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第1章-現状の分析・三相と中学理科 1:三相とは

真理の側面を語る3つの言葉

まず第1章を通じて、この世の中にいるあなたの現状を分析してみましょう。

さて、これを読んでいるあなたの今はどのようなものでしょう?

ある人は友達と楽しく遊んでいるのかもしれません。
あるいは仕事一筋、めちゃくちゃ打ち込んでいる人でしょうか?
家族や恋人と穏やかに過ごしているでしょうか?

一方で、孤独を感じてつらい思いをしているのかもしれません。
SNSに入り浸っては色々な意見を浴びせられ、疲れているかもしれません。
何をやっても空虚感ばかりで満たされないと感じているのかもしれませんね。
お金がない、貧しさに苦しむ人もいらっしゃるでしょう。
戦争で命を賭している人々も、今この瞬間にたくさんいらっしゃいます。
悪事を働くことで利益を得ようとしている人もいるかも知れません。

人間を始め、すべての生命にはその命なりの苦労や悩み、苦しみが無数にあります。私も当然例外ではありません。
そして、お釈迦様も決して例外ではなく、自分がなぜ生きているのか、生きなくてはならないのかについて、悩みに悩み抜いた方でした。

そんなお釈迦様が悩みに悩み抜き、その果てに『覚り』へ至り、真理を発見されたのです。そして、真理の姿を3つの言葉に表されました。
前半が残されたキーワード、後半は日本に伝わった翻訳です。

  • 苦(dukkha) …一切皆苦

  • 無常(anicca)…諸行無常

  • 無我(anattan)…諸法無我

…漢字の字面だけ見ると、とても物々しいというか、まるで優しさを感じないニュアンスがバリバリ出ていますね。
ある意味ではその感想も正解です。
この世に通底する法則である『真理』とは、決して人間の都合に合わせてくれるものではないからです。
人間どころか、すべての生命にとって優しさのかけらもありません。
それが何故救いになるのかについては、少しずつ私の書いた言葉を読み解いていただければと思います。

世の中の法則=『真理』を3つの言葉で表したのは、「真理を言葉で語り尽くすには一言では絶対に無理だったから」です。
この3つの言葉は、真理という巨大な物体を照らすライトのようなものです。

例えば地球は、太陽で照らされています。しかし、太陽というライト一つだけでは、地球すべてを明るく照らすことはできません。だからこそ地球には『昼』と『夜』が存在するのです。
しかし、夜となっている部分に太陽と同じようなライトが当たれば、地球全体を照らすことができます。3つあればなおさらです。光が届かないところはなくなるでしょう。

ただ、一方でライトを増やしすぎると色が飛びます。明るすぎるライトが全周囲に置かれていたら、今度は逆に眩しくてその姿が見えません。
言葉を増やしすぎても、「ちょっと何を言いたいのかわからん」と理解しにくくなることもその通りです。
だから、お釈迦様はライトの数を『三相』(3つの側面)に絞り、残されました。

お釈迦様は、「人間が苦しむのは、この真理の3つの側面についてそれぞれ妄想を抱いているからだ」と説かれました。
仏教ではこの妄想を取り除くことで苦しみを終え、心を楽に、穏やかになりましょう、というのが目標であり、すべての仏教での核心となります。
世界各国にたくさんの宗派が存在する仏教ですが、その根本、目指す姿は変わりません。ただそのための手段がアレンジされてたくさんに分かれただけなのです。

なお、このマガジンではその手段の良し悪しを語ることは一切ありません。どんな手段でも、心が穏やかになるのならばそれは一つの正解です。
『覚り』に至る状態を山の頂上とするならば、登山道はどんなルートを通っても構いません。
先人がたくさんのルートを切り開いたのですから、その中から自分に合うルートを探してよいのです。もちろん、自分から新しいルートを開拓するのも問題ないはずです(相当な困難があるとは思いますが)。

次の記事から、三相の言葉を一つ一つ読み解き、現状の分析とお釈迦様の話す「妄想」とは何かを考えることにしましょう。

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