第2の引っ越し
2度目の引っ越しは、ドライな選択だった。
あいさつ
学生時代の1年目。初めてのことが山盛りだった。
様々な価値観が壊れた。
まず、東京の人は「あいさつをしない」
上京したての、これりあは田舎の感覚そのままに
道行く人に「おはようございます」「こんにちは」と
律儀にあいさつしていた。
しかし、これは初日に違和感を覚えた。
人が多すぎる…。無理。
田舎で18年も生きてきた。道を歩いている人は、みんな知っている人。
あいさつをしない=やましい何かがある
という価値観で育った私でも分かった。
TPOが大切。
駅前徒歩3分から徒歩20分へ
駅前3分の学生アパートは誘惑しかなかった。
東京の学生街の駅前。
静かな夜はなかった。
毎日、酒盛りをする学生、社会人。
さわやかな朝もなかった。
汚物だらけの側溝。
誰が集めるのか、大量のゴミ。
貯金も時間もなかった。
何もなかった一年間。とにかくがむしゃらに東京に染まったと思う。
帰省して帰ってくると、
蓋をしてあるトイレの中には、Gさんが万歳して出迎えてくれた。
梅雨時には、
ありとあらゆる場所に覚えのない真っ青なカビの絨毯が敷き詰められた。
突きつけられた生活力のなさ。
20歳を手前に引っ越しを決意。
駅前の利便性と学生アパートの食堂(朝夕二食)を手放し、
自転車と静かめな住宅地、古いけれども広い部屋を手に入れた。
2度目の引っ越しで学んだこと
これまでの分類だけじゃない。
引っ越しで新しく手に入れるものがある。
結局、2度目の引っ越しで住んだ
八畳二間の安アパートには、
大学~大学院の5年間が思い出が詰まることになった。