【週刊プラグインレビュー】Overloud&MoReVoX / REmatrix
今月はOverloudとMoReVoXが共同開発したIRリバーブ
「REmatrix」とそのIRライブラリに関してレビューしていきます。
まずは製品紹介動画をどうぞ。
サウンドデモはこんな感じ。
REmatrixを知ったキッカケは、去年発売されたRafa Sardinaのシグネイチャーライブラリでした。
Rafa Sardinaはスペイン出身のレコーディングエンジニアで、これまで5回のグラミーと13回のラテングラミーを受賞しています。ノミネートではなく、受賞です。狂気の沙汰です。
2020年のラテングラミーを受賞したAlejandro FernándezのHecho En México
2016年にR&B部門でグラミーを受賞したD'Angelo and The VanguardのBlack Messiahなどで知られています。
同時期にMix With The Mastersで彼のレクチャーが公開されたのですが、
彼の音楽に対するスタンスの素晴らしさもさることながら、パーカッションやリズムギター、ドラムに対するVIBEやLIFEの演出、包み込むような空間演出とモジュレーションの使い方は目を見張るものがありました。
楽器がそれぞれに居場所を得て、踊り出すイメージというか、リバーブやモジュレーションによって息を吹き返すイメージといえば伝わるでしょうか。
そんな彼が信用したメーカー・プラグインで、彼の作ったリバーブライブラリなら間違いないだろう!と思い導入したのがREmatrixと追加ライブラリの「Rafa Sardina Spaces」でした。
結果としては大当たり。
REmatrix自体がIRローダーとして完成度が高く、他のライブラリも非常に扱いやすく、自分のミックスプロセスには欠かせない存在になりました。
今回はそのREmatrixの基本構造を解説しつつ、追加ライブラリに関してもレビューしていきます。
総評
「5つのIRデータを混ぜ合わせてリバーブを作り上げる」というぶっ飛んだ思想で独自のカラーを得たIRリバーブ。
リバーブのコンソールリターンを模したDRIVE・EQ部や、あえて操作子を少なくしたプラグインデザインは非常に実践向きで、そこから生まれる説得力のあるサウンドはミックスチェックでの評判が高い。
発売当初は存在しなかった短いリバーブや、サチュレーションのIRパックが追加されたことにより、今後の機能の拡張にも期待できる製品。
Overloud と MoReVoX
詳細に入る前に開発に関わった2社を紹介します。
Overloud社は、イタリア・モデナに本拠を置くプラグイン開発の会社で、TH-Uというアンプシミュレーターや、PultecEQやFairchildをモデリングしたGEMプラグインシリーズで有名です。
MoReVoX社はイタリアのサウンドエンジニア サビーノ・カンノーネが中心となって様々なレコーディングギアのIRデータやドラムのサンプルライブラリを販売している会社です。
その2社が手を組んで開発したのが今回紹介するREmatrixになります。
恐らくプラグインの設計部をOverloudが、中身のIRデータの収集や作成をMoReVoXが中心となって行っているのではないかと思います。
TH-UやGEMシリーズでも発揮されているOverloudの"使える"サチュレーションの味付けと、MoReVoXの実践向きなIRデータが合わさることで、他社にはない説得力のあるサウンドが実現していると思います。
基本構成
プラグインの基本画面から構成を説明していきます。
5機のIRデータを合成してリバーブを作り上げていきますが、案外画面はシンプルで、操作もしやすいです。
REmatrixは大きく3つのセクションに分かれます。
1.プリセット
プリセットの管理を行う。各バンクには128個までプリセットが保存可能
2.ディスプレイ
マスターエフェクトの調整や、IRデータの表示をする
3.フェーダー
5つのIRリバーブのコントロールを行う
マスターセクションでのWET/DRYのバランスコントロールを行う
基本的にはプリセットで理想に近しいサウンドを探し出し、
フェーダーを用いて内部のリバーブのコントロールを行い、
マスターエフェクトのドライブやEQで出音を最終調整する、という流れになります。
リバーブを一つ選択するとウィンドウ左下にコントロールパネルが現れ、それぞれのリバーブのパンニング・ステレオ幅・長さ・プリディレイをコントロールすることができます。
2バンドEQでそれぞれのリバーブのトリートメントも行えます。
REmatrixのシグナルフロー
ディスプレイで設定できる特殊なシグナルフローはREmatrixの特徴の一つです。
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