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クリスマスを体じゅうで浴びる

色とりどりに輝く電飾、深い赤のデコレーション、お菓子の甘い香りがするワゴン、華やかなクリスマスソング、どこからか香るスパイス。
記憶の中のクリスマスマーケットは、いつも温かい灯りに包まれています。

クリスマスマーケットにはじめて行ったのが何歳のことだったかはっきり覚えていないけれど、まだ親と手をつないでいないと危ないくらい小さい頃、あの風景を見た記憶があります。
見かけない食べ物がいっぱいあり、初めての香りや雰囲気に圧倒されつつも、すべてが輝いて見えました。
寒いはずの冬の夜が、その空間だけ暖かかったことも不思議な感覚でした。

クリスマスマーケットのことを思い出すときは、いつだって温かい灯りが心に広がります。


 
最近行ったクリスマスマーケットは、六本木ヒルズや東京ミッドタウン、日比谷公園など都内が中心。近郊だと埼玉県のメッツァビレッジ。
どのマーケットも、一歩そのエリアに足を踏み入れた途端、別世界に連れて行かれます。
ドイツや北欧の食べ物や飲み物のワゴンが数多くありますが、リースやオーナメント、クリスマスカードやその国のおもちゃを売っているワゴンもあります。
時々ミニコンサートもあり、楽器や歌でクリスマスソングを演奏してくれます。
 
大人も子供も男性も女性も、そこにいる全員が楽しそうなのは、きっとみんなクリスマスの魔法にかかっているせい。だってあの場所でイライラしていたり怒っている人は見たことがありませんから。
クリスマスマーケットに一人で来ている人は私以外ほとんど見かけませんが、そこでは一人でいても気になりません。みんな自分と一緒に来ている人と、めいっぱい目の前のことを楽しんでいます。
だから私も普段あまり食べないウインナーを食べたり、バター入りのプレッツェルを食べ歩いてみたり、いつもと違う自分になれることも、違う世界だと感じられる理由なのかなと思います。

ここでしか出会えないものの一つがグリューワイン、つまりホットワイン。
私はホットワインというものをクリスマスマーケットでしか飲んだことがないのですが、これほどクリスマスにピッタリな飲み物はないと思っています。
スパイスを存分に感じる甘やかな飲み物は、心の底から湧き上がるワクワクを大きくさせ、クリスマスをより神聖に感じさせてくれる魔法の飲み物。そして、いつの間にか冷えた体を中心から温めてくれています。
そのせいか、私の中でクリスマスの香りといえば、スパイスの香りになっています。秋から冬にかけての時期特有のどんよりした曇り空の物悲しさと、異国にいるときのような心地良い孤独感を思い出すスパイスの香りと結びついているのかもしれません。

さて、私が愛してやまないイギリスでもクリスマスマーケットは開催されるようです。
コヴェントガーデン、ハイドパーク、トラファルガー広場など、ロンドン市内でもあちこちでクリスマスがあふれています。
きっと日本で私が見てきたものよりも何倍もキラキラしているんだろうな、と夢は膨らむばかり。
いつかイギリスのクリスマスマーケットに行きたい・・・。
絶対に、一生忘れられないクリスマスになるはず。


それでは、皆さま、良い夢を。

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