宝探し
「お母さん!今日ね、
すごく感動する本を見つけたの!」
いつも口数が少なくて
感情を表に出さない娘が
鼻息荒く学校から帰って来た。
これは絶対スルーしちゃいかんやつだ!
と直感で思い、家事をする手を止めて
その本の話を
娘に根掘り葉掘り聞くことにした。
娘はちいさな目をくりくりさせて
嬉しそうに話してくれた。
「イルカのね、
尾びれを治してあげる話なの!」
「わたしもそういう人になりたい!」
はい来た!
私は心の中で呟いた。
子どもの言葉、好きな物や嫌いな物には
たくさんの宝物が隠れている。
私は子ども達が小さい頃から
いつも宝探しをしていた💎
子どもは可能性の塊と言うけれど
その可能性(宝)は誰かが
見つけてあげないと
宝の持ち腐れになってしまう
と思っている。
「イルカさんが好きなの?」
「イルカさんのお世話がしたいの?」
「ううん、違うの」
「イルカさんのしっぽを
治す人になりたいの」
「それでね、
泳げるようにして海に返してあげるの」
「そっか~。
じゃあイルカさんを治せる人に
なるにはどうしたらいいか考えようね」
「うん」
そしてそういう人になる為に
どうしたらいいかと考えた。
私は正直よくわからなかったけれど
とりあえず…
「獣医さんになったらいいと思う」
と言ってみた。
娘が小学校2年生の夏の話だ。
この日から娘の将来の夢は
「獣医さん」になった。
「獣医になるにはどうしたらいいの?」
「そうだね、まずは勉強しないとかもね」
「わかった。勉強がんばる!」
娘が中学生になった頃
当時飼っていた犬の体調が悪くなって
動物病院へ通うようになった。
その時の担当医の方が
とても素敵な先生だったので
娘の獣医になりたいという気持ちを
後押しした。
そして、大好きな家族との別れを経験し
その想いが益々強くなった。
高校生の頃に、獣医学部への進学は
結構大変なものであるという現実を知り
ちょっと諦めた方がいいかも知れないと
いう思いが過ったのは私の方だった💦
「浪人を覚悟するか
他の分野も考えた方がいいんじゃない?」
何気なく言ったひとことが
娘の逆鱗に触れた💦
娘が受験勉強に苦しむ姿を見て
気を緩めてあげようとしたのに…
けれど娘は強い口調で言った。
「獣医になれなきゃ意味がない。
他の学部じゃ獣医になれない!」
「私は例え片足を失うか
獣医になるかと聞かれたら
足を失う方を選ぶ」
「それくらい獣医になりたいと
思っているのに余計なことは
言わないで欲しい」
この時、私は弱気になった自分のことが
恥ずかしかった🙈
彼女は私よりずっとずっと
強い想いを持っていた✨
私は植松努さんの
「想いは招く」というスピーチが
大好きで何度も観ている。
娘の「その想い」は
本当に獣医への道を「招いた」
私は大好きな言葉を
娘が体現していく様子を
間近で見ることができた。
聞いて納得するのと
実際に体感するのとでは
全然違った
私は娘のおかげで
本当に強い想いがあれば
実現できるのだということを
知ることができた。
今、娘は大学で獣医の勉強をしている。
海獣(クジラやイルカ)の生態を
調べていきたいと言っている。
小学2年生の時
図書館で出逢った1冊の本から
一人の人生が変わった。
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みんなたくさんの宝物を
持って生まれてきます。
宝物を見つけるヒントは
心が動くかどうか。
さあ!
あなたも宝物を探してみませんか?