なんだなんだパンダ - おさじのテーマ -
柴田ケイコさんの絵本『パンダのおさじとフライパンダ』から生まれた一曲
TheWorthlessさんの『なんだなんだパンダ - おさじのテーマ -』をリハーモナイズしてカバーしてみました♫
『なんだなんだパンダ - おさじのテーマ - 呪文唱えすぎ MIX』
Sound Cloudにアップしましたのでぜひ聴いてみてくださいね!
歌詞コード譜も作ってみました。ぜひ弾いて歌ってみてください。
※ © 著作権はTheWorthlessの作詞・作曲者のわしみごうさんに帰属します。
ジャグ・バンド「ザ・ワースレス」さんの2024年からはじまった楽しい企画
5曲目となる5月の課題曲が『なんだなんだパンダ - おさじのテーマ -』
原曲はこちら▼です!ぜひかわいいおさじと一緒に踊ってみてくださいね。
原曲のコード進行です
再会
先月ザ・ワースレスのみなさんと関西蚤の市@京都みやこメッセで再会できて、生ライブを堪能させていただきました!ありがたいことに今月の課題曲『なんだなんだパンダ - おさじのテーマ -』は2回も観られて楽しく一緒に踊りました!
おどるマリオネット担当のなかたさんのロバオがさりげなくタップを踏んでリズムを刻んでいる音まで聴こえてテンションがあがりました(踊りだけでなく演奏にも参加されているとは!びっくり!)
sunnyさんとぴーひゃらん & のんしゃらんの双子のおふたりにはライブ後に制作時の歌やコーラスのお話を伺いました。
#ラバーズの一月一曲 のカバーをはじめて原曲を聴き込むうちに、楽器隊の4人が全員演奏しながら歌ってコーラスをハモっていることにあらためて気づいて驚嘆していたので、そのことをお伝えしたところsunnyさんが「そうです!私たちコーラスグループなんです!」と力強くおっしゃられて大きく膝を打ちました。
ぴーひゃらん & のんしゃらんの双子のおふたりからも「コーラスのメロディーはライブの練習やレコーディングのときに良いなと思うフレーズをそれぞれ持ち寄ってみんなで決めてます」という言葉を聞けて、「おおおー!ヘッドアレンジ!まさにみんなで作るバンドスタイル!」と感激しました。(その日演奏されたtupera tuperaさんの絵本『しろくまのパンツ』に捧げられた曲ではおふたりが2MC(ラップ)でかけあいをされていて、そのライムやフロウまでもおふたりが考えられたと聞き、そのかっこよさにぶっ飛んでいました)
ジャグ・バンド ザ・ワースレスは「コーラスグループ」を象徴する映像▼
絵本「木の実とふねのものがたり』から生まれた『きみとぼく』アカペラ
帰り際、ミスターと一緒にいろいろと音楽の話ができて、
その際に「『なんだなんだパンダ - おさじのテーマ -』の謎についてコナツさんにちょっと調べてみてほしい」とのミッションをいただきました。
この曲の作詞・作曲者ミスターにとっての謎とは…
「演奏していてこの曲が一番泣けるといわれるけどどうしてかわからない」
というもの。ミスターはこの曲を「元気で明るい曲」をと思いながら書いていつも各地で演奏しているけど、なぜだか多くの人がこの曲で「泣けました」という感想をくださってとても不思議に感じているとキツネにつままれたような顔をして「どうしてかわからないんですよね…」と真面目におっしゃっていました。
今回リハーモナイズする中で自分なりにこの謎解きに取り組んでみました。
※ ミスターとの道端での会話ではもっとたくさんの秘話をうかがえて、胸を熱くしましたがその話はまた別の機会にして、今回はこの謎にせまります。
「泣いちゃう」謎にせまる
「元気で明るい曲」なのに「どうして泣いちゃうのか」
1. 絵本のストーリーへの共感
この曲が生まれるきっかけとなった柴田ケイコさんの絵本『パンダのおさじとフライパンダ』を読まれている方にはわかると思うのですが、そのストーリーに共感し「泣いちゃう」のではと感じました(ここではネタバレはしませんのでぜひ絵本でお読みください)。この曲ではぴーひゃらん & のんしゃらんの双子のおふたりがメインヴォーカルで、sunnyさん & ミスターがコーラスに回る(ブリッジのみ逆転します)バランスもかわいくて、心優しいおさじが活躍するストーリーとシンクロしやすいのかもしれないなとも思いました。
2. 歌詞への共感(聴いてる人それぞれの文脈と共鳴する)
Bメロ(ヴァース2)「心がコゲ付いて 油がはねても 忘れちゃやだよ」
この歌詞が「泣いちゃう」ポイントなのかなと感じました。
日々の暮らし=生活=台所とその中で訪れるやりきれなさや生きづらさ(たぶんそれは人それぞれが個々に抱えているもの)が聴いているうちに心の中でシンクロして、自分の人生と重なってくるんじゃないかなと。
3. 一緒に踊る解放感
そしてその後(パンダのおさじが唱える)魔法の呪文が登場します!
