【週刊プラグインレビュー】Kiive Audio / KC1
今月はKiive Audioから発売されたTube Compressor KC1をレビューしていきます。
まずはメーカーの紹介動画をどうぞ。
まぁ誰がどうみてもCL1Bですね笑
これまでSoftubeとUADでしかプラグイン化されていなかったスタジオの名機がKiive Audioのサンプリングクオリティで使えるということで非常にテンションが上がっております。
公式のマニュアルを確認しながら様々なソースに試してみつつ、モデル元の実機と比較しながらレビューしていこうと思います。
何かとKiive Audioのレビューが多いんですが、好きなものは好きだからしょうがない!!好きしょ!
Tube-Tech CL1B
早速ですが、今回のプラグインの元ネタであるTube-Tech CL1Bに関して学んでいきましょう。
Tube-Tech製品を開発しているLydkraft社はデンマーク・コペンハーゲンに本社を構えるハードウェア設計会社です。
かつて一世を風靡したPultec社のEQP-1Aと同等の製品を製作してほしいと依頼されたデンマークラジオのメンテナンスエンジニアJohn G. PetersenがPE1Aを開発し、その名を広めます。(動画は現行品のPE1C)
真空管を利用した低歪の機材開発をモットーにしており、
その中でもCL1B / PE1C / SMC2Bは、名機としてどのレコーディングスタジオ・マスタリングスタジオでも目にすることができます。
今回取り上げるCL1Bは、他の多くのコンプレッサーに見られる非線形歪みを非半導体素子を用いることで克服し、非常にナチュラルながら温かみのあるサウンドが重宝されています。(参照:http://www.tube-tech.com/)
TubeCompressorと銘打たれていますが、ゲインリダクション部は光学素子を用いたOptical方式になっています。
プリアンプ部と出力部に真空管が使用されており、それによって真空管のサウンドキャラクターが付加されています。
Gain / Ratio / Threshold / Attack / Releaseは全て連続可変式になっており、
ソースに合わせた微調整が可能になっています。
Gain : -∞~+30dBm
Ratio : 2:1~10:1
Threshold : +20dB~-40dB
Attack / Releaseに関しては、Fix , Manual , Fix/Man の3つのモードから選択できます。
・Fix : Attack 1msec / Release 50msec
・Manual : Attack 0.5-300msec / Release 0.05-10sec
・Fix/Man : Attack 1msec / Release 入力されたピークの長さとAttackツマミの設定によって可変
CL1Bのキャラクター
主にボーカルをレコーディングするようなスタジオには必ず置かれているのですが、個人的にはかけ録り用のコンプレッサーとしては使いにくいと思っています。
理由としては2つあります。
1つ目はツマミが大きくて軽いという点。
実機を触った方ならわかると思うのですが、つまみが非常に大きくスコスコと軽い力で動いてしまうため、微調整やリコールを取るのが難しいです。
スタジオによってはツマミの裏側にゴムやスポンジを挟み込み、動きづらくしているところもあるくらいです。
「あー、やばい結構ピークあるタイプだからしっかり叩かなきゃー」でツマミを軽く触ったらリダクションの針がばい〜〜〜んとなるのはあるある。
2つ目はそもそもサウンドキャラクターが日本語ボーカルに合っていないという点。
KneeなのかAttackのカーヴによるものなのかわからないのですが、「やっちまった」と思うサウンドになることが多いです。リダクションした結果音がありえないほど遠くに行ってしまい、EQやトランジェントの調整でも取り返しがつかなくなります。なんなんだろう。
子音の言語である英語にはベストマッチだと思いますが、母音の言語の日本語では厳しい。
まぁ日本語ボーカルへのかけ録りが難しいってだけで、2つ目の特徴に関しては欠点でもあり他のコンプレッサーにはないキャラクターとも言えます。
これまでのCL1B系プラグイン
さて、これまでのsoftubeとUADのCL1Bに話を移してみましょう。
この2社のプラグインには少し違和感を感じていました。
それは、「使いやすいサウンドに仕上がりすぎている点」です。
日本語ボーカルに掛けても大丈夫だし、ソースを選ばず使えちゃうんです。
ある意味欠点とも言える日本語ボーカルのかけ録りがむずいっていう点が再現されていないんです。使いやすいほうがいいじゃないかという意見もあると思うんですけど、そうなると逆にこのコンプレッサーをわざわざ選択する理由がなくなっちゃうんですよね〜。
それならオールマイティな他のコンプを選べばよいと言うことになりますからね・・・。うーん、わがまま。
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ひとつよしなに。
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KC-1の特徴
今回取り上げるKC-1は設定次第では音が奥に行ってしまって、取り替えしがつかなくなってしまう部分までしっかり再現されています!笑
それがいいんです。
この特徴を活かすことで近い音を確実に遠くする専用機として使える!
選択する理由がある!笑
KC-1はCL1Bに以下の4つの機能が追加されています。
THD
MIX
Mode Switch
Sidechain Filter
THDに関しては結構歪みます。
KiiveがすでにリリースしているWarmyと同じ質感で、ジャ行の音です。
Mode Switchではステレオ・デュアルモノ・MSを切り替えられます。
そもそも実機だとステレオで使うのも難しいので、ここら辺はプラグインならではのありがたい機能。
Sidechain Filterでは280Hzまでのローカットを行えます。
キックなど、低域でコンプが振れすぎてしまう場合に調節してください。
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