USB Type-Cの話
ケーブルが増えるのがとにかく嫌いである。
線が床に着地しているとルンバが引っかかるし、絡み合うと面倒だし、延長タップはダサいし....とイイことが全然ない。特に、家電の中でも専用アダプタ・専用端子が必須なタイプの製品は、付属の線を無くすと大変に困る(メルカリに泣きつくハメに)ので更に最悪だ。
そういうわけで、USBが出てきた時はかなり嬉しかった。昔はPS/2やらRS232CやらIEEE1394やら機器ごとに色々端子がありややこしかったのだけど、USBでかなりスッキリした。端子のフォーマットなんて機能を満たすなら必要最低限でいいはずで、あるべき姿ではある。
しかし、USBは登場からだいぶ時間がたち、そろそろ他のフォーマットと比べると速度や性能面で弱点が目立ちはじめてきた。なにより裏表を間違って時間を無駄にするという半端ないBad UXをなんとかしてほしい。そんなこんなで、USBの次世代フォーマットのUSB Type-Cが2015年に爆誕した。
全部入りのUSB Type-C
USB Type-Cは1本で(高速な)給電、データの転送、動画の転送などなんでもこなすという"全部入り"仕様で、「他のすべてのケーブルとポートを置換するで」という気概が見て取れる。そして、裏表がないので刺すときに間違わない。
2015年以降のMacbookが、対応するポートをUSB Type-C"だけ"にするという破壊的変更をして賛否両論あった。極力デザインや体験をシンプルにしようとする所と、過去の仕様をバッサリと切り捨てる所がいかにもAppleらしい。
僕が使っているスマホ(Huawei P9)でもUSB Type-Cが使われているが、裏表がないので非常に便利だ(くどいが何度でも主張しておく)。
しかし、このUSB Type Cはあまりに仕様を詰め込みすぎて複雑にしすぎたせいで、ケーブルの製造側がすべての規格に対応できず、品質がバラバラなケーブルが大量に出てきてしまっているようだ。
例えば、USB Type-CにはUSB PD(USB Power Delivery)という規格があり、PCの高速充電が可能なほどの大容量の電流を流すことができるのだけど、すべてのケーブル(及びアダプタ)が対応しているわけではない。
同じく、USB Type-Cを備えたすべてのPCがHDMIやDisplayPortなどの映像の外部出力に対応しているわけではない。
データの転送速度も、USB Type-Cケーブルの最大転送速度も、USB 3.1 Gen 1とGen 2という2種類の規格がある。
問題は、これらの差はケーブルを眺めても物理的にはまったく分からないということだ。パッケージには対応する規格は書いてあるものの、一旦取り出して捨ててしまうともう違いが分からない。
また、USB-Cの対応機器も全然増えておらず、アダプタを必要に応じて買い足すことも必要だ。
結局のところ
私感になってしまうが、なんでもWi-Fi越しにデータをやり取りする現代においてUSBに対する需要はだいたいは充電であり、それは既存のケーブルで充分なのかもしれない。
【参考】
ケーブル選びに失敗しないための「USB Type-C」基礎知識
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/feature/1075458.html
USB Type-Cケーブルの品質は玉石混合、機器が破損する場合も
http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/020600096/021400002/
The impossible dream of USB-C
https://marco.org/2017/10/14/impossible-dream-of-usb-c