「いっせーので唱えよう」という合図で、メンバーやおさじ(マリオネット)とともに一緒に踊ります(ライブでは曲をはじめる前にちゃんとみんなで振り付けの練習のコーナーがあります)
「アポパイ!ポコパイ!パンパンパン!パンダッチューのポー!」
さっきうっすらと浮かびかけていたそれぞれの「悩み」や「憂鬱」や「虚しさ」が踊りながら魔法の呪文を唱えることで「パーッ!」と霧散していくような解放感を味わえます♫
この聴いている人の中で起こる緊張と緩和の作用による心の揺れが「泣いちゃう」気持ちを後押ししているのかもしれないと感じました。
4. 生歌 & 生演奏の躍動感
ザ・ワースレスのライブは本当に目の前で聴ける機会が多くて、超至近距離で躍動感がダイレクトに伝わってきます。補助的にマイクやアンプを使っているものの、生歌と生音がちゃんと波に乗って耳に届く距離。
通常のコンサートでもなかなかこの距離感で音楽を聴ける体験はできないかなと思っていて、それも「泣いちゃう」ことと関係しているのではと思いました(それだとこの曲だけ「泣いちゃう」の説明にはなってないかもしれませんが、人はいくつかの要素があいまって「泣いちゃう」ボタンが押されているのかもしれないのでここに入れてみました)。
コロナ禍を経たいまも殺伐とした時代の空気が流れている中で、みんなと一緒に歌って踊れる幸せが心からこみあげてきてうれしくって「泣いちゃう」のかもしれませんね。
京都の関西蚤の市で初ワースレス体験をした友人は一緒に踊って「私この人たちのファンになっちゃった!」とワースレスラバーズの仲間入りを宣言していました。
ここまでかなり理屈っぽく考察を巡らせつつも心の中では「泣いちゃう理由なんて人それぞれだろうし、感情の心の揺れの話を理論や数値化して説明しきれるものじゃないよね」とも感じていました。
また観ると必ず「泣いちゃう」感動的なアレサ・フランクリンの教会でのライブのドキュメンタリー映画『アメイジング・グレイス』を見返したりしていて、さらに強くそう感じていました。ライブ(生歌、生演奏)の一体感。
あふれた感動は言語化できないと。
でも、ふと私の幼少期のとある曲を聴いて泣いちゃった経験が思い出され、最後の考察へとつながります。
5. メロディーとコードで心が揺れる
『なんだなんだパンダ - おさじのテーマ -』を聴くと「泣いちゃう」理由
私の最後の考察はリハーモナイズをしていて気づいたポイントです。
ここでは心を揺さぶる音楽の魔法に少し迫ってみたいと考えました。
私が「泣いちゃった」幼い頃の記憶。それは本当に突然の出来事でした。
TVのCMか何かで流れてきたGO-BANG'S『スペシャル・ボーイフレンド』のサビ(コーラス)の「スペシャル・ボーイフレンド」のリフレインを聴いていたときに胸がきゅーんと切なくなってポロポロ涙がこぼれてきちゃったんですよ。そのことだけははっきりと覚えていて、その頃自分がどんな状況だったか、何を感じていたのかは思い出せないのですが、その時に「なんでこんな明るくポップな曲で涙が出たんだろう」ととても不思議に思ったことも覚えていました。
で、大人になったいま歌詞を読み返せば、初恋?友達以上恋人未満?思春期における爽やかな別れが綴られていて「そこに共感したのかなぁ」とも思えなくはないのですが、あらためて聴き返してみてもとても明るく元気でポップな曲で(泣きメロの感動的なバラードとかではまったくなく )サビ(コーラス)もほぼ「スペシャル・ボーイフレンド」とおなじ言葉の繰り返しがメインになっていて、最後の「大切に愛しあったこと」「ずっと忘れないようにしようね」とかはいまの方が胸にせまる歌詞ではありますが、幼い頃のまだ誰かと愛しあう以前だった私にとっては胸にせまりようがない感じの歌詞でした。
