千葉大でスタートアップの流儀を講義してきた(1/3)
先月、母校の千葉大にて、1年生向けのお仕事紹介の講義を仰せつかった。
千葉大は西千葉(総武線)にあり、自宅から遠すぎるため卒業以来全く足を運んでいなかった。学生と話す機会もcakesのインターンくらいである。ちょっと久しぶりに大学に顔を出してみたくなったので快く引き受けた。
さて、卒業生だからわかるが千葉大生は覇気がなく優等生気質だ。地方の進学校から出てきた子が多い。フツーに日本の大企業に入り勤勉に労働するコースが多いのではなかろうか(推測)。
そんな中でスタートアップ企業に勤める僕が呼ばれたということは「変わり者枠=ちょい違う視点を吹き込む」のが期待されとるんちゃうのと思い、「スタートアップいっすよ」というスタイルでレクチャーすることにした。要は、ポジショントークである。
以下、実際の講義録である。
スタートアップでのエンジニアの仕事
こんにちは、僕はkonpyuといいます。2005年に現デザイン学科に入学して院までいました。現在は渋谷のスタートアップで技術者をやっております。
西千葉にはえらい久しぶりに来ました。卒業してすぐに超立派な図書館ができて羨ましい限りです。
学部生の頃のラボの様子です。真ん中が僕の席ですが、引くくらい汚いですね〜。左上の赤丸は、マクドナルドのクーポンです。当時は金欠でマクドが主食だったので、クーポンを効率よく使おうとしてたんですね。はなまるうどんもよく行ってました。
卒制では熱の仕組みを学習する怪しい装置を作りました。とにかく大変だった覚えがあります。これでFlashを覚えたことが就活で役立ちましたね。
卒業して就職して今に到るまでずっと渋谷勤務で、もう7年になりました。
さてアジェンダです。学生の頃に考えていたこと、今の仕事について話します。皆さんの参考になれば嬉しいです。
さて、僕は2005年入学なのですが、工学部のデザイン科に入ったのでとりあえず当時のデザイン業界のことをいろいろ調査したんですね。当時はとにかく「モノからコト型消費」になっていき、デザイン自体の枠組みが変わっていくよ、みたいな言説がささやかれていました。今でもこの流れは不変で、前提として共有されているのではないでしょうか。
例えば、レクサスはプロダクトデザインとしてのクルマだけではなく、売場からアフターサポートまでトータルで高級感、統一感を出して顧客体験を良くしようとしていますよね。
今では当たり前ですが、当時はiPhoneの出始めの頃で、そのパッケージデザインも大いに話題になりました。宝石箱のような考え尽くされた洗練されたパッケージングは当時の製造業の常識を超えていましたね。
トレンドの話に戻ると、当時、デザイン家電というハイエンド家電が流行っていたのが思い出されます。白物家電全般が中国に勝てなくなり、高価格帯で勝負する戦略に変わったわけです。このバルミューダの扇風機は5万近くする驚愕のプライスなのですが、今でも大事に使ってます。元取りたいですからね。
デザイナー軸でいうと、佐藤可士和さんが大活躍していました(いまでもしてます)。ビジネスレイヤから戦略を考えビジュアル(CI)に落とし込む鮮やかなスキルに惚れ惚れしましたね...。これまた、デザインの領域が拡大し、ビジネスの領域にまで食い込んで来た、という意味で象徴的だと思うんですよね。
ref: デザイナー「佐藤可士和」氏に、経営者が行列をつくる理由
https://www.advertimes.com/20130925/article126953/
さて、そんな時代背景があった中で、普通に大学でデザインのトレーニングを受けていたのですが、冒頭でお話しした通りいま僕はデザイナーではなくソフトウェアエンジニアリングを仕事に選びました。なぜそうしたかというと...
(次回に続く)