「朽木えるべからず」
「朽木えるべからず」
朽木不可雕(きゅうぼく・えるべからず)。
朽(く)ちた木は彫刻することができない ---- という意味。
※「不可」は「できない」
処置なし、手のつけようがないと、匙(さじ)を投げることである。
孔子の言葉。
「漢書・劉輔伝」には「腐木不可以為柱、卑人不可以為主」
(腐木は、もって柱とすべからず、卑人はもって主とすべからず)
「腐った木は柱には使えない」と、卑人が主となれないのにたとえられている。
『論語』の「公冶長篇」のほうは、「朽木不可雕也、糞土之牆、不可杇也」
「糞土の牆」(ショウ)は、ぼろぼろの土で作った壁。
「杇(ぬ)る」は上塗りすること。
「糞土の牆はぬるべからず」
「朽木」と「糞土」をあわせて「朽木糞土」という。
「宰予晝寝。子曰。朽木不可雕也。糞土之牆、不可杇也。於予與何誅」
(宰予、昼寝<い>ぬ。子曰く、朽木えるべからず、糞土の牆はぬるべからず
予においてか、何ぞ、せめん)
「宰予」(サイヨ)は孔子の弟子。「昼寝」は「ひるね」。
司馬遼太郎は、東アジア一帯にも「シエスタ」の風習があったと書いているが、それが本当なら、昼寝くらいでこんなに怒るとは、孔子さまもよほど虫のいどころがわるかったのか。
TOKYO 2020
昼寝をしただけでこんなことを言われる。
さて、「TOKYO 2020」の、あのお粗末な開会式に象徴される日本の凋落ぶりを見せつけられては、この冒頭の言葉を思い出し、涙してしまった。
10分足らずみただけで目を覆いたくなり、それ以上見るに堪えなかったが。
あの開会式は、日本の現状を象徴している。
字義の解説
「雕」(チョウ)は「彫」(チョウ)と同じ。
[雕]
【漢音・呉音】
チョウ
【解字】
会意兼形声。
「隹+音符周(まんべんなくゆきわたる、円を描く、めぐる)」
【意味】
②{動詞}きざむ。える(ゑる)。
一面に細かい模様をつける。
全面にわたって、まんべんなくほりつける。
《同義語》⇒彫。
「雕玉(チョウギョク)」
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