Classic Movie Reading Vol.1「ローマの休日/自転車泥棒」を観覧して
Classic Movie Reading Vol.1「ローマの休日/自転車泥棒」を配信にて視聴しました。
11/5 16:30公演の感想です。
前半のローマの休日から、
一日目もでしたが、オープニングの現代から時代を遡って映画の世界に行く映像の演出が好きです。
後半の自転車泥棒に変わる時は更に遡る映像になり、現代から過去へタイムトラベルしているようになるので、もしかしたら劇の順番もこの意図があったのかなと私は思いました。
Wキャストで11/5はジョー・ブラッドレー役を沢城千春さん、アン王女役を林鼓子さんが演じられました。
林さんのアン王女はハッキリした演技で仕草も大きく、配信の遠目で観てもアン王女の明るく無邪気な年頃の女性のイメージが分かりやすく伝わってきました。
沢城さんのジョーは私の表現が合っているのか自信がありませんが、下町で育った江戸っ子に近い活発なイメージで登場されました。
カーテンコールでの挨拶で沢城さんご本人もおっしゃられたのですが、映画のジョーとは違う自分なりの役作りをされたとのことでとても新鮮でした。
物語の中でも違和感はなく、こんなジョー・ブラッドレーもいいなと思いました。
勿論11/4公演の今井さんのジョー・ブラッドレーも大人っぽくて紳士的な演技が最高だったので、同じ役柄でも演者さんの解釈でそれぞれ違うというWキャストならではの魅力を味わえました。
市民キャストの細川さんも一日目に続き、二日目も色々な役を演じられていて、ナレーションや王宮のドクターの紳士的な演技も素敵だったのですが、タクシーの運転手や美容師の演技が親しみを持てて好きでした。
市民キャストの皆さまが交替でナレーションをしていたのですが、あれは登場人物に合わせてナレーションの担当も替わっていると、うかつながら二日目で気づきました。
一日目も交替でナレーションをされていることには気づいていたのですが、その意味を考えず脚本の意図を汲み切れなかった自分に後悔しました。
あるシーンの中で、維東さんがアン王女のナレーション、槙原さんがジョーのナレーションをされていたのですが、維東さんが落ち着いた感じのナレーション、槙原さんが快活な感じでナレーションをされていて、登場人物に合わせてナレーションにも演技を細かく分けて入れられていたのに感動しました。
そして後半の自転車泥棒、
森田さん演じるアントニオの「生まれたことを呪いたい…」「死にたい…」という台詞の時の森田さんの演技がとても辛そうで、困窮し、苦しんでいるのがとても伝わり、聴いていて私も辛い気持ちになりました。
マリアが聖女の部屋に入っている間のシーンでは、ブルーノが嬉しそうに鼻歌を歌い、それを微笑みながら見ているアントニオがとても温かくて、父と子っていいなぁとしみじみ思いました。
その時のブルーノ演じる山本さんの「パパとママが嬉しそうだから、僕も嬉しい」という台詞のときの笑顔がいい意味で子どもらしくあどけなくて、ブルーノの純朴さが表現されており、私も笑顔になりました。
キャストさん達の演技で、自分の感情も揺さぶられるのは自分もその作品に入り込めたような気がして好きです。
舞台が終わった後の現実に戻ってきたような、ある種の達成感のような感覚も気持ちが良いです。
ローマの休日も自転車泥棒もどちらも素晴らしい朗読劇でした。
ローマの休日では儚くも切ない、でもとっても素敵な恋を、自転車泥棒では苦しい時代に生きながら、目の前が真っ暗になっても父と子が互いを思う家族の愛を感じた作品でした。
今回、会場に足を運べなかったことが心残りですが、配信でも登場人物の心の動きが伝わってきて、観ることができてとても良かったです。
素晴らしい舞台をありがとうございました。