詩
ファミレスで折った千羽鶴は
御守りになることをあきらめて
逃げたのだ
よわよわしい羽をぶらさげて
太平洋に向けて
飛んだのだ
ライライちゅんちゅん
ばさばさしてる小説
尖ったローファーは儚い
ライライちゅんちゅん
ばさばさしてる小説
尖ったローファーを履けない
あの子宛のずっしりとしたしろい手紙を、顔も名も知らないヤギさんに任せてしまった
ヤギさんのお腹の中で文字が泡みたいにドロドロにとけて、でもねぼくのからだよりもぼくのきもちこころせいしんのほうがからだよりもずっと、ずっしりしているんだ 言葉なんかいらないってあの子も言っていた
噛み終わったガムを適当なコンビニのレシートで包むことで その日のファンタジーとか御伽を経済に閉じ込めてしまったりして
大人はつまらない?君は子供にも大人にもなれないのに、生意気なことを言うよね
夕暮れも花の香りも本当は数字に換えられるのだ 輪郭ばかりぼやかそうとしても 僕らいつだって具体で ごまかせず本当みたいなめちゃくちゃな嘘を背中の掻き傷に書き足すだけ
あのコバルトブルーのちっこいアパートは、
お城じゃなくてだれかのせいかつ
むかしはね、ピンク色だったんだって、いろいろあったんだね、いろいろ
そういえば、あの夏にも、こんな文を書いたのだ、無理やりその輪郭を湿った指先で誤魔化せば、君はもうきみの文学の使徒なんだよ
さよなら