高機能じゃないと困る。
買うのにはプラグイン芸人としての忠誠心が問われましたよ。
アタックリリースタイムは最短1μ秒から設定できて、細かいニーのコントロールや歪み、サイドチェインEQや、アウトプットにトランスを噛ませるか否かなどの選択ができるため、想像したサウンドはほぼ実現できます。
プリセットも過去の名コンプの挙動を再現したものがたくさんあるんだけど、めっちゃ似てる。マジで似てる。
同社のP42 Climaxを初めて聞いた時の衝撃に近い。
まぁほんとくっそ高いですが、一度試してみてほしい。
余談だけど、開発段階の意味わからんGUIから今の分かりやすいGUIに落ち着いて本当によかった・・・。
Kiive Audio / ADC1 Compressor
https://www.kiiveaudio.com/adc1
今年はKiive Audioの年だったと思う。
自社製品や開発協力をしたプラグイン全てが良くて、全て買ったし、全て使いまくってる。
元ネタのChandler TG1も散々実機つかってきたけど、挙動とサウンドはほぼ一緒。
特にドラムやブラスのアンビにかけて行った時のバシャバシャとしたグルー感、コーラスやハモのバスに挿しても崩壊しない歪感がそっくり過ぎる。
Autogainもついちゃって実機より扱いやすくなっちゃってるからもはや言うことなし。感覚として「うーっし!!」みたいなサウンドにしたい時は最適。
Kiive Audio / Xtressor
https://www.kiiveaudio.com/xtressor
元ネタのEmpirical Labs Distressorは散々実機使ってきたし、自分でも所有してるけど、マジで一緒。
特にサチュレーションの具合。2次倍音・3次倍音足してった質感が一緒。
UADとかSlateとかも出してるけど、ここまで再現できてるプラグインは今までなかったと思う。スレッショルドの値まで一緒。
サイドチェインEQの感覚もほんとに一緒なんだよなぁ、どうなってんだ・・・。
本家が出しているArouserは、Distressorそのままをデジタル化するのではなく、プラグインにするにあたりデジタルならではの良さと設定を入れてきたけど、Kiiveに関しては本物を再現しまくるイメージなので、そこで使い分けるといいかも。
Kiive Audio / Warmy EP1A
https://www.kiiveaudio.com/warmy-ep1a-eq
Pultec EQP-1Aを元ネタにしたWarm AudioのEQP-WAという製品を元ネタにしたプラグイン。
なぜそのチョイスと思うが、本家よりもローエンドとハイエンドで設定できるポイントが多く、汎用性が高いからだろうと思う。
ローエンドは200 / 400 / 800も選択できるから、だいぶ使いやすい。
EQ部分を使わなくても歪み単独で使っても良い質感。Kiiveの本気さ加減をそれだけで知ることができるはず。
Kiiveすべての製品の再現度が高過ぎるから、アナログ機材のキャプチャー技術がとんでもなく高いんだと思う。
Hornet Plugins / HoRNet Tape
https://www.hornetplugins.com/plugins/hornet-tape/
今年はこれ以外でもHornet をよく使ってたし、かなり見直した。
いろーんな会社がテープシミュレーターをリリースしているものの、プラグインに突っ込むゲインステージングが案外難しいです。
個々のトラックにテープを挿したい時に、音量が足りずプラグインのスイートスポットに当たらないのはあるある。
その点オートボリュームで好きなVUでテープに当てて飽和させてくれるHornet Tapeはありがたい。
しかもテープの種類も何個か選べて、必ずハマる音があるのも超実用的。
グループも組めて高機能なのに激安。
テーププラグインにありがちな「知らんがな!」っていうややこしい操作子がないのもいいね。
Purafied / VU Compressor
https://purafied.com/products/purafied-audio-vu-compressor
詳細なレビューはこちらを。
ざっくりいうと1176と3Aのコンプ。
今までのモデリング系に感じてた妙ななまり感とかリリースのぬるさが一切ない素晴らしい製品。
ピーク潰れてるんだけどその分歪むから潰れたように感じない、みたいな実機の76に求めるの良いところがしっかり再現できている。
歪みすぎかもなと思った時にちゃんとTHD下げられる設計も流石。
ガッと直進性持たせたいボーカルにハマるし、ベースやスネアなんかにも良し。こちらもKiive Audioが開発協力。恐るべし。
IK Multimedia / AmpliTube5
https://www.ikmultimedia.com/products/amplitube5/?L=JP
言わずものがなのアンプシミュレーターです。
もちろんアンプシミュレーターとしても使ってたけど、ルームリバーブとして使うことも多かった。
ヘッドの電源ボタンをオフにすると、キャビネットとマイキングのシミュレーターだけ使えるようになるので、それを使って、竿モノを広げたり、スタジオ録音できなかった素材を広げていくことができる。
