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3度目の秋に

「せっかくだから、LINEのグループ作りましょっか!」

こなれた様子でアラフォーの彼女が言った。

高齢出産で時間がなかったから、と育てるのも体にも負荷がかかる年子で子どもを作ることを決め、3人を育てるママ。

3年前、私は長男を出産し、授乳をはじめ育児に大苦戦!

なんだか壊れそうな体にこわごわ服を着替えさせたり、オムツを替えるのもおぼつかなかったり……

右も左もわからなかった、ザ・新米ママの私にとって彼女はたくましく、まぶしかった。

私の出産した産院では、産んでから3ヶ月後、同じ月に産まれた子どものママたちが集まってフォットアルバムを作るワークショップが開催される。

子どもを見てもらいながら、チョキチョキ、ハサミで画用紙を切って飾りを作ったり、写真を切って貼ったり。

思い思いのコラージュ作品を作りながら、集まったママたちの顔も次第にゆるみ、会話が始まっていく。

久しぶりの家事と育児でない「こと」に熱中できる時間が、ただただ心地よかった。

どのママも感じがよく、ママ友がまだいなかった私。

この繋がり続いたらいいなぁと薄々思っていた。

そんなとき、彼女が先陣を切ってくれたのだった。

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それから、何度かご飯を食べに行ったり、ベビーヨガをしに行ったり。

次第に引っ越しなどで疎遠になっていく人たちがいて、会う頻度も少なくなってきたけれど、1年に1回秋には必ず会うことが暗黙の理解になった。

はじめは9人いたグループも、最終的によく会うメンバーは4人に固定された。

先日そのうちの1人が、緊急事態宣言も解除されたし、ワクチンも打ったしということで大阪に帰省することに。

私の出産予定日も気にしてくれて、今の時期しかないと思い立ったそうだ。

2021年の秋。また4人で子どもたちが3歳になるのを目前に会うことになった。

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先の彼女は1年半前から、乳がんを患っている。

はじめてLINEで一報を受けたとき。なんと声をかけていいのか、言葉が出なかった。

彼女は明るく振舞っていたけれど、幼子を3人抱えながらの自分の病気の発覚。治療との両立。

その心情ははかり知れない。

特にコロナウィルスが流行してからは、外出がとても怖かったという。

だけど、同じ乳がん患者の知り合いが全く人に会うことを避けたことで、すっかり老けこんでしまった姿を見て思い直したそう。

体は痛いし、体調も良くない日もあるけれど、子どもがいたら動かずにはいられないしね、と笑う。

久しぶりに会った彼女は変わらず元気そうだった。

幸い経過は順調なようだった。抗がん剤の影響で重いものを持てないとは言っていたけど。

4人の子どもたちも、追いかけっこしあったり、動きをまねしあったり、とにかく楽しそうだった。

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やっぱり「リアルに会う」のはいい。

もちろんオンラインでできることも増えた。

「使える」時間もでき、会えない人とも画面越しに会えて、楽しく有意義な時間を過ごすこともできるようになった。

でも、どんなにとりとめない話でも「顔」と「顔」をつきあわせて話すときの充足感。

同じ空間にいる感覚。

それにはかなわない。

特に妊娠してから、身内以外には会わないようにしていた私は、「ナマ」のコミュニケーションを渇望していたことに気づいた。

4人の子どものうち物静かな女の子がいて、今日はあんまり楽しめなかったのかな?と思ったけれど、帰りがけにママに

「今日はとっても楽しかったよ!」

と言っていたらしい。 

そうだよね。やっぱり友達ともっと自由に会って遊びたいよね。

その子の言葉に嬉しさ反面、悲しさも感じた。


社会や環境の変化、コロナウィルスなどの疫病や災害。

常に同じ状態はなくて、これからもいろんな変化のなかで私たちは生きていく。

あの一言でつながった、私たち4人もそれぞれこの3年間だけでもいろいろあった。

いま起きていることを受け止めてやっていくしかないのだけれど、やっぱり子どもたちにとって「普通にリアルで会えない」現状があたりまえになってしまうのがつらい。

すべてが元に戻ることがいいとは思わないし、それはできないけれど。

せめて早く子どもたちが「自由に」遊べる世の中になってほしい。

そう思わずにいられない、休日のできごとだった。














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