現場から〜閉店間際のラーメン屋に滑り込みセーフ!
友人が「現場の大切さ」を語っていた。
現場とはいろいろあるが、アイドルの現場のことだった。
ネットだけでは分からない、現場でのみ体感できる事象や知りえる情報を交えた彼の愛は、実に説得力があった。
確かに、例えば、在宅勤務とリアル出勤では情報の「質」が全く異なるのは実感するところではあるが、会社の話をしてもつまらない。
ラーメンの話をしよう。
ある日、最後の客になるのはなんか嫌だなと思いながら、ラーメン二郎の行列最後尾に接続した。
店内に入っても誰も来ない、やはり最後かと空っぽの腹をくくったところ・・
常連おじさんが入ってきた。野球の審判の如く手を切り「セーフ?」と言いながら。
よかった~。
さていよいよ客が途切れたところで、助手が閉店を意味するシャッターを下ろしに外へ出た。
助手「店長!」
店長「なんだ!」
助手「走って向かって来ます!」
店長「んんー、入れろー!」
息を切らせて茶髪の整備工のようなスタイルの男が入ってきた。
「やったー間に合った!」と快哉。外に叫ぶ。
店長「え?何名?小?大?」
茶髪「二人です。パイセン、大ですかー!?」
遅れて汗まみれのずんぐり短髪オヤジが到着。
おれはなぜかドキドキしていた。
助手の斥候兵のような報告「走って向かって来ます!」で危うくラーメン吹きそうになった。
何か名状しがたい、とても「いいもの」を見た気がする。
きっと腹ペコ整備工の二人は、昼飯は二郎にしようと心に誓っていたに違いない。
想定以上に仕事に時間を食われてしまった。もう閉店時間だ。間に合わないかも。
よし走ろう!もうパイセン遅いっすよ~、おれ先に様子見てきますと茶髪がウオォーと加速。
この大はしゃぎは、例えば、子供が夕方の再放送「西遊記」観たさに、下校ダッシュで間に合った時の「やったー!」と同じだ。
人間変わらない。二郎は大人を子供にさせる等、手垢のついた分かりやすい決めつけはしたくない。
コンビニのジェネリック二郎で自己完結していては無理だろう。良し悪しではなく、現場だからこそ味わえる体験であった。