「これこそ音楽の魔法なんじゃないか」と思いました。
で、その謎を解くべく実際にコードを調べて弾いてみて気づきました。
『なんだなんだパンダ - おさじのテーマ -』のサビのコードと照らし合わせるとこれが意外と「泣いちゃう」理由のひとつかもしれないと感じました。
とおなじメロディに対してコードが少し変わりながら進行していますね。
サビの歌詞は。「なんだ?」「パンダ」「そうだ」でひたすら韻を踏み続けて、最後に魔法の呪文へと続きます。逆にそのことによって
「リフレインし続けるメロディでコードの色彩が変わると心が揺れる」
という音楽の魔法がかけられているのではないかと推測しました。
もしかしたら「泣いちゃう」理由のひとつになっているのか…
「そんな曲星の数ほどあるよ」と思われるかもしれませんが、私はこれもあなどれない理由のひとつかなと感じています。例えば多くの方が耳にされている曲だと、テイラー・スウィフト『Shake It Off』、ファレル・ウィリアムス『Happy』なんかもそうだと思います(この2曲は妻が大好きでリリース当時「おなじメロディやおなじ音が繰り返されているのに聴こえ方が変わるのはどうして?」と質問してくれて気づきました)。「泣いちゃう」かどうかわからなくても人々の耳を魅きつける魅力が生まれることは間違いないと思います。
この音楽の魔法(メロディとコードの関係性)についてさらに突っ込んだ解説がなされているSound Questさんの音楽理論の解説記事「調性引力論 ❺ シェルについて」がとても興味深いのでここにご紹介しておきます。
その記事内で紹介されている曲を聴かれるとよくわかるかもしれませんが、スピッツ『リコリス』という曲ではサビのメロディがなんとずーっと一つの高さの音(C#)だけで歌われていて、その後ろでコードだけが次々と変わり響きが変わっていきます。
色彩が変わるのがとてもよくわかる良い例だなと思いました。
私もこうして調べていながら理論的にはまだまだ理解できているわけではないので、引き続き音楽の魔法について学んでいきたいなと強く思いました。
ということで、ミスターから与えられた謎について私なりに考察してはみましたが、実際に「泣いちゃった」みなさんおひとりおひとりに理由を聞いてみないとこの曲を聴いてどうして「泣いちゃう」のかはわかりません。
きっと言語化できないような理由がそれぞれありますよね。
ここまで考察しておいてなんですが、やっぱり『なんだなんだパンダ - おさじのテーマ -』で「泣いちゃう」理由は熱量なのかなと思いました。人と人が目の前で熱を発しあう中で生まれる感情で心が満たされあふれたときに涙が頬を伝うのでしょう。
ここに書いてみたのはあくまで私が謎にせまってみた中で気づいた点として読んでいただければ。
私がまったく気づけていない「泣いちゃう」理由があるのかもしれません。
ワースレスラバーズのみなさんのご意見もうかがってみたいところです。
ここからは個人的な今回のカバーの制作過程での思考の流れや気づきを自分のための備忘録として書き留めた文章です。興味のある方は音楽を聴きながら目を通してみてください。
※ 文章に出てくる音楽は下記のプレイリストにまとめてみました。
お時間のある時に聴きながらどうぞ。
※ 前回の『毛玉のボールのブルース feather feat.めろう MIX』に続いて、今回もNEUTRINOの歌唱シンセサイザーめろうさんに歌っていただきました。
『なんだなんだパンダ』リハーモナイズのプレイリスト
リハーモナイズ
今回もカバーしてみて、あらためて原曲の素晴らしさをかみしめました!
