【週刊プラグインレビュー】マスターメーター特集
みなさんが音楽制作を行う上での絶対的な指標ってなんでしょうか。
使い慣れたヘッドホンやスピーカーでしょうか。
それとも長年聴き慣れたリファレンストラックでしょうか。
ありがたいことに去年から仕事の内容が多岐に渡るようになってきました。
最終的な制作物も今まで通りの配信用2Mixもあれば、TVCMやYoutube向けのライブ音源、 サウンドロゴや舞台用の劇伴など、仕上がりに求められる条件やルールが異なるものを横断するようになりました。
コロナ禍の影響もあり、作業場所はレコーディングスタジオ以外にも自宅や作家さんのプライベートスタジオ、MAスタジオやリハーサルスタジオなど様々です。もちろんモニター環境的に劣悪な環境でやらざるを得ないときもあります。
加えてリスナーの環境も多種多様になってきました。
車で聞く人もいれば、携帯で聞く人もいます。スピーカーを持っている人もいれば、イヤホン・ヘッドホンが中心の人もいます。
最終成果物も作業環境も再生環境も多岐にわたる中で、
いついかなる時・どんな案件でも一定のクオリティを保ち続ける為の絶対的な指標を作る必要を強く感じていました。
ルームアコースティックのキャリブレーションツールやモニタリングツールなど、様々なツールを試してきましたが、今は「メーター」こそが音楽制作における絶対的な指標だと思っています。
メーターを見ながら芸術作品に携わるなんて、という声もよく分かります。
数字では測りきれないマジックがあるとか、それも重々承知しています。
しかし自分の職業はエンジニアです。
音楽の芸術的価値を純粋に楽しんでもらうためには、音源という一種の工業製品のクオリティを常に保証しなければなりません。
いくら中身が面白いものを作ったとしても、まず要項を守れていなければ受け手には伝わりません。
マスタリングで印象的だった出来事があります。
複数のエンジニアが参加しているEPに立ち会っていたのですが、ある曲の作業が始まった時「こんな歌でかかったっけ?」とディレクターが言い出しました。
そんなはずはないと、保険で書き出しておいた[VoDown]の2Mixも確認しましたが、それでも歌は他の曲に比べてかなりでかいままでした。
結果として、その曲が適正な音圧を得るためには、歌がどうしてもコンプ・リミッターに引っかかり、歪ませざるを得ませんでした。
また、その曲のボーカルに合わせてEP全体のマスタリングを調整することになったので、他の曲のレベルや歌の質感も犠牲になることになりました。
原因は作業を行なったスタジオにありました。
「スタジオ」という馬鹿でかいEQとトランジェントシェイパーの中で聴いていたため、どの再生機器を使おうと、誰が聞いても正確な判断がついていなかったのです。
おそらく1-2kHz辺りが変に散ってしまう部屋かつ、低域にdipがあったため相対的に歌がでかくなってしまったのだと思います。
ミックスチェックは皆テンションが上がりがちですし、スタジオでは爆音で聞きがちですし、明日の自分にも起こり得ることですが、この時に冷静に判断するための指標としてメーターをもっと活用していれば違う結果になったかもしれません。
耳以外の判断基準も作らねばならないと思った出来事でした。
音楽の楽しみ方の多様化とこれらの経験から、去年から今年にかけてはマスターメーターによる客観的な判断を進めてきました。
今回は2022年6月現在、自分のマスターバスにインサートされているメーター類のプラグインを紹介していきます。
複数のプラグインの紹介になるので、一つ一つ概要レベルの紹介と、実際の業務での使い方を紹介する形になります。
今回は申し訳ないですがこのポイントで有料とさせていだければと思います。目次のラインナップをご確認の上、ご興味のある方はご購入いただけたら幸いです。
ちなみにメーター類はヘッダーの画像のようにPCの外付けディスプレイ一枚に羅列しています。作業中は常に表示・監視するようにしています。
それではひとつひとつメータープラグインを紹介していきます。
ADPTR AUDIO / Metric AB
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