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昼下がり、森の中でティータイム
よく晴れた青い空に躍動的な雲が流れている日。
スコーンをいただけるカフェに行きました。
駅からは、徒歩で20分。
タクシーだと10分で行けるようですが、歩けないこともないなと思った私は、地図を片手に歩くことにしました。
初めて降りる駅は、それだけでワクワクします。
午前中の新鮮な太陽を浴びながら、私は意気揚々と歩き始めました。
一応地図を見ながら歩いてはいるのですが、元来迷子になるためにお散歩をするのが隠れた趣味の私は、横道に入ってみたり、遠回りをしてみたり。
もし私がここに住んでいたら、と想像を巡らせながら歩くのは本当に楽しい時間です。
迷子散歩を楽しみつつ、途中本当に迷子になったりしつつ、ようやく目的地のカフェにたどり着いたのは、とっくにお昼を過ぎた時間。
徒歩50分くらいかけてクタクタになった私は、それでも森の中に佇むカフェを目にした瞬間、小走りで駆け寄りました。
昼下がりの太陽に照らされているレンガ造りの大きな家。
まるで一瞬にしてイギリスの田舎に来たようで、気持ちが高ぶります。
店内に入ると、そのかわいらしさに心の中で歓声を上げました。
アンティークの家具や雑貨、細かく描き込まれた花柄の食器たちが所狭しと並んでいます。
くるっと店内を見て回りましたが、まずはカフェへ。
ガラス張りのテラスは、広い温室のようになっていて、天井もガラス張りになっているから青い空がきれいに見えます。
テラスの中に大きな木がそのまま生えている様子が、なぜかとても気に入ってしまいました。
森と共存しているというよりも、まるで森の中にお邪魔した気分です。
店内にたくさん置かれたテーブルと椅子は、どれもデザインや材質が異なっていて、ますます興奮します。
どの椅子とテーブルが座り心地良いだろう、そしてどの場所に座るのが今の私に一番しっくりくるだろう、そんなことを一瞬にして一生懸命心と相談します。
そして選んだのは、カウンター席のように裏庭を眺められる場所。
触り心地の良いテーブルと、背中とお尻をすっぽり包み込んでくれる椅子は、腰を下ろした瞬間に大正解だと分かりました。
こういう小さなことに幸せを感じられることが、さらに幸せでもあります。
さて、注文したスコーンと紅茶は、・・・さすが。
スコーンは、香りも独特の重たさもイギリスで食べたものと似ていて、なんだか懐かしさを感じます。
スコーンに合う紅茶を教えていただいたこともあり、口に入れるときれいに溶け合います。
私が愛してやまないクロテッドクリームは、重た過ぎず、しつこすぎず、フレッシュという言葉がぴったりなクリームでした。
やっぱり好きだなぁ、としばし浸ってしまいました。
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おやつ時になって混み始めるまでの時間、私は森を眺めて過ごしました。
木漏れ日のやわらかさは、いつまででも見ていられます。
木々の緑を見ているだけで心が浄化されていくのが分かります。
マッサージを受けた後のような、夢と現実の狭間のような少しぼぅっとした気持ちで漂う時間は、とても心地良いものでした。
たっぷりと良い時間を過ごしてカフェを出ると、まだそんな時間ではないのに夕方みたいな太陽。
私は足早に駅に向かいます。
徒歩20分の道のりは、脇目も振らずに歩くと15分。
でも、もう一度あのお店のアンティークを見てくるのを忘れたことに駅に着いてから思い出しましたが、戻る気にはなれず。
また行きましょう、ということかしら、と気を取り直して、今日の小旅行はおしまいです。
それでは、皆さま、良い夢を。