その上で原曲とはまたちがう曲の表情が見つけられたらいいなと願いつつ、リハーモナイズに取り組みました。
リハモの準備
まずは原曲がどういう調やテンポ、和音で構成されているか確認しました。
リハモしたコード進行はこちらの歌詞コード譜をご覧ください。
イントロ & アウトロ 「アポパイポコパイ〜」「パーンダ」
なぜかスタイル・カウンシル『My Ever Changing Moods』が頭の中に流れてきたからなのですが、どうしてかはわかりません。いま私のバンドでカバーの練習をしているMoons「Let's Do It All Again」の影響なのかも。
それで(Ⅱm9=Bm9 → ⅠM7=AM7)の繰り返しになっています。
ここには魔法の呪文を入れないわけにはいかないだろうと思いましたが、当初は原曲のようにメロディに乗せずに唱えるのが一番だと考えていました。
落語死神の「アジャラカモクレンキューライステケレッツのパー」だってあの口調だから言いたくなるわけだしと。「呪文は唱えてこそ!でしょ!」と!
でもコードを弾いて口ずさんでいるうちに
「リフレインしているメロディでコードが変わると色彩(景色)が変わる」
をこの呪文にメロディを乗せることで試せないかなと思い直しました。
イントロ & アウトロ(Ⅱm9=Bm9 → ⅠM7=AM7)
Bメロ(Ⅱ7sus4=A/B → Ⅱ69sus4=B69sus4 → Ⅱ7sus4=A/B → Ⅴ9=E9)
間奏(ⅣM9=DM9 → ⅠM13=AM13)
とそれぞれちがうコード進行を用意して、おなじメロディ(呪文)を乗せてみるアイデアが浮かびました。響き方が変わるかしら?と。
原曲は最後「パーンダ」で終わっていますが、最後もう一度リフレインしてみたくなってアウトロを追加しました。
こうして原曲より「呪文を唱えすぎる」MIXの構想が浮かびあがりました。
呪文のメロディとは別にさらにもうひとつのメロディも入れてみました。
こちらも少しだけちがうコード進行にあててみています。
イントロ & アウトロ(Ⅱm9=Bm9 → ⅠM7=AM7)
Cメロ「ゆらゆら〜」(ⅣM9=DM9 → ⅠM13=AM13)
(サブドミナント → トニック同士なのでさほどちがわないかもですが)
Aメロ(ヴァース1) 「ちいさなちいさな〜」「いつものいつもの〜」
原曲ではAメロからBメロにかけて手拍子が入っていて、それがとてもいいですね!原曲を何度も聴いていて次回はライブでも叩きたいと思いました。
ここはコードをリハモし原曲と結構変えたため雰囲気もちがうと思います。
1番も2番もミスターのロマンティックさと小粋なユーモアが感じられる好きな歌詞です。「おさじ おさじ」のコーラスも好きで、ここではリハモすることで原曲の明るさとちがって少し浮いたような切ないような響きになっているのではと感じています。リハモによって響き方が変わります。
リハモしはじめはギターでボサノヴァっぽくコードを爪弾いていて、ダリル・ホール & ジョン・オーツのTOWA TEI feat.ベベウ・ジルベルトによる名カバー『Private Eyes』みたいになれば素敵だなとか妄想していました。その名残はコードを弾いている真ん中のエレピ(キーボード)がちょっとボサノヴァっぽいリズムを刻んでいるところにうっすらと残っていたりしますが、「おどる君がいて 笑う僕がいる」の歌詞を聴いていて、やっぱりもうちょっと踊れる感じに仕上げたいと思い直して、BPM(テンポ)も原曲とおなじ144にして、踊れる方向へと気持ちが傾いていきました。
すでにここから今回のリハモで象徴的に使っているコードがあります。
ブラックアダーコード(またはイキスギコード)と呼ばれているⅠaug/Ⅳ#
いろいろな曲(サンボマスター『世界はそれを愛と呼ぶんだぜ』、キリンジ『スウィートソウル』等)で経過音的に使われたりしているコードですね。
個人的にはなにか素敵な予感がする魅惑的なコードとして使いたいと感じました。
Aメロでは「おしえてくれる(ぼくがいる)」の後「じゅもんがほら(ネバーセイグッバイ)」の後に鳴っているのでぜひ聴いてみてください。
