BL漫画における「役割を決める」シーンについて 前編
皆さんはBL漫画で好きな描写はありますか。
わたしはあります。たくさん。その中でも特に自分の琴線に触れるものがありまして…
それが、「役割を決める」シーン。
具体的に言うと、恋仲になった二人が、どちらが抱くか抱かれるか/挿れるか挿れられるかを確認し合う描写です。
そもそも何故この描写が好きになったのか、という話は少々長くなりそうなので次の記事にまとめるとして、まずはその「役割を決める」シーンのある漫画を紹介していきたいと思います。
ここから先セリフ等ネタバレがあります。タイトルだけ知りたいよって人は目次だけ見てね。
①『食べたくなっちゃった』小畑つねちか
まず最初に、CD化が決まって本当に嬉しい!!!!!(発売もうすぐだね!!!)
しかもキャストが羽多野渉さんと佐藤拓也さんという安心安全安泰な組み合わせ。二人の演技に関してめちゃくちゃ厚い信頼を寄せているので、発表時からワクワクが止まりません。発売が楽しみすぎる!!!絵に惹かれて漫画買ってて良かった!!!!
一旦喜びを発散したところで、本題のシーンに触れていきます。
気さくな輩系男子の仁とクールな目隠れ男子の秋貴は会社の同期でルームシェアをして早10年、ただの同居人から晴れて恋人になった2人。少しずつ恋人という関係にも慣れた頃、「俺たち セックスってすんの?」と切り出す仁。この直球で明け透けな物言いが仁の健気で可愛いところなんだよな。さらに「抱かせてください!」って土下座する仁に、「抱かれてやってもいい」「仁が必死になってるところ すごく好きで きゅんときた ので って理由でどう」って返す秋貴。からの甘いキスシーン。この一連の流れ、秋貴がもう表情も仕草も何から何まで全部可愛くてこれは抱きたくなるのもわかるぞ仁…そして一緒にやり方調べるなかでちょっと不安そうな秋貴に「お前が挿れていいって言うまで ちゃんと待つから」ああああああ!!!!!これだよこれ!!!!!!
抱く側だからって自分だけが主導権を握るわけじゃなくて、相手の不安を最大限取り除いた上で許可を取って行動に移す姿勢!!!!これです!!!私が求めていたのは!!!!
はぁ…文章書きながら漫画読んでたら興奮して取り乱した。
要は、「この人のこと受け入れても良いな」と受けに思ってもらえる、そんな攻めの姿勢や努力ってめっちゃ良くないですか?ってことです。加えて、受けが「挿れて良い」って言うまで待つよっていう優しさと自制心。なんか色々書いたけで、とにかく相手を大切にしていることが伝わる描写が好きです。
②『カム・トゥ・ハンド』世(せい)
タトゥースタジオの店長と高校の音楽教諭のお話。ある雪の日、お店の前で倒れている美晴を助けた嵐。少しずつ仲良くなってお付き合いが始まり、嵐の部屋に泊まることはあるものの体の関係はまだない。そんな時、美晴が勇気を出して「しませんか?」と声をかける。突然の展開に驚きながらも「美晴さんはその…俺に抱かれたいですか? それとも俺のこと抱きたいですか?」「美晴さんのことが好きだから どんな形でも触れ合いたい…です」
はぁ〜〜〜!ここでこれが言える嵐くん最高にかっこいいな!!!これだよこれ!!相手のことが好きで、大切に思う気持ちがあれば形にはこだわらない。この考え方が本当に大好き。しかもこの「自分が抱かれる側でも頑張る」って言った嵐くんが、美晴さんを抱きながらめちゃめちゃ"攻め"の顔するんだよ…たまらん…
あと表紙見てもらえればわかるように、嵐くんは背が高くて刺青入っててかっこいい感じで美晴さんは小さめで可愛らしい雰囲気の人なのね。そんないかにも自分が抱く側だと思ってそうな(失礼)人が、愛する人にどちらの選択肢も持たせてあげられるようにって考えられる、驕らない人だってところがめっちゃ良い。
