手紙




景3
ナース「桜さん実は。大変申し訳ないんだけどあなたのおばあちゃんもうお散歩に行けないの」
桜    「それってつまり・・・」
ナース「おばあちゃんの病気だけど思ったより進行が早くてねこれ以上無理はさせれないの」
その言葉は静かに確実に私の心に深く刺さる
嫌だ聞きたくない
桜「はっきり言ってください」
口からは違う言葉が出てきた
ナース「・・・」
桜「はっきり言ってもらえないと分からないんです信じたく無いんです!」
信じたくないそれはホントだどうしようもない悲しみをぶつけてしまう
ナース「担当の先生からは手の施しようが無いと。
           これ以上処置を続けても逆に体に悪影響になってしまう
           そう言われたわ。」
桜「嘘だ!おばあちゃんは元気だもんまだ・まだまだ長生きするんだもん!」
そー叫ぶと私はその場から駆け出していた
ナース「桜さん!!!」
後ろから聞こえる声になんて耳も貸さずに病院を抜け出して靴も履かずに中庭のベンチに腰を落とした

桜「昨日まであんなに元気に、写真とか撮ったりしたのにうそだよね?
      実は無理してたのかな?」
先生 「桜さん?」
桜 「先生・・・」
先生 「その顔はもしかして聞いちゃったのかな?」
桜「はい・・・でも私は先生を責めたりできません。
      とてもよくしてくださってありがとうございました」
そう言うと桜はおもむろに立ち上がり少しだけ小走りで進み出す
先生「さっき診断した時なんだけど、おばあちゃん君のこととても楽しそうに話してきたんだ」
桜その言葉を聞き立ち止まる
先生「そして、もうお散歩できないんですよと行った時にすごく寂しそうな顔をしてたんだ」
桜泣き出しそう
先生 「本当はダメなんだがだから明日最後に2人で出かける許可を出そうと思ってね」
桜   「先生?」
先生 「最後に思いっきり話してあげてくれ」
桜「本当にいいんですか?」
先生「ああいいとも」
桜   「ありがとうございます!」
御礼を言うと私は一目散に
先生の脇を走り抜ける

先生「いい家族だなぁ〜」
なにか思う事もあるのだろうか。
先生はそんな真っ直ぐな少女の背中を見送りながら1人、
歩き出す。

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