Bメロ(ヴァース2) 「心がコゲ付いて〜」
原曲ではsunnyさんのカズーやミスターのベースラインも聴きどころですね。
ここは原曲と大きくは変えていませんが細かくリハモしています。
簡単に説明すると
2-5-1(ジャズでよくある進行)+Ⅲ7(切なコード)にしちゃっています。
Ⅱm7 → Ⅴ7sus4 → ⅠM7 → Ⅲ7(切なコード)
これはジャズの進行にしたかったというよりは、私のギターを弾くときの手クセでこうなった感じです(手クセの元をさらに紐解くと小沢健二『愛し愛されて生きるのさ』のコード進行とも重なります)。
ここでストリングスが入ってきますが、これはいつも曲を聴いてくれる妻(エグゼクティブ・プロデューサー)の提案でした。「うーん!すごくいいけど、なんかぱーっと華やかなストリングスとか入るともっといいとおもう」とアイデアをくれて、弦のメロディを書いていきました。
ゴールデンウィークにちょうど小沢さんの「モノクロマティック」ツアーを観て(あまりの熱量にそこでも泣いちゃったのですが)その熱量がこのアレンジにもリアルタイムに反映されています。
具体的には「アポパイ!ポコパイ!パンパンパン!パンダッチューのポー!」を支えるディスコティックなベースラインは小沢健二『彗星』へのオマージュです。「思いっきり祝いたいよね」のところで聴かれるフレーズで、今回のツアーでは『強い気持ち・強い愛』や大阪について歌われた新曲「魔法がかかる夜、大阪にいる」でも中村きたろーさんがベースラインを演奏されていました。
それと道端でミスターと陽水さんの話をしたことも思い出し、PUFFY『渚にまつわるエトセトラ』やたぶん元ネタの『Y.M.C.A.』でもこのベースラインが鳴っているなとディスコの歴史に思いをはせたりしたのも影響しています。
ここの4小節のコードは原曲(Ⅱ9=B9)とほぼ変わりませんが、呪文にメロディを乗せた関係で、音がぶつからないよう微調整しています(Ⅱ7sus4=A/B → Ⅱ69sus4=B69sus4 → Ⅱ7sus4=A/B → Ⅴ9=E9)。
と力説しつつも、Bメロで一番聴いてほしいポイントはその直前の1小節
「唱えよう」のブラックアダーコードⅠaug/Ⅳ#だったりします。
メロディも半音だけ変えさせてもらい、沈んだ気持ちを明るく吹き飛ばす素敵な予感を表現しつつ、ディスコティックに魔法の呪文を唱える流れです。
サビ(コーラス) 「なんだ?なんだ?パンダ そうだ〜」
を一番試してみたところかもしれません。
さすがに「泣いちゃ」わないかもしれませんが、原曲より少し切ない響きに(時に明るい響きに)変わっているように聴こえませんか?
気づくと王道進行(4-5-3-6)に近い(4-5-6-6)で切なくなったり、
下属調からの借用コードⅦbM9=GM9でふいに明るく陽が差したり、
ミルトン・ナシメント『トラヴェシア』で覚えたⅤ/Ⅳ=E/D=D(9,#11,13 omit3,5)でドラマティックな広がりを感じたり、
Ⅵm7=F#m7 → Ⅵbdim7=Fdim7 の響きなど
いろんな響きを試せた気がします。
メロディとストリングス(さらにはベースライン)そしてタイミングよく入るコーラスも鳴っていて盛りだくさんなので、コードの響きには耳が向きにくいかもしれませんが、いろいろと試して工夫したところです。
2番後半のリフレインでは下のストリングスのフレーズも入れてみました。さらに別の表情が現れた気がするので、ぜひ最後まで聴いてみてください。
Cメロ(ブリッジ) 「ゆらゆら〜」 & 間奏
ミスターから原曲のコード進行が「○○○というアーティストの『○○○』をオマージュしました」(○○○は文字数をあわせてません→気になる方はミスターに直接聞いてみてください)とうかがいかなりうれしかったんですよ。
「あぁ!音楽への愛にあふれているなぁ」と。しかも弾いているうちに前述の小沢健二『愛し愛されて生きるのさ』のイントロのコード進行とも重なることに気づいて個人的によりうれしく感じました!