おまけに、同じ作者さんの作品『カランド・カラメル』にも役割を決めるシーンがあるので、よかったらそちらもチェックしてみて下さい。
③『きみはともだち』那梧なゆた
幼馴染で、親友で、組の跡取り息子と側仕え。
将来的に組の跡を継ぐことが決まった隆成に、隠していた気持ちを思わず告白してしまった綾乃。隆成はそれをあっさりと受け止めて恋人になった二人。役割は決めずに行為の勉強はしてる、という状態で…
「いつか俺に 抱かれてくれる…?」
はい。もう同じようなこと何回も言ってるけど、これを相手に聞けるだけでほんとに偉い。偉すぎる。しかもこれ、おでこコツンて合わせて目見ながら言ってるの。もうこのシチュエーションだけで最高に可愛いです。隆成に何かを求めることを躊躇っていた綾乃が、「いいよ」っていう隆成の返事に嬉しさ余ってガッツポーズしちゃうところがまた可愛くて…初めてするときのことは漫画には出てこないので想像するしかないけど、きっと大事に大事に抱いただろうと思うよ…
④『お試しとはいえ、好きすぎる』悠ちとせ
ジムのインストラクターをしている慎太郎は、職場の帰りに立ち寄ったドラッグストアの店員、広樹に一目惚れ。お菓子を口実に頻繁に通ううちに仲良くなり、お試しでのお付き合いを経て、ついに両思いになった。デートの帰り、慎太郎が「広樹さんは…男同士のやり方知ってますか?」と切り出し「広樹さんはどっちをやりたいですか」と尋ねると、「怖くないかって言われてら嘘になるけど…慎太郎になら入れられてもいいかなって思ったんだよ」
はぁ〜〜〜。広樹さんかっこいいな…。広樹さんがこう答えられたのも、これまで慎太郎が積み上げてきた信頼と誠実さの賜ってかんじでとっても良いです。はい。
それからきちんと回数重ねて慣らしていって、はじめて入れた時に最後までするんだけど、広樹さんは最中に「気持ちいい」とは言わないんだよね。なんかそこがまたリアルな初めて感というか、これから先何回も経験していくうちに少しずつ感じられるようになっていくんだろうなっていう余韻が残るかんじがしてすごく好きです。
⑤『リンク アンド リング』つゆきゆるこ
大学で出会い仲良くなった蒔田と別所。見た目も雰囲気も違うけど、お互い隣にいると何故か落ち着く…そんな二人が付き合って半年、キス以上の関係はまだない。それでも、すれ違って、気持ちを確かめ合って、自分たちのペースでゆっくりと進んでいく、そんなお話。
この漫画が唯一無二であるのは、二人とも準備してみて、大丈夫そうな方が受け入れる側になる、っていう方法をとってるところだと思う。①から④で挙げたような話し合って決める展開はあっても、準備までやってみるっていうのはかなり珍しいんじゃないかな。少なくとも私はこの漫画以外ではこういう展開を読んだことがないです。もしあったら読むので教えて欲しい!!
どっちが受け入れる側か決まってからもたくさんの試行錯誤やすれ違いがあって、ついに繋がれる時が来て…
「全部…はいった?」
「…うん」「すげ〜っ 努力の成果〜っ」
そうなのよ!男性同士の行為って簡単にできることじゃないんだよね!!だからこそ、出来た時に努力の成果を喜び合うのめちゃくちゃ良くない???なによりも受け入れてる側の蒔田くんがモノローグで
〈ここまでできるのは 愛としか言いようがない〉
って言ってるの!!!そう!!!
受け入れる側の覚悟も【愛】!!!!!!
気を取り直して。
次の記事では、自分が何故こういった描写が好きなのか、過去を振り返りながら深掘りしていこうと思います。更新はいつになるかわかりませんがちゃんと書くのでもう少々お待ちを…ではまた。