2023年6月24日

ジブチ5日目。


この日は感情をかなり使った一日だった。


午前中は順調だった。安いホテルの場所をきき、そこまでタクシーで送ってもらってチェックインを済ませたあと、予備の充電用のケーブルを買った。そのあとATMでお金を下ろしてから、エチオピアに行くための電車のチケットを10kmほど離れたbalbalaという地域にあるNagad駅という駅まで歩いて買いに行くことに。ここまではかなり順調に思えた。balbalaという地域まではかなり歩いたが、チケットが買える駅までまだ距離があったのでタクシーに乗った。


途中、なぜか警察にタクシーを止められた。タクシーの運転手が身分証明書のようなカードを警察官に見せている。その警察官が「タクシーから降りてこっちにこい。」とどうやら言っている。「必要な書類なんかあったっけ?」と思いながら警察官がいるプレハブの小さな建物に入った。


すると警察官は、「ジブチで車を運転するときに必要な在留カードを持っていないのにお前は運転していたから10000ジブチフラン(約10000円)払え。ペナルティだ。」と私に告げる。「え?なんで?いや払う必要ないやろ」と思った。


もちろん私はタクシーに乗っていただけで運転はしていないし、警察官が言う在留カードも必要ない。意味もなく足止めされ時間を取られていることに自分も腹が立ってきて「なぜ?運転していないのになぜペナルティを払わないといけないの?納得できない」と主張した。「いいや、だめだ。お前はペナルティとして10000ジブチフラン払え」と警察官は「ペナルティ」の一点張りで主張を変えない。いや、ほんとうにわけがわからない。


するとそこにいたもう1人の警察官が自分を止めた警察官が間違った判断をしていることに気づいていたのか「もうお前は行っていいぞ」と言ってくれ、ペナルティを払わずに終わる。2,30分時間を取られたが、このあともジブチの警察官との戦いがあるとは思ってもいなかった。


警察官に足止めをくらったあと、引き続き同じタクシーに乗り、Nagad駅に無事に到着する。ディレ・ダワ行き(エチオピアに行けるチケット)のチケットについて聞くと、3日後の27日に電車は出発でその前日の26日にチケットを買う必要があるみたいだ。


チケットについての情報をスマホにメモしていると、男性の警察官に「なにをしている。用が済んだなら早くここから離れろ」と注意を受ける。「ああ、ごめん」と私は伝え、2,30メートルほど離れたところでさっきの続きでスマホにメモしていると、さっきの警察官がまた近づいてきた。


「お前は何だ。何をしている。リュックの中身を見せろ」と警察官が言う。「なぜ?」と私がきくと、「さっき注意したのにお前はここから離れなかった。だからお前について調べる」と言われる。「は?」と思った。離れていたにも関わらず、だ。


「なぜ?ここでチケットについてきいたことをスマホにメモしてただけなんだけど」と警察官に伝える。すると「いいや、だめだ。お前はリュックの中身を見せる必要がある。早く見せろ。私が注意したにも関わらずお前は離れず携帯を触っていた。怪しい。だから見せろ。」とこっちの主張をまったくきかない。


とりあえず、パスポートとリュックの中身を見せた。その警察官は雑に私のリュックの中身を取り出し、「これはなんだ」とほとんどの物の説明を求められた。ひとしきりリュックの中身を確認し終えると、「もうこれでいい?」と私がきくと、「だめだ。うちのボス(管理人)にきてもらい、話してもらう。大使館にも電話する。お前の顔写真を撮らせろ。」と警察官がいう。「は?まじで意味わからん」とこちらも怒りを抑えられずにいた。携帯のメモに記録していただけ、パスポートを見せて身分証明も行い、リュックの中身まで見せたのにこれ以上なにを証明する必要があるのか。おまけに時刻は17時頃、歩いて宿に戻るまでは2,3時間はかかる。一刻も早く宿に戻りたかった。


しかし、「お前の顔写真を撮るぞ、いいな?」と警察官。「無理。」と自分。結局何度も事情を説明しても自分の主張をまったくきき入れず、「怪しく見えたから」の主観的な意見の一点張りで話にならなかった。その警察官は「ボスがもう少しで来る。部屋で話すぞ」と勝手に話を進める。少ししたあと、ボス?と思われる人物が到着し、「何をしている?」と私に尋ねる。


「いや、チケットについてきいたことをスマホにメモしてただけなんだけど、パスポートも見せたし、リュックの中身も見せた。これ以上何か証明する必要ある?」と半分喧嘩腰でボスと思わしき人物に伝える。そのボスもこちらの主張をきき入れず、「とりあえず来い」と言う。「は?なんで?」と尋ねる。「とりあえず来る必要がある、部屋まで来い」と言う。


結局半ば強制的にボスとはじめに注意をしてきた警察官と一緒に部屋に行った。時間の無駄すぎてイライラは募っていく一方だった。「ふざけんなまじで」とはじめに会った警察官に日本語で伝える。もちろん日本語が通じはしないが、少しだけ気持ちがスッキリした。こんなとき相手が知らない言語を使えることは便利だ。


ボスの部屋?と思われる場所の椅子に座る。「大使館に連絡するぞ」とそのボスが言う。「は?なぜ?」と私が言う。こんなところでトラブルになって第1回目の世界の旅が終わるなどあってはならぬことだった。再度ボスに「ほんとうにスマホにメモしていただけ、身分も証明した、リュックの中身も見せた。他に何かききたいことがあれば答える。他にききたいことはなんだ?」と私が尋ねる。すると横から初めの警察官が「携帯の写真を見せろ。リュックの中にあるノートの中身も見せろ」と言う。見せた方が早いと思い、それぞれ見せると、「このノートに書いてあることはなんだ?この写真はなんだ?」ととにかく私に質問してくる。どうやらその警察官は自分のことをテロリストだと思っているらしい。


ひたすら質問を受けたあと「もう帰っていいぞ」とボスと警察官が私に言う。もちろん謝罪はない。ふざけんなまじでと思いながら、その警察官と一緒に建物の外に出た。その警察官は、「俺の名前は〇〇だ。ジブチでの暮らしはどうだ?ジブチはいいか?」と私に言い、「ジブチは最高だよ、みんな親切だしフレンドリーで楽しいと感じてるよ」と伝えたり、さっきの口論が嘘のようにふつうに会話してお互い笑顔になれた。


「まあなんかこういう後を引かない友好的な感じはやっぱりいいな」と思いながら建物を出ると、綺麗な夕日とともに野生のラクダが2頭建物の前にいた。「え!?野生のラクダがいるの!?」と興奮気味で警察官に尋ねると、「なんだ、野生のラクダを見るのははじめてか?ああ、いるぞ」と教えてくれた。最後は笑顔でその警察官との関わりは終わった。「夕日も綺麗だしラクダも見れたし、まあよしとするか」と思い、2,3時間歩き、その日の宿に到着してこの日は終わった。


この日で気づいたことは、海外では1ミリでも怪しいと思われる行動はしないことが懸命だという基本的なことの大事さを身を持って実感することができた。感情をかなり使ったと感じた1日だったが、それだけヒートアップできた経験もまあ思い出としてはいいか、とポジティブに捉えてその日は寝た。


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