で、うれしくなってそのままにしておくのはリハモ科としてはちょっとちがうかなと思いまして(原曲と別の曲の表情をリハモして見つけるのがリハモ科だと自分なりに決めていたので)やっぱりリハモしてみました。
アーメン進行(ⅣM9=DM9 → ⅠM13=AM13)にしました。
私的には原曲の温かさとの対比で温度差が生まれて一番しっくりきたのですがいかがでしょうか(前述のアレサ・フランクリンの映画『アメイジング・グレイス』の余韻も残っていたのかもしれません)。
あと!そういえば大事なこと。
原曲ではリズムがジャグバンドらしくハネています。このリハモでも魔法の呪文だけは「アッポパイポッコパイ」とハネさせてみましたが、ここではリズムがハネていないので「ゆぅらっゆぅらっ」とせずに「ゆらゆら」のままにしています。
リズムのハネ方がちがうことでまた原曲との印象が変わって聴こえて、楽しんでいただけるかなと思いました。なんだか打ち込みで無理やりハネさせてみるのも「わざとらしくなるしね…」とも考えたりしました。
原曲ではミスター & sunnyさんがメインに移っています。コードのリハモにあわせてメロディを1音だけ下に下げたりしています。
双子のおふたりが「わっさわっさふぅー」とコーラスを重ねてらっしゃいます。それがめちゃくちゃかわいくって、リハモでもこのコーラスを活かしてみたく、少しクールに響くよう工夫して音を重ねてみました。
新しい音楽に支えられて
なんとか今月もカバーできましたが、「円安だしMac買い替えたいけど高すぎるなぁ…でももう使いたい楽器のプラグインが立ち上げられないほど処理速度が遅いし…」とか悩んでいる矢先に、Appleの炎上したCMでナーバスになったりして心境の変化も激しい月でした。
そんな中でも日々リリースされる推しの音楽に揺れる心を支えられました。
ルイス・コール『Life』
初星学園『光景』(長谷川白紙×アルトゥール・ヴェロカイがコラボ!!!)
浦上想起『抜け出せ!』
北村蕗『Secret』
Yoshiharu Takeda『Montana』(スチャダラパー『サマージャム'95』の元ネタとされるボビー・ハッチャーソン『Montana』のカバー)
CAPSULE『Self Control(方舟に曳かれて)』(TM NETWORK40周年トリビュート収録の中田ヤスタカリハモカバー)
おかげで音楽に励まされながら、音楽と向きあう日々を過ごせました。
このリハモバージョンも電子音ではなく、すべての楽器を生演奏に置き換えて、ワースレスのみなさんに歌ってもらえたりしたらとても素敵だろうなと妄想をふくらませながら、私ひとりでできることを積み重ねていきました。
制作を終えて開催した私のバンドの練習会はとても楽しく「みんなで音を鳴らせる、合奏できるよろこびがあふれていたなぁ」とじんわりしています。
ジョニー・マーのインタビューが心に沁みます。
音楽ってひとりでもみんなでも演奏できるし、ひとりでもみんなでも聴いたり踊ったりできるし最高すぎませんか?
「パンだ」じゃなくって「パンダ」…だよ
パンダのサムネイルが思いつかず、パンの画像をサムネイルにしました。
柴田ケイコさんの作品でもそれは『パンどろぼう』シリーズでしょ!とどなたかつっこんでくれないかしらと思いつつ、いつかはじめて焼いたときのフランスパンの写真を使いました。「しとしと生地の中に ふわふわ君の中に」とパンダのおさじの魔法で音楽が発酵していくイメージです。
ということで、私も毎月このペースでは参加できないかもしれませんが、これからのお題でリハーモナイズのアイデアが浮かんだらまた参加してみたいなと思います。
みなさんの #ラバーズの一月一曲 いつも楽しみにしているので、またぜひ投稿して聴かせてくださいね!
今回も長い長い備忘録となりましたが、最後までお読みくださりありがとうございます。
※ 「太字」部分は文章内でご紹介している楽曲から歌詞を引用しています。
歌詞の © 著作権は各作詞者に帰属します。
※ 登場するアーティストは呼称を敬称略としていたりしてなかったりしていますが、すべてのアーティストに敬意をこめて紹介しています。
※ 私はいま音楽理論を勉強中ですが、音楽学校等は出ておらず独学の最中の知識だけで記事を書いているため、楽理的におかしなことが書いてあるかもしれません。どうぞ参考までにお読みいただければ幸いです。