特に今年は宅録での素材納品も多く、どうしてもペラペラ加減が気になってい、どモノラルで点っぽい質感が気になってしまうので、自分の理想の録音環境を再現するイメージで設定して、好きな部屋で鳴らして、素材に厚みを持たせることが多かったかなぁ。
ベースアンプのシミュレーターはAmplitubeが頭ひとつ抜けてると思う。
Aberrant DSP / Digitails
https://aberrantdsp.com/plugins/digitalis/
個人的に2Aや落ちサビ等でラジオボイスにする加工に飽き飽きしていて、「いや、そもそも平成生まれにとってローファイってラジオじゃねぇしなぁ」とか思ってたんですが、やっとデジタルネイティブにとってのローファイ感が再現できるエフェクトが出てきました。
YouTube違法ダウンロードした時の劣化とか再現できでバイヴス高めです。
グリッチ系のサウンドやロービットサンプリングのサウンドはかなり棘があるので、使うところを選ぶけど唯一無二なので、ハマった時は強い。
「これ何やってるんですか?」ってミックスチェックで大抵聞かれるけど笑
名前に騙されず適当にプリセット選んでいって、4小節だけかける、とか、ポイントの隠し味に使うといい感じ。
内部構造が複雑なんだけど、マニュアルがないのが辛い・・・。
それぐらい直感的でいいんじゃね?っていうスタンスだとは思うけど。
Slate Digital / Virtual Console Collection
https://slatedigital.com/virtual-console-collection/
今年サチュレーターやクリッパーを調査研究してみた結果、好きな海外のエンジニアが大体使っていたので、再評価をするようになったプラグイン。
初めて触った時にハマらなかったのはおそらく操作方法が間違っていたため。DRIVEが歪み、レベルがトランジェントシェイパーのイメージでいくと分かりやすい。オケに馴染んでいくポイントとぼやけて見えなくなるポイントの境目のスイートスポットを探していくっていう感覚。
やっぱりトラックのキャラ分けするにはこういうのが早くて、特に同じ時間軸に和音楽器が複数並んでいる時の棲み分けに最高。
エイリアスノイズはもうあんま気にしてない。
Blue Cat Audio / Destructor
https://www.bluecataudio.com/Products/Product_Destructor/
詳細なレビューはこちらを。
アンプシミュレーターって謳ってるけど、歪みの総合商社って感じ。
歪みとしても超優秀で、プラグインだと再現しにくかったいい意味で潰れてくれるアンプらしい歪みみたいなのがすぐ実現できる。
しかしながら個人的にDestructorはIRローダーとして使ってる。
他社製品でもIRローダーはあるのだが、それをDestructorで数式に変換し、独自のアダプティブな処理を経由するからなのか、出音は超自然。
IRは似てるっていうか、まぁ製品そのものをキャプチャしたものだから、とにかく話が早く、さっさと音源がまとまってしまう。
IRはPast To Futureのものを使用しています。
コンソールやテープ系のIRに突っ込んだり、マイクのIRに突っ込んでハイエンドを落としていくと素材の混ざりが良くなります。
https://pasttofuturereverbs.gumroad.com/
Klevgrand / Degrader
https://klevgrand.com/products/degrader
これまではD16のDecimort使ってたんだけど、使いすぎて飽きてきたので導入。。。
Jitterによるサウンドの変化とか、フィルターの有用性が気に入ったため愛用中。Decimortに比べるとデジタル臭さも少ない。
なんかいい感じのADDAコンバーター使った時の旨味に近いんすよね。
もちろん8bitくらいまで落として、ローファイ生成のエフェクトとして使ってもよし。
公式でも述べられている通り、サンプルレートやビットデプスにオートメーション描くのがめちゃくちゃ面白くて、下半期はフィジカルコントローラーでDJプレイのようにロービットにしていくのが流行りでした。
まとめ
今年はこんな感じのラインナップになりました。
いろんな文献で知ったり、エンジニアさんや作家さんから教えてもらったプラグインも多く、情報提供してくださる方には感謝です。
引き続き「○○には絶対××を使う!」というスタンスではなく、いろんなプラグインを使い分けながら、その時代だからできる流動的なミックスを心がけるようにしたいと思います。
デモるだけはタダなので、もし気になるものがあったら試してみてくださいね。
お知らせ
レコーディングエンジニアやってます。
今回紹介したプラグインと共に、最高に気持ち良いミックスやってます。
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ひとつよしなに。
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以下、読める内容は変わらないですが、課金ゾーンです笑
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