光村4年国語「世界にほこる和紙」「伝統工芸のよさを伝えよう」
8月7日(金)に「第5回これからの国語を知る会」がオンラインで行われました。オンラインは2回目。この日が終業式だったという先生がいた中、今回は20名の参加でした。お忙しい中ありがとうございました。
〇教材を見つめる
簡単に教材分析(簡単にとは失礼!)
いわゆる双括型の説明文ですね。私は、構成や内容も非常に分かりやすく展開されているという感想を持ちました。きっと4年生の子供が初読でも、内容をおおむね理解できるのではないかと感じます。
「世界にほこる和紙」と「伝統工芸のよさを伝えよう」という2つの単元が組み合わさった大単元(16時間設定)ですが、指導書で挙げられている身に付けさせたい力は、以下の3点となります。
中でも、メインターゲットとなるのが、3つ目の要約でしょうか?今回のグループワークの話し合いでも、「どのように要約をさせるか」ということが話し合いの柱になっていましたね。
〇要約とは?
そもそも「要約」とは何でしょう?学習指導要領解説・国語編には以下の中学年の指導事項として以下のように書かれています。
文章全体の内容を正確に把握した上で、元の文章の構成や表現をそのまま生かしたり自分の言葉を用いたりして文章の内容を短くまとめること
ん~、よくわかりませんね(笑)一言で言うなら、「短くまとめること」?そもそも、「要点」「要旨」とか似たような言葉もある・・・。それと何がどう違うの?児玉先生からは、「群馬県総合教育センター」の出典を明らかにしつつ、以下のようなご指導がありました。
1要点… 文章や話の中心となる大切な部分。(形式段落ごとに考える。)
◇要点をとらえるには?
①中心となる文を見つける。
→ 中心となる文を見つけるには次のことに着目する。
⑴段落の始めや終わり
⑵接続語に続く内容
※「つまり」、「しかし」などの言葉のあとに、重要な内容が続くことが多い。
⑶題名とつながりのある言葉
⑷繰り返し出てくる言葉
⑸文の主語と述語
2要約… 文章全体を短くまとめること。
①各段落の要点(中心文)を見つける。
②具体例は要約に入れない。
③段落冒頭の接続詞に注意して、接続の語を補ってつなげる。
④同じ説明が言い換えて出てくる場合は、短く簡潔にまとめた方を残す。
3要旨… 文章の中で筆者が最も伝えたいこと。
〇どうやって要約させる?
「要約」をするときの細かいテクニックもたくさん教えて頂きました。中でも、「要約の基礎基本!」
3年生で行う要点をまとめてから、要約させることが、要約の基礎基本!要点をすべて理解しないと要約はできない!(でも、要旨は違う)
これを踏まえて、グループワークにおいて、どのように要約させるかという様々な角度からのスモールステップが話合われました。キーワード、アップとルーズからの既習事項、平易な文章orみんなが知っている「桃太郎」などから要約する、などなど
教科書の例でも、200字以内で要約するとあります。(どうやら、200字というのが文章を書く時の基本単位みたい)児玉先生からは、「このように」から始まる10段落の要点(=筆者の主張)から要約していくことがよいのではないかと。この10段落の要点で100字。では、残りの100字をどう肉付けしていくか、がポイントであるという話をいただきました。
なるほど、これなら書かせられそうだ。
〇要約する目的
要約することが「目的」になってはいけませんね。あくまでも手段。実際に学習指導要領でも、【目的を意識して・・・】と枕詞がついています。
目的・・・子供たちとっては、この後の「伝統工芸のよさを伝えよう」でリーフレット作りをする→百科事典の丸写しではよさは伝えられない→だから、「世界にほこる和紙」で要約する練習をしてみよう!なります。
以前、水戸部修治先生が、いわゆる「単元を貫く言語活動」を提唱されたときの【ABワンセット方式】的な指導になりそうです。しかし、一つ疑問。
果たして、Aで身に付けた力(=要約する力)がB(=自分が選んだ伝統工芸のよさを、百科事典から要約する)につながるか
確かに、Aは教材文から要約するということになっていて、Bは百科事典から要約することになります。これは、別の力ではないか。やもすると、子供たちがAで獲得したものが、Bですぐさま生かせるとはいかなそうです。この点については「伝統工芸のよさを伝えよう」をもう少し、教材研究する必要がありそうです。と同時に「リーフレットを作る」という言語活動についても研究が必要です。
〇系統性について
4年生の「要約」というステップを踏むまでに、どんな学習してきているのか(=何を獲得しているのか)また、今後何を獲得していくのか。
4年生の「要約」に至るまで、「要点」を学習しますね。3年生には、「問いと答え」(低学年でも触れている)を通して、説明文(『ありの行列』など)を読んでいく。では、低学年において、「要約」につながる学習は何だと思いますか?もちろん、いろんな要素はあると思いますが、それは、
主語と述語
『水族館で人気のあるペンギンは、空は飛べないが鳥です』
を10字でまとめるとするとどうなりますか?
もちろん
『ペンギンは、鳥です』
主語、述語の関係になっていますね。実は、文章を理解するには、主語と述語を明確にしないとわからない。だからこそ、低学年で主語と述語はきっちり教えないといけないんですね。いや~、児玉先生の話はいつも痺れる。。。
最後・・・まずは要約とか要点とか言語活動とか子供たちにやらせるのならまず教師がやってみよう。ということで、私の190字の要約。(200字ってめちゃめちゃ難しい!!!)
世界に認められる日本の和紙には、洋紙にはないよさがあり、和紙を選んで使うことは、自分の気持ちを表す方法の一つである。和紙のよさとして二つの特徴がある。一つ目は、紙のやぶれにくさであり、二つ目は、紙が長もちするということである。また、このよさを生かし、めいしやお年玉などに自分の気持ちを表すことができる。だからこそ、和紙は、長い間作られ、さまざまなところで使われ続けてきたのである。
児玉先生の要約。
和紙には、やぶれにくく、長もちするというとくちょうがあり、何百年もの間、作品を元のすがたのまま保管し、人々に見せることができる。また、わたしたちは、和紙の風合いを美しいと感じ、気持ちを表す方法の一つとして、和紙を選んで使ってきた。このように、紙のもつよさと、使う紙を選ぶ側の気持ちによって、長い間、和紙は作られ、さまざまなところで使われ続けてきた。世界にほこる和紙を生活の中で使ってみようではないか。(200字)
次回は、9月18日(金)!「見立てる」「言葉の意味が分かること」